vol.3 非デジタルとデジタルの取り組みで実現した完工粗利率の改善と商圏の拡大 〜棟梁への権限移譲、監督業務の分業化、そしてANDPADの活用〜

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堀 将徳 氏
株式会社HORI建築
常務取締役

京都府・福知山市で、「木の家専門店」として自然素材にこだわった健康増進住宅に本気で取り組んでいる株式会社HORI建築。「生かされる家」の言葉のごとく、地域とそこに住まう人々に生かされることに深く感謝しながら、家族の幸福の城づくりを目指し、お客様・職人と三位一体となった家づくりに挑戦している。同社は「仲間とつくる現場」を強みとし、「HORIスタンダード」という現場美観への取り組みが高く評価され、住宅産業塾主催の「魅せる現場コンテスト」で3年連続総合最優秀賞を受賞して殿堂入りを果たすなど、業界をリードし続けている存在だ。今回は、現場責任者である常務取締役・堀将徳氏にインタビューした内容を全3回に分けてご紹介。最終回は、業務効率化とスキルアップのために社内分業化をどのように進めたのか、またそのなかでANDPADをどのように活用しているのか、今後の展望について伺った。

社内はスペシャリストを育成し 業務の精度を向上

社外であるパートナーとの協力体制は、棟梁を中心としたチームづくりによって円滑になったという同社だが、社内についてはどのような体制を整えているのだろうか。

堀氏: 「現場監督としては私一人で、現場管理、お客様対応、原価管理、安全管理を担当しています。メインは打ち合わせ含めたお客様対応と工程管理で、品質管理業務は切り分けて専任の担当者を2名設けています。

品質管理担当者は決まった現場訪問回数のなかできっちり自主検査を行い、検査を経て次の工程に進むフローになっています。ANDPAD検査を活用しながら、業者による検査と併せて実施し、効率的かつ精度の高い検査を行えるように。2名ともそれぞれ前職はヤクルトレディ、歯科助手という住宅業界とは全く関係のない異業種から転職してきて活躍しています。
背景にあるのは型化したチェックリストに沿って未経験からでも専門性をもって取り組める仕組みを整え、現場経験を重ねていくことで厳しいチェック項目に対して精度高く確認できるようになりました。細かいところまで写真で管理してくれているので、リスクヘッジとしても安心です。


HORI建築様でご利用されているANDPAD検査の実際の画面

判断基準が難しいものについては現場で棟梁が丁寧に教えてくれているので、成長にも繋がっています。品質管理を社内分業化できたことで、私自身の顧客対応業務を手厚くすることができ、結果として顧客満足度も格段に上がりました。品質管理は現場監督への登竜門として据えているので、現場監督希望で入ってきてもまずは品質管理からスタートさせ、そこから現場監督へのキャリアアップにつなげていけたらと考えています。
また、従来は設計者が一人で詳細打ち合わせまで行なっていたのですが、インテリアコーディネーターと分業させることで、打ち合わせの精度を上げ、着工後の手戻りを極力少なくできるように。営業から設計に引き継ぎ、設計とインテリアコーディネーターで詳細打ち合わせをして、図面承認のタイミングで私を含めた形でご挨拶と引き継ぎを兼ねた四者面談を行い、図面の最終承認をしています。そこで細かな仕様確認までしっかりと行うことで、現状ほぼ未定事項なく着工できるようになりました。」

株式会社HORI建築 常務取締役 堀 将徳 氏

社内の役割を細分化し、それぞれのスペシャリストとして精度を磨くことによって、工期のズレや手戻りがなくなり、それによるコスト削減も実現。例え新入社員であってもこれだけはできるという専門性を身につけることで、モチベーションやスキルアップの速度も格段に上がったという。HPでも「着工後も仕様変更OK」と掲げているのは、着工後の仕様変更はない自信の表れとも言える。四者面談のステップを踏むことは、お客様に後々迷惑をかけないためというのはもちろんだが、現場の職人の負担軽減にも直結する。ここでも、パートナーを大切にする同社の姿勢が伺えた。

堀氏: 「図面上の一本の線が現場を迷わせてしまうということもあるので、なるべく現場に行って職人の声を聞いて、なかなか現場に行く機会がない営業や設計、CADオペレーターなどに伝え、改善する体制にしています。現場の職人にとっても、自分の意見が反映されればモチベーションアップにも繋がりますしね」
また、現在、人材育成プログラムをつくっており、それぞれに合った目標設定をして、グレードを上げてキャリアアップをしていけるような制度にしていきたいと考えています」

生産性が向上により 完工粗利率がアップし商圏も拡大

こうした社内外の体制を整えることで、お客様満足度にどのような影響がもたらされたのだろうか。

堀氏: 「お客様満足度調査の結果が格段と良くなりました。設計もインテリアコーディネーターが加わったことでより深い提案ができるようになり、チームとして信頼して評価していただいています。また、今までは現場監督である私一人で対応していたところを品質管理担当がお客様と小まめにやり取りをすることで安心していただけています。」

また、従来は上棟までに仕様を確定させることが多かったが、約7割を完全着工できるようになった。棟梁が工程管理に関わることで手戻りや工程の遅延もなくなり、その分のコストが改善。人件費が増えたことで労務費は上がったものの、それでも完工粗利率は1〜2%改善したという。また、建築確認申請業務の内省化を図り、従来1棟に対して20万円かかっていた外注費も抑えることにも成功するなど、コスト削減の工夫も。社内体制と整えるために労務費に転嫁した上で利益率を上げており、生産性が向上していることがわかる。

「ANDPAD上でタイムリーに情報共有ができるので職人のミスが減りました。また、ANDPADで進捗管理できるようになってから現場に行く回数が減りました。加えて品質管理業務を監督業務から切り出したことで、以前よりもさらにお客様対応に時間を充てられるようになり、着工後の手戻りの要因をしっかり着工前に潰しておくことができるように。そうした改善の積み重ねが功を奏し、ANDPADを導入してから商圏を広げることができました。従来は車で片道1時間の範囲でしたが、1時間15分まで伸ばせたことで商圏は25%拡大。最近ではパワービルダーの勢いに押されている部分もあるので、地元福知山に根ざしながらも商圏を広げられたのは大きいですね」

現場美観をきっかけに 新築やリフォームの受注を獲得したい

最後に、同社が今まで取り組まれてきた現場美観の取り組みをはじめ、これからチャレンジしたいことについて伺った。

堀氏: 「今まで社内外に関わらずチームで取り組んできたことが大きな成果に結びついていると思うので、これからは現場美観によって受注を獲得していきたい。具体的な目標としては、現場周辺から新築だけでなくリフォームなどにも繋げて、地域のお役立ちができたら。現状、リフォームの売上は約2億円で売上全体の3割程度なので、今後伸ばしていきたいですね。大型リノベーション案件も増えてきていることから、大工の確保も必要に。基礎については内省化していますが、できれば大工と左官は内省化させていきたいと考えています。

また、デジタルツールもこれまで以上にうまく活用していきたい。施工管理や検査については他社ツールからANDPADに一本化。電子受発注もANDPADで行うようになっており、システム同士の互換性なども踏まえて他のシステムも整えているところです。今後はアンケートなど一部はアナログで残しつつ、電子契約書などデータで残すものはデジタルに切り替えて、より効率化を図っていきたいですね」

棟梁には権限委譲して現場全体を管理してもらい、社内は分業によって専門性を高めるなど、試行錯誤を繰り返しながらポジションごとの最適な方法を見出していった同社。そのなかでANDPADをはじめとするデジタルツールを活用して業務効率化を図り、生産性を向上させ利益率アップを実現し、さらには商圏を広げることにも成功した。これからも、『みんなが喜ぶ社会づくり』を目指して、お客様・職人と三位一体となって本気の家づくりと真摯に向き合い、愚直に実践し続けていくのだろう。

株式会社HORI建築
https://www.hori-aa.co.jp/〒620-0808
京都府福知山市字土1117-122
代表取締役 堀昌彦
創業:1985年12月

取材、編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ