〜前編〜顧客満足度98%!主客一体体制を実現するためのDXへの挑戦 / 職人目線を徹底した、社外業者とのコラボレーションによって実現

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毛内 將元氏
株式会社HOUSEinnovation 代表取締役。18歳の時に地元の先輩が親方をしている塗装業を見習いとして手伝うようになり、塗装職人の道へ。セールスのスキルを学ぶため19歳でリフォーム会社に営業職として中途入社し、瞬く間にトップセールスとなる。翌年、新店舗の立ち上げの店長に抜擢され、セールスマネージャーに。21歳でエリアマネージャーに就任し、九州エリアを統括。その後、23歳で同社を設立。



福岡県を拠点に「輝く未来を創る」という経営理念を掲げ、高品質なサービスを提供している株式会社HOUSEinnovation。外壁塗装、屋根塗装を手掛ける「スターペイント」は、福岡県内にショールームを5店舗構え、FC(フランチャイズ)も展開するなど塗装業界で注目を集める存在だ。元塗装職人である代表取締役の毛内將元氏を筆頭に、職人目線で社外業者との連携を図り、提案・施工・管理まで一貫体制を構築。修繕・修理に留まらず、お客様のライフスタイルに合わせた安心で快適な住まいの実現をサポートしている。

前編では、毛内氏のインタビューを前後編でご紹介。前編は、同社を設立するまでの経緯とターニングポイント、経営理念に基づく主客一体体制の組織づくりについて深掘りしていく。

塗装で地域の資産を守りたいという想いで独立を決意

2016年に設立し、今や社員70名体制になろうという勢いで成長を遂げている株式会社HOUSEinnovation。外壁塗装、屋根塗装を手掛ける「スターペイント」では、直営店舗のみならずFC展開を行うなど、塗装業界を牽引する存在だ。

代表取締役である毛内氏は元塗装職人という肩書きの持ち主。塗装業に出会ったきっかけについて伺った。

毛内氏: 18歳で社会に出ようと思い、地元の先輩が塗装業の親方をしていたので、日当5,000円の見習いからスタートしたのがこの業界に入るきっかけでした。

ある時、親方と作業をしていると、ご近所に住むご年配の方が「君たち、うちの屋根の塗装をして欲しいんだけど、見積もりを取ってくれないか?」と声をかけてくれたんですよ。元請企業さんから仕事をいただいている立場だったので断ろうとしたのですが、自分たちの仕事ぶりを見てお願いしたいという強いご要望だったので請け負うことに。この出来事から、自分たちが元請企業側になる選択肢が生まれ、視野が一気に広がりました。

株式会社HOUSEinnovation 代表取締役 毛内 將元氏

そこからセールスのスキルを学ぶため、一旦親方の元を離れてリフォーム会社に営業職として就職した毛内氏は、入社後すぐに頭角を表す。訪問販売型の営業だったが、塗装職人として培ってきた専門知識を活かした提案力により、営業部500名の中でトップセールスとなった。翌年新店舗の立ち上げに伴い店長に抜擢され、セールスマネージャーとしてメンバーと共に歴代最大売上を記録し、飛ぶ鳥を落とす勢いで九州エリアを統括するエリアマネージャーに就任した。

しかし、経営会議にも参加するようになり、経営の中枢部分に触れるようになると、会社の方針に違和感を覚えるようになったという。

毛内氏: 経営に関わってみると、社員満足度、顧客満足度、そして社会貢献度も低く、「この会社はどこを目指して、何のために事業をやってるのか?」という違和感を覚えるようになりました。当時は会社としてのビジョンやミッションなどもなく、部下のマネジメントをしていく上で動機づけになるのが収入面しかありませんでした。そこを改革していきたいと上層部にも進言してみたものの、なかなか取り合ってもらえませんでした。

私自身は現場から入っているので、塗装の仕事が好きなんですよ。塗装によって生まれ変わった家は第二の新築のようなもので、家が明るくなると家庭も明るくなり、家族間のコミュニケーションが生まれます。家族の人生の質を根本から変えることができる業界だと思っています。当時はまさに「高収入でお腹は満たされるけど、心は満たされない」という状態でした。自分は何のためにこの仕事をしているのかと問いかけた時に、塗装を通して地域の資産を守っていきたいという想いが強くなり、それならば自分でやっていこうと決意。職人時代にお世話になった親方に声をかけ、会社を立ち上げました。

原点回帰しピボット、組織風土の変革にも波及した来店型への転換

こうして、23歳で毛内氏は同社を設立。売上も1年目に1.8億、2年目には4.2億と順調に業績を伸ばしていった。当初はとにかく事業を軌道に乗せるために、がむしゃらに売上優先で訪問販売型営業を行っていたが、それでは以前と同じことをやっていて独立した意味がないと感じるように。3年目に営業方法を訪問販売型から来店型へと舵を切った。売上こそ3億円はあったものの、ショールーム新設などの費用や人件費、反響を集めるための広告費などのコストが重くのしかかったことで減益となり、状況は大きく変わった。

毛内氏: 反響型に切り替えるにあたり、環境整備やオフィス美化、お客様対応のための部署を新設するなどお客様を受け入れる体制を構築しました。それによって社員の意識も変化し、社会貢献に対する意識が高まりました。一方で、組織としての性質が変わったことで、新しい体制に馴染まない社員は退職してしまったので、会社として非常に厳しい局面でもありました。

資産価値を高める「塗装ファッション®︎」を訴求

集客型モデルへの転換という同社にとって大きな分岐点となる出来事を経て、「輝く未来を創る」という経営理念をはじめ、会社として目指すべき指針を言語化。社員だけでなく職人にも浸透させ、本来毛内氏が目指す塗装業としての在り方を実現するための組織体制を整えていった。

また、同社はブランディングにも注力し、塗装リフォームを通して趣味やライフスタイルに合わせた理想の住環境を実現させるためのブランド「塗装ファッション®︎」を立ち上げた。同ブランドには、塗装を「やらなければならないこと」から「ファッションのように自分好みにできるもの」へと昇華させ、塗装の文化を変えていきたいという想いが込められており、「家にもファッションセンスを」というテーマで、ワンランク上のファッショナブルな住まいを提案している。

毛内氏: 「塗装ファッション®︎」というのは、「資産価値を高める塗装」という発想から生まれました。直営店のみにするかFC展開させていくかなど、この文化をどう根付かせていくかについては模索中です。

職人がつくった会社だからこそ、「職人の質」にこだわる

そして、会社を経営していく上で毛内氏が大事にしているのが「職人の質」だ。毛内氏自身も元職人であり、また、創業メンバーである親方は現場施工部門長として若手育成に携わり、職人イズムを伝えている。現在、同社の協力業者は約150名。塗装職人が多いエリアの中でも腕の良い職人が集まっている。同社にはSPM(Star Paint Meetingの略)という業者会があり、定期開催の安全大会のほかに勉強会を開催したり、一級塗装技能士の資格取得支援を行ったりと、職人同士が助け合う風土が醸成されいてる。

毛内氏: 職人さんが弊社を支持してくださっている理由は、「職人がつくった会社だから」というのも大きい。職人さんも一社員のように関わっていただいています。そして、職人さんの満足度を高めるには、打ち合わせ時にいかに細かくヒアリングできるかというお客様との相談の質が大事。お客様からのクレームがあれば、職人含めて全社に共有していますし、職人さんからのご意見は、営業に対して面と向かって言ってもらうようにしています。時には言い合いになることもありますが、それは相手のことを本気で考えているからこそ。職人さんから直接ぶつけてもらうことで、営業は自分が大雑把な仕事をすると後々どれだけの人に迷惑がかかるか考えて行動するようになります。職人さんの想いや考えをきちんと感じ取るためにこういったコミュニケーションは大事だと思っていて、ここはデジタルでは解決できない部分ですね。こうした職人さんとのコミュニケーションを積み重ねていくことに加えて、お客様アンケートの結果や現場規則の徹底度合い、クレーム件数などを見ると、職人さんの仕事ぶりも肌感覚でわかるようになります。

こうした主客一体体制を構築することが競合優位性にも繋がっています。お客様が並行検討されるのは平均4社で、そこから営業担当者の対応の仕方や人柄、現調のクオリティ、見積りプランなどのプレゼン力、職人の質で比較されるわけですが、弊社の見積提案時からの成約率は60%、顧客満足度も98%と、非常にご満足いただけています。

塗装職人からスタートし、「塗装を通して地域の資産を守っていきたい」という想いで同社を設立した毛内氏。その想いを具現化するための組織体制を構築し、新たな塗装の文化を築くために「塗装ファッション®︎」というブランドを立ち上げるなど、さまざまな挑戦を続けている。その中でも、職人がつくった会社として、職人ファーストを貫く姿勢が同社最大の強みとなっており、職人の持つスキルを最大限に引き出せる主客一体体制を構築することで、同社の顧客満足度98%を実現している。

後編では、組織規模の拡大に伴い自律的な組織体制を構築するための人材マネジメント、そして正確な経営判断のためのDXの取り組みについて迫る。

株式会社HOUSEinnovation
https://www.houseinnova.com
〒812-0011
福岡県福岡市博多区博多駅前3丁目28-4-203
代表取締役:毛内將元
設立:2016年1月

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
ライター:金井さとこ
デザイン:佐藤茜