ANDPAD HOUSEプロジェクト レポート#05 / ANDPAD HOUSEのスマートホーム化計画とは!?

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彌冨輝彦
株式会社アンドパッド 経営戦略本部
2018年8月に入社し、ANDPAD引合・粗利開発のプロダクト開発とエンジニア採用に従事。2019年末からANDPAD受発注の開発を始め、受発注事業推進に開発側から携わる。

2021年1月、アンドパッドが施主となり実験住宅の設計・施工を通して「数年先に実現する設計・施工のDX」を先行して実証するための産学連携プロジェクト「ANDPAD HOUSE」がスタートしました。本プロジェクトを通して、BIMとANDPADが効果的に設計・施工プロセスのDXに寄与することを検証し、木造建築・住宅におけるBIM活用の効果と知見を深め、共有していくことを目指しています。
プロジェクトの概要はこちら↓
https://lp.andpad.jp/2590/

アンドパッドが施主となって進めている実験住宅「ANDPAD HOUSE」。本稿は住空間体験を軸に「ANDPAD HOUSE」のスマートホーム 化計画について紹介する。
ANDPAD社員の保養所となる予定のANDPAD HOUSE。その用途は社員の休暇、開発チーム合宿や経営合宿など、多種多様なチーム・個人の用途での滞在先になる予定だ。そのようなANDPAD HOUSEでスマートホーム化計画を推進している彌冨輝彦(ANDPAD HOUSE施主役担当)に内容を聞いてみた。

ANDPAD HOUSEのスマートホーム化の目的とは?

まず、今回ANDPAD HOUSEをスマートホーム化するにあたり、どういう観点での利便性が求められているかを整理して大きく6つの要件にまとめました。


  • ベンダーロックインはデバイス刷新時のリスクなので避ける

  • 施設のシステム管理者は自動化の設定やデバイス間の連携の設定などを管理し遠隔地からでも電力使用量の確認などを行える必要があるが、施設の利用者は利用時に不便なく各種デバイスを使えれば良い。そのため、両者間でどう使い分けることができるのか権限を分ける必要がある

    • 施設利用者は基本的に手動操作と音声操作のみに限定することで余計なアプリのインストールは最小限で済みながらも滞在中に必要な操作は十分可能となる

    • システム管理者は管理アプリの操作権限を持ち、必要に応じて使用して確認したり、設定を変更できるようにする



  • セキュリティ対策のためバージョンアップは自動適用

  • 不正アクセス、電池切れ等の想定外の事態への対応方針を用意する

  • 管理するためのアプリが多くならないようにする

  • 施設の利用は、施設管理者は常時、施設利用者は利用中のみ使用できるようにし、その運用を予約するシステムと連動させられるようにする


※ベンダーロックイン・・特定ベンダーの独自技術に大きく依存した製品、サービス、システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換えが困難になる現象のこと。

具体的にどういったデバイスを使用する予定なのか?

電力の見える化を行うシステムのことをHEMS(Home Energy Management System)と言いますが、HEMSを包括的に導入するのであればPanasonicなども候補にはあがりました。
しかし、冒頭にも述べましたようにベンダーロックを避けるため、また上記の要件を踏まえて、今回は以下のデバイスを使用する計画です。

利用者が手動操作以外に音声操作をできるようにGoogle Nestを導入することにしました。Amazon Alexa とどちらにするかは迷いましたが音声認識の精度についての調査もあり、より音声操作がスムーズに行えるべきと判断してGoogle Nestにしました。また、スマートデバイスと統合しにくい家電の操作を想定して赤外線操作が可能なNature Remoを導入します。

照明については、デザイン性等の理由から全箇所にPhilips Hueのスマートデバイス対応の照明を導入することは厳しいだろうと判断し、スマートスイッチを導入することでスマートデバイス非対応の照明も音声操作が可能なように配慮しています。Philips Hueの照明は明るさや白さの調整が可能なのでシチュエーションによって使い分けたい箇所に取り付ける予定です。他にも、深夜の行動時に自動で足元照明がつくようにすることで段差箇所の安全性を確保するようにします。

スマートロックは利用者にのみ一時的な鍵を払い出して利用が終わったら無効にできる仕組みが必要でした。また利用の際にスマートフォンのバッテリー切れといった場合にも対応できるように暗証番号入力にも対応してあり、そして不具合の際には24時間対応可能なサポート体制のあるものを選定しています。

空気センサーは、部屋の二酸化炭素濃度によって集中力の低下が起こりうるので合宿効率を下げないためにも換気を促せるような仕組みを設定する予定です。

他にも、検討した結果今回は使用しないことにしたものもあります。カーテンの開閉・掃除・冷蔵庫がそれに当たり、掃除は部屋の段差の観点から、カーテンの開閉は電池の取り替えといった運用・保守の観点で今回は見送っております。

設計者とはどういったやりとりを行なったのか?

これまでお話したように、どういったデバイスをどういった目的で導入したいのかをまずまとめました。
その上で、以下の一部例のように部屋の平面図に対してそれぞれをどのように配置したいのか、希望の配置図を作成して共有しました。
設計者側の方では個々の導入にあたっては、照明やセンサーであればコンセント配置と電気配線によるコストとのバランス、ドアの施錠であれば防火基準、インターネット回線であれば光終端装置をどこに置くかといった施工観点での観点も総合的に配慮しながら改めて配線図や照明配置図に反映してくださいました。

他にもプロジェクターの明るさ(ルーメン)が十分なものであるかの確認を行なったり、スマートホーム化と家全体のデザイン性のバランスについても確認していただけており安心できました。

スマートホームで使用する各種デバイスの設置位置について検討を重ねる中で使用された計画図

最後に

今回はANDPAD HOUSEにおけるスマートホーム化の計画を説明させていただきました。
施工の過程でどうしても対応が難しくなる箇所はありえるので計画とは少しズレが生じるかもしれませんが、冒頭の要件を満たせるようにスマートホーム化を推進します。
家が竣工したら実際に上記のように計画していたデバイスの設置とその設定を行います。
続編ではその設定周りや、その上で滞在した体験記について発表させていただければと思います。

ライター:彌冨輝彦
編集:平賀豊麻
デザイン:安里和幸