ANDPAD CUP完了レポート / 年間200棟超のビルダーが目指す「着工平準化」から「完工平準化」へ / 〜前編〜社員の自発性を育んだANDPAD横断マイルストーン予実管理の徹底活用

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西崎 宏志氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 取締役 部長
高校卒業後入社し、同社一筋。現場監督として手掛けてきた住宅は200棟以上にのぼる。現在は、合同会社絆工房ヤマサでの職人育成にも携わり、住宅施工に関する深い知見を活かし若手育成にも注力。

郡山 憲司氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 次長
大学卒業後、新卒入社。設計業務を経験した後、開発部門に異動し、新商品開発や施工技術開発などに携わる。

篠田 秀明氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 係長
住宅会社を経験後、同社に中途入社。積算業務、商品企画を経て、現在は工務の業務改善、社員大工育成に携わる。



DXの実現には、各社それぞれが描く未来像に応じた業務プロセスの変革と、それに呼応したANDPADの運用構築が必要です。そのためにまずは、社内外のANDPADを利用するユーザーに、目的に応じた利用が正しく浸透することが必要不可欠になります。そこで、ANDPADでは、お客様のDX実現のために「ANDPAD CUP」というサポートプログラムをつくりました。



今回は、鹿児島県で70年以上に渡り、郷土の気候風土に合わせた家づくりに取り組み続けているヤマサハウス株式会社の取り組みについてご紹介します。同社は、高温多湿の地域性に特化した工法で地域の家づくりを牽引し、地元の方々からの信頼も厚い会社です。

同社は2019年にANDPADをご導入いただきましたが、拠点によって運用に差が生じていました。全ての拠点で平準的に利用ができている状況をつくり、現場でのミスやトラブルに積極的に対応できる情報管理体制をつくることを目指し、「ANDPAD CUP」を共催。1年間の取り組みを終えて、同企画を推進している3名にインタビューを実施しました。前編では、「ANDPAD CUP」で設定した指標に対する振り返り、取り組みを通して社内に生まれた意識や行動の変化について紹介します。

取り組みの目的や中間報告レポートについてはこちら

ANDPAD CUPを通じて会議体の運営が効率化し、会議体品質も向上

同社には、着工枠を固めるための品質確保枠調整会議(以下、品確会議)という月次の会議体があります。品確会議に参加するのは、全拠点長と、工務責任者の方々など。品確会議に向けて、事前に各拠点の営業、設計、IC、監督が入力した担当案件の予定日、実績日を、会議では確認していきます。以前は、従来利用していた社内システムとそこから出力したExcelを利用して各案件の予定日・実績日情報を集約していましたが、「ANDPAD CUP」を機に「横断マイルストーン予実管理」での会議体運営に切り替えました。そして「ANDPAD CUP」としては、「拠点単位の入力実施状況を評価する」という基準を設け、横断マイルストーン予実管理の実績日について、入力実施状況をデータで追っていきました。

2021年10月に実施した中間報告では、「横断マイルストーン予実管理」を活用するようになったことで、以下のような業務改善が図れているという報告をいただきました。

■ 1時間以上かかっていた品確会議の時間が大幅に短縮

■ 物件に対する関心が高まり、問題点に早く気づいて早期対応できるようになった

■ ANDPADの横断マイルストーンに運用変更してからは、データに誤りがあった場合でもすぐ訂正できるように

■ ANDPADはデータが即時共有されるため、必ず同じものを見られるようになり業務が効率化

そして今回、2022年5月にANDPAD CUP完了報告会を実施。「横断マイルストーン予実管理」で予定日に対して実績日を入力している割合は、全拠点で80%以上を達成しました。当日は、評価指標に基づいて各部門の受賞者の表彰が行われました。

表彰式の様子。各部門の受賞者のみなさまと、西崎氏。担当カスタマーサクセスの芳賀彩乃より、受賞者に表彰状とトロフィーを進呈

ーーでは、今回の「ANDPAD CUP」の振り返りをさせていただきたいと思います。中間報告時点で、品確会議の中身の変化や事前準備について変化を実感されていたと思いますが、「ANDPAD CUP」終了を経てその点はさらに変化がありますか?

西崎さん: 以前は会議に1時間半くらいかかっていました。中間報告以降も意識高く入力してくれているので、今では1時間くらいに短縮できています。担当者がより責任感をもって入力の精度を上げればさらに効率化できると思うので、今後に期待したいですね。

ANDPAD上で編集もしやすいので、会議中に予定日や実績日の修正がすぐにできます。以前は、修正したものをきちんと振り返らず再発防止策まで議論できていなかったため、同じような問題が起こってしまっていたのですが、ANDPADは最新の状態が確認できて、データの先祖返りが起こらなくなりました。

ヤマサハウス株式会社 工務部取締役部長 西崎 宏志氏

横断マイルストーン予実管理機能によって社員の着工に対する意識が高まった

――完了報告の結果を見てみると、中間報告から順位が変動している拠点もありますね。中間報告を経て拠点長の方々の意識や行動に変化があったのでしょうか。

篠田さん: 「横断マイルストーン予実管理」機能を使うようになってから、拠点長から「これどう使うの?」、「入力を間違えた場合はどうすればいい?」というようなANDPADに関する質問がくるようになりました。アンドパッドさんからは「社員さんから上がってくる質問の数も利用率向上の先行指標」と言われていたので、社内できちんと使われるようになってきている証拠だと思っています。

また、「もっとこういうことができないか?」と、マイルストーンの項目追加に関する要望も出てくるように。社員の主体性が芽生え、ANDPADの運用に対しても現場から建設的な意見が出てくるようになったと感じています。

ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 係長 篠田 秀明氏

郡山さん: 「ANDPAD CUP」の中間報告をやってよかったですね。約1年に渡る取り組みになるので、どうしてもスタートがピークでどんどんみんなのモチベーションは下がってしまう。中間地点でもう一回モチベーションを上げられたことで、入力率80%以上で着地ができたのかなと思います。

ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 次長 郡山 憲司氏

――ANDPADの「横断マイルストーン予実管理」を利用するようになってから、社員の方々の意識や行動にはどのような変化がありましたか。

篠田さん: 社員との会話のなかに、ANDPADという言葉がよく使われるようになりました。以前は、社内で情報共有をするにもいくつかの手段があって、ANDPADはそのなかの一つという存在でした。でも、今は「情報をアップするならANDPADに」と、ANDPADに情報を集約することが共通認識になっています。まだ拠点長の入力率が高いところもあるので、完璧とまでは言えませんが、だいぶ変わってきたと思います。

西崎さん: 現段階では、着工までの予実管理の改善に取り組んでいます。着工がずれないようにみんな意識していますが、「横断マイルストーン予実管理」を使うようになってから「いつまでに何をしないといけない」という意識が高まってきて、先読みした行動ができるようになりました。これによってだいぶ着工遅れは改善しています。以前は、着工後の準備ができていないことなどが原因でトラブルが発生することもありましたが、今はそういうことがなくなりました。

篠田さん: マイルストーンの項目数が多いと入力しなくなる懸念があったので、スタート時は最小限の項目数に留めて、一旦は非表示にしていた項目もあります。運用しているうちに、社員から「この項目も必要では?」と声が上がるようになりました。まだ全部の項目を出しているわけではありませんが、要望に合わせて徐々に項目数を増やしています。

郡山さん: 最近だと「最終図面の確定を示す「着工前の電子押印」が下流工程に大きな影響を与えるマイルストーンだよね」と拠点長の皆さんから意見が上がったので表示することに。最初は入力率が悪かったものの、今では実績日未入力かつ遅延ありの状態は1、2個くらい。マイルストーンに表示されている項目は入力しようという意識づけができています。追加項目についても、われわれ推進側から特に働きかけはしていなくても自発的に入れてくれている状態です。

また、マイルストーンを見て、例えば着工承認日が着工日より後になっているなど問題点に気づけるようになり、工程の流れをみんなの共通認識として持てるようになりました。以前は、われわれ工務部の3名だけが問題点に気づき、その都度拠点長に指摘していました。われわれが指摘しても拠点長にはそれが後々どのような影響が出るものなのかイメージが湧かず、何が問題なのかが伝わらないことも。今では拠点長が自発的に動いて、問題点に対して拠点長同士で議論ができるようになっています。以前はわれわれ3名しか認識していなかった問題を、今はみんなが気づいて解決に向けて考えたり議論できるようになったので、自分たちだけでやるしかなかったことが減り、負担感も軽減しました。

ANDPAD導入時は、社員の中には「ANDPADは工務部のもの」という意識が強く、こちらからの働きかけに対しても「そんなの面倒」、「工務部が勝手にやってよ」という雰囲気がありました。今回、「ANDPAD CUP」で拠点長が旗を振ってくれたおかげで、営業も設計もICもみんなが主体的に取り組んでくれるようになりました。今回の表彰でも、工務部だけではなく他の部署の人も表彰に出てきてくれている。それも取り組みの成果の一つだと思います。

西崎さん: 以前は、予実がずれるなどした時に「何が原因なの?」と拠点長に聞いても、担当者に聞かないと分からなかったり、会議の場で問題が発覚するということもありました。今は拠点長が拠点の情報をまとめているからこそ、拠点長自身が問題を事前に把握できるようになり、品確会議までに問題を整理した状態で参加しているので、会議がスムーズに進むようになっています。同時に、会議の本来の目的である、議論をしっかり深めることができるようになってきました。

先ほどの電子押印の話も含めて、マイルストーンの項目を増やすことで仕事のルールができてきて、仕事のやり方に統一性を持たせられるようになりました。

さまざまな要望に対して、アンドパッドがしっかりと伴走

――「ANDPAD CUP」の取り組みを通じて1年間伴走させていただいたアンドパッドへの率直なご感想もお聞かせいただけると嬉しいです。

篠田さん: アンドパッドさんには、私を筆頭にいろんな注文を出しているので、凄く大変だろうなと、注文する側から思っています(笑)。それに対してしっかり話を聞いていただいて、弊社だけではなく全国的に汎用性のあるものかどうかを判断して、重要度の高いものに関しては開発にも繋げて改善してくださって、とても感謝しています。

西崎さん: 今回の「ANDPAD CUP」はとてもいい企画をしてもらったと感じています。社員を巻き込んでいく上で、自分たちの発信力が不足していた部分があったというのは反省点ですね。

郡山さん: アンドパッドさんには遠慮なくリクエストさせてもらっています。時間がかかっても実装していただいているので、期待値も上がりより要望が出てきます。遠慮してしまうと伝えたいことが伝わらなかったと思うので、要望を気兼ねなく言える関係性でいられたことは凄くありがたいです。

* * *

「横断マイルストーン予実管理」を活用するようになったことで、品確会議が効率化されただけでなく、社員の工程の流れに対する意識が高まったという同社。今ではみんなが工程における問題点に気づいて解決に向けた議論が活発になるなど、社員の主体性が育まれています。そして、徐々にマイルストーンの項目を増やしていくことで、仕事のルールが整いつつあるといいます。

後編では、「ANDPAD CUP」における具体的な現場での取り組みと、推進者の皆さんに本プログラムの総括として今後の課題と展望について紹介します。

ヤマサハウス株式会社
https://yamasahouse.co.jp/
〒892-0836
鹿児島県鹿児島市錦江町1-4
代表取締役:森 勇清
創業:1948年6月23日

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸