2003年に創業し、群馬県を拠点に関東エリアで外壁塗装を手掛ける株式会社佐藤。「職人直営の外壁塗装専門店」として自社管理の職人による施工にこだわり、市内でのボランティアなどさまざまな形で地域に根づいた事業活動を展開している。
今年で20周年を迎える同社は、さらなる成長を見据えて2022年にANDPADを導入。契約から約1ヶ月というスピードでANDPAD運用を定着させ、社内外ともに非常に高い運用浸透を実現した。そこで、今回は同社の統括部長 後藤史裕さん、営業部 次長 内山竜一さん、営業管理部 花山弥愛さんにインタビューを実施。前編では、同社の強みや組織体制、採用・人材育成についての取り組み、ANDPAD導入の背景にあった課題について紹介する。
INDEX
- 豊富な建築知識と熟練された技術を強みに、お客様へ価値提供
- 高い施工品質を保証する完工検査・アフター検査で付加価値を高める
- 求める資質は圧倒的な主体性。人材の採用・育成を強化
- 業務が集中する営業スタッフの負荷軽減のため、ANDPADを導入
豊富な建築知識と熟練された技術を強みに、お客様へ価値提供
群馬県を拠点に「職人直営の外壁塗装専門店」として自社管理の職人による施工にこだわり、関東エリアで外壁塗装業を展開する同社。公共事業から住宅まで手がけ、高い技術力を強みとしている。
後藤さん: 現在ではBtoCの塗装工事を多く扱っていますが、もともとはBtoBをメインに事業展開をしていました。そのため、下請けとして塗装工事に入ったり、公共事業でさまざまな建物の塗装をしたりと、経験と実績が豊富であることが私たちの強みです。当社が事業展開する関東エリアではリフォーム事業者が多く、お客様は3〜4社を並行検討していることがほとんど。そのような場合にも、当社がこれまでに培ってきた実績によってお客様との信頼関係を構築できています。
加えて、私が工務店で10年間現場管理と設計業務に携わっていた経験もあるため、工期通りに進める施工管理や設計面のクオリティも、他社には負けない自信があります。われわれは、塗装の技術だけでなく、構造面なども踏まえた提案ができるプロの塗装屋だという自負があります。塗装のプロとしての仕事を幅広く提供していくために、当社は事業を展開しています。
株式会社佐藤 統括部長 後藤史裕氏
同社の営業スタッフは工事塗装を熟知した塗装のプロとして、また構造を知り尽くした建築構造のプロとして、精度の高い現地調査を実施する。それにより、高い施工品質の実現へと繋げている。
後藤さん: 私たちは、お客様に「なぜ、その塗料を使うのか」説明することを大事にしています。家の状況によって、使うべき塗料というのは変わります。プロの塗装屋は、「なぜこの構造でこの材質だと、この塗料なのか」分かった上で提案するべき。それが、お客様の満足度につながり、ひいては競合優位性にもなると思っています。
数々の経験に裏付けされた豊富な建築知識と熟練された技術を磨くことによって精度の高い現地調査を実施している同社。営業部で大きな役割を担っているのが、内山さん、花山さんだ。2人とも塗装業界は未経験ながら、同社に入社したのだという。
内山さん: 以前、ブライダル企業で働いていた時にその会社が商工会議所青年部に所属していて、私はその担当者として会合に参加していました。会合を通じて当社の佐藤社長と出会ったことが入社のきっかけです。当時から佐藤社長のことを尊敬していて、ブライダル企業を退職する際に佐藤社長から声をかけてもらいました。入社後は、社長から直々に営業のノウハウを学びました。お客様に寄り添うためにどうあるべきかということを、マンツーマンで教えていただいたことは身になる経験になりました。
株式会社佐藤 営業部 次長 内山竜一氏
花山さん: 私はもともとゼネコン系の下請け会社で事務職をしていました。その経験から、群馬で仕事を探す時も建築系で探して、当社に入社しました。営業管理部として営業スタッフのサポートをするほか、社員の入社後オンボーディングも担当しています。社長から学んだ知識やマナーを新人研修などで若手にも引き継いでいます。
株式会社佐藤 営業管理部 花山弥愛氏
高い施工品質を保証する完工検査・アフター検査で付加価値を高める
同社では、施工品質を高めるために4〜5年ほど前から完工検査を実施している。完工検査を担うのが品質管理部だ。品質管理部の役割はそのほかにもあり、たとえば攪拌(かくはん)時間が決まっている塗料があると、それについて職人に指示をするために現地まで行くこともあるという。特に使用頻度の低い塗料の場合は塗料の配合の割合を間違えてしまいやすいため、そうしたきめ細やかな対応が品質向上のためには欠かせない。
後藤さん: もともと、BtoBの案件をメインでやっていた頃は、元請企業様や官公庁側で完工検査を実施していました。当社の強みは、そうした検査をクリアできる高い施工品質です。そこで、自社としてBtoC案件を強化してきた流れのなかで、高い品質を維持してそれを見える化し、自社の提供価値をより高めようということで、完工検査を実施することにしました。
せっかく高品質な施工を行っていても、それがお客様にきちんと伝わらなければ、サービス価値を提供できていることにはなりません。ブライダル業界で接客を学んできた内山や、ゼネコン系事務の目線でのサービスやサポート等、様々な業界のお客様対応をしてきた経験と知識を織り交ぜながら、「自社のサービスの付加価値はどうあるべきか?」をみんなで考えて、現在のかたちへとつくり上げていきました。
完工後には、塗装リフォームを保障する完工証明書をお客様にお渡しする。さらに何か不具合が生じた場合などには、最長10年間無料でメンテナンスを実施している。
後藤さん: 完工後1ヶ月での点検の後、1・3・5・7年目に定期点検を行います。定期点検のチェック項目は64項目。完工検査とアフター検査では一部重複する項目もありますが、基本的に2つの検査項目は異なります。
求める資質は圧倒的な主体性。人材の採用・育成を強化
順調に売上を伸ばし、群馬だけでなく埼玉や東京にも店舗展開するなど事業拡大を続ける同社。4〜5年前から新卒採用を強化し、研修を充実させるなど人材育成に注力するようになったという。
後藤さん: 中途採用についても募集はかけているものの、新卒採用がメインになっています。新卒の営業スタッフは、入社後1ヶ月間新卒研修を受講し、5月から先輩社員との営業同行がスタートします。個人差はありますが、1人で現地調査ができるようになるまで約半年ほどかかります。
内山さん: 現地調査までは新卒社員1人で行ってもらいますが、ご提案はお客様に合わせた臨機応変な対応には経験値が求められるため、しばらくは私が一緒に行うようにしています。後藤や私が佐藤社長から直々に学んだ営業スキルを、しっかりと新人教育に落とし込んでいます。
花山さん: そのほかにも、スキルアップや人材の定着という観点では、新卒研修の後の約半年間、週1回社長による研修の機会が設けられています。1回あたり所要時間は2〜3時間ほど。半年間、毎週それだけの時間を社長が確保するほど、研修機会というのは重要視しています。
また、新人に限らず全営業が出席する追加研修も実施しており、後藤が講師として話をしています。
後藤さん: 今まで教えることに対して明確な基準がなかったのですが、2023年度の新卒社員の入社研修に間に合うようにマニュアルを作成しているところ。「株式会社佐藤の人間として、このような考えやマインドでお客様と向き合っていこう」という内容にすべく作成中です。
業務が集中する営業スタッフの負荷軽減のため、ANDPADを導入
以前から営業スタッフに現場管理に関する業務が集中してしまい、課題を感じていたという同社。特に、職人とのコミュニケーションにおいて、上手く意思疎通が図れていなかったという。メッセンジャーアプリ上でなされる入場報告にばらつきがあったり、職人が現場に入っていると思っていたら入っておらず、お客様から連絡が入ることもあった。案件数が多く営業スタッフが毎日各現場の職人の状況を確認しきれず、職人との現場の経過についてのコミュニケーションが曖昧になっていた。職人対営業、顧客対営業のような一対一のやり取りだったため、営業スタッフが業務を抱えてしまう構造になっていたのだ。
そこで、同社は現場管理ツールの導入を検討することにした。
内山さん: 現場管理や顧客管理など、さまざまなツールを使ってバラバラに管理をしていたこともあり、それらを一本化したいというのがANDPAD導入の背景にあります。もともと使っていたデジタルツールでは写真管理ができず、うまく現場管理ができないことも課題でした。ANDPADを知ったのは、ちょうど1年前。そこから花山と一緒に、ANDPADをいつまでに導入するのかを決めてスケジュールを組み、進めていきました。
後藤から「ANDPAD導入を進めよう」と明確な指示をもらい、それをきっかけにして一気に導入・運用スタートに向けて走り出しました。
結果的に、社内・社外ともに巻き込みANDPADの利用が日常業務として定着。ANDPAD契約から運用開始まで1ヶ月ほどと非常に早く運用を切り替えられたのは、内山さんと花山さんがタッグを組んで、スピーディーに取り組んだ結果だ。
BtoBの業務で経験と実績を積み重ね、高い施工品質を自社のサービス価値として届けるために完工検査やアフター検査に取り組んできた同社。新卒採用とその後の研修による人材育成の仕組み、マニュアル作成など、人材の採用・育成・定着に注力している。さらなる成長に向けて歩みを進めていくにあたり、業務が集中している営業スタッフの業務負荷を軽減するためにデジタルツール導入を検討し、契約から約1ヶ月というスピードでANDPAD運用を定着させた。後編では、ANDPAD運用浸透に向けた取り組みと導入後の業務変化、今後の課題と展望について伺う。
URL | https://satotosou.jp |
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代表者 | 代表取締役 佐藤 和幸 |
創業 | 2003年1月1日 |
本社 | 群馬県伊勢崎市上植木本町916-1 |