ANDPAD HOUSEプロジェクトレポート#02 国交省BIMプロジェクトで検証すること

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曽根勝卓
株式会社アンドパッド ANDPAD ZERO
一級建築士、一級施工管理技士。
新卒でゼネコンへ入社。商業建築や高層マンション、航空旅客施設、工場等を現場監督として施工管理業務に従事。現場監督として現場の最前線で業務を行う。
2021年3月よりアンドパッドへ参画。

BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(以降「国交省BIMプロ」と記載)に採択。元スーパーゼネコンの現場監督経験者である曽根勝卓(ANDPAD ZERO)にANDPAD HOUSEプロジェクトがどのような観点で「国交省BIMプロ」に採択されたのかを詳しく聞いてみた。

令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業

まず初めに、今回採択された国交省BIMプロでの、他の採択者は組織設計事務所、ゼネコン、デベロッパーなど業界のリーディング・カンパニ-7社でした。
そこにアンドパッドの名前が並んでいるのは不思議な感じがします。
それでは、具体的に本プロジェクトで検証する内容を元現場監督の視点も交えながらご紹介していきたいと思います。

BIMモデル事業で検証すること

BIMモデル事業としてANDPAD HOUSEの建設プロジェクトでは下記2点の目標を立て、BIMやICTツールなどを活用し実証実験を行います。


  • 検証A:CDE※下でのBIM活用を通じたリモートワークの実現による生産性の向上。

  • 検証B:BIM活用によるECI※の採用に伴う工期の削減


※1CDE:発注者が定めた発注要件や実行計画、情報ルールに基づき、設計、施工、維持管理の各フェーズでデータを保存できる「共通データ環境」
※2ECI: 設計段階から施工者が参画して施工の実施を前提として設計に対する技術協力を行う

検証A:「CDE下でのBIM活用を通じたリモートワークの実現による生産性の向上」について

できる限るリモートワークで企画段階から竣工までを迎えることが目標です。
例をあげますと、下記のような内容を行いながら、どこまでリモートワークで出来るのかを検証していきます。


  • 定例会議はビデオ会議で行う

  • 設計者であれば、立会検査は遠隔臨場

  • 施工者であれば、ANDPADを活用することで工程管理と品質管理で現場訪問を減らす

  • 施主であれば、日々の進捗報告をANDPADの施主報告機能や動画リアルタイム共有で確認する。

ZOOMで実施しているANDPAD HOUSEプロジェクトの定例会議の模様

現在、実施設計から積算へのフェーズですが本プロジェクトの定例会議はすべてZoomで進めておりフルリモートで行っており、リアルにお会いしている関係者の方が少ないという状況です。

今までの打合せはフルリモートで行っているので、隔週の定例への移動時間(1日当たり往復1時間と仮定)は10回(定例)×1時間=10時間/人。
定例には15人ほど参加しているので、今までで150時間もの移動時間の短縮に成功しています。


その分、他の作業ができるので生産性は向上したと言えるのではないでしょうか。

ゼネコンの現場では、乗込み前に施工打合せを専門工事業者の番頭や職長とするのですが、職長は遠方の現場にいたためその打合せに来れないときがありました。
施工方針・計画を番頭へ説明し、工程表と図面を渡していたのですが、後日別途職長が現場事務所にきた際に、資料と工程表を渡し、同じ説明を再度実施するということがありました。
職長曰く、番頭と電話では話したが会えなかったので話を聞こうと思って来たとのことでしたが、ビデオ会議を活用すればこのようなことが少なくなるのではと、ANDPAD HOUSEの建設プロジェクトを通じて感じました。

検証B:「BIM活用によるECIの採用に伴う工期の削減」について

ECIとは施工者/製造者が基本設計から実施設計段階から関わることで、設計-製造-施工の情報がワンストップ化していくというものです。
従来型ですと、実施設計が終わった段階から施工者が参加するのですが、施工者は見積段階をタイトなスケジュールで行う必要があり、そのため積算ミスや施工検討不足などが起こりやすくなります。

従来型とECI型の比較

ECI型のメリットとは?

基本設計段階から施工者の意見も反映されるため、以下の3点が非常に大きなメリットだと言えます。


  • 設計段階で施工者の懸念事項や検討に時間がかかる項目を先手管理することができる。

  • 早期から作図を始められるため、製作物や発注物の納期管理がしやすくなる。

  • 施工が始まる前にから施主、設計者、施工者が関係性を構築できる


具体的なユースシーンとしては、
「鉄骨工事で鉄骨柱と梁の接合部を設計者はコスト削減を重視して溶接接手を採用していたが、施工者は溶接工の確保が難しい時期と予想されるため、高力ボルト接合に変更を提案した」というようなコミュニケーションが早期から行えることによって、より良い建物を建設できると思います。

BIM活用のメリットについて

(実施設計段階の内観イメージ)

プロジェクトでは現在実施設計が終わろうとしています。その中で、従来議論されてきたことですが、以下の3点は非常に価値があると感じています。


  • 施主にとっては、マイホームのイメージがしやすくなる

  • 設計者にとっては、設計意図や部材情報などを施工者と共有しやすくなる

  • 施工者にとっては、積算や納まり検討、仮設計画など従来より容易に行える


ゼネコンの現場でも、実際まだまだ事例は少ないですが、次のようことはすでに行われています。

  • フーチングなどの複雑な配筋納まりの検討に活用

  • 鉄骨建て方計画をBIMによる3D施工シミュレーションで行う


まだまだ、BIMユーザーやBIMマネージャーなどの人材育成は課題として残っていますが本プロジェクトでは、国交相を通してそれを超えるメリットを具体的に提示していければと思います。引き続き、よろしくお願いします。

次回は、対談形式で基本設計-実施設計-積算を終えて、意匠設計者・構造設計者・施工者の実務者目線でここまでを振り返りたいと思います。

ライター:曽根勝卓
編集:平賀豊麻