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サスティナブルな現場監督育成を目指す~前編~

〜前編〜現場第一主義を貫くためにANDPADを活用

目次

  1. ダイエープロビス株式会社の特徴・強み
    1. ゼネコンの知見を活かして、「仲間」と共にお客様の信頼を築く
  2. 現場監督として大事にしているのは、“現場第一主義”
    1. 監督業としての“現場第一主義”へのこだわり
  3. サスティナブルな現場監督育成を目指す
    1. どこにいっても活躍できるスキルを身に付けた監督を育成したい
  4. 創業者の想いを継承した「現場きれい日本一」の取り組み
    1. デジタルの活用で、現場美化を徹底

新潟県長岡市を拠点に、「BUILD! YOUR DREAMS」という企業理念を掲げ、技術と誠意でお客様の幸福と快適な環境をプロデュースするダイエープロビス株式会社。協力業者を含めた「仲間」と共に、お客様との信頼関係を築き上げ、サービスマインド豊かで、地域から愛される持続可能な企業を目指している。今回は、住宅事業本部 住宅建築部 部長・山口稔氏に実施したインタビューを全2回でご紹介。前編では、ゼネコンでの現場監督経験者である山口氏に、現場第一主義への思いと現場きれいへの取り組み、現場監督の育成について伺った。

山口稔氏
ダイエープロビス株式会社 住宅事業本部 住宅建築部 部長
土建業の父親の影響もあり「地図に残る仕事」をしたいと土木建設業を志す。就職の際に「自分の家は自分で建てたい」という思いも重なり総合建築業の同社に入社。入社後は7年間ゼネコン部門の現場監督としてさまざまな現場に携わり、その後住宅事業へ異動。ゼネコン部門での経験を活かしながら住宅建築の現場監督として活躍後、現職。

ダイエープロビス株式会社の特徴・強み

ゼネコンの知見を活かして、「仲間」と共にお客様の信頼を築く

費用が不透明な住宅業界のイメージを払拭するために、しっかりとした見積もりのオリジナルブランドの住宅建設を展開すると同時にFCの施工店として事業をスタートし、現在は大規模開発造成や道路工事、公共施設や医療福祉施設などの大型施設の施工を行う総合建設業として、街全体をプロデュースしているダイエープロビス株式会社。約50年の歴史と多くの住宅施工実績を誇り、200社以上の地元協力会社を組織しているのが同社の強みのひとつだ。社員だけでなく協力業者を含めた「仲間」と共に、街づくりを通してお客様との信頼関係を築き上げてきた。

住宅事業においては、5年前から展開を強めるために2ブランド化している自由設計の「グリーンスタイル」、コストパフォーマンスを意識した規格住宅「ニコニコ住宅」を展開しており、長岡の気候を知り尽くした設計やデザイナーによってお客様のライフスタイルにフィットした住まいを提供している。

山口氏: 元々私もゼネコン部門の現場監督出身ですが、ゼネコンの知識と経験を活かした家づくりができるのが他社にはない強みだと考えています。住宅部門に転属になり、ゼネコンに比べて住宅領域のほうがお客様との距離感が近いのはもちろんですが、協力業者様ともより近い距離感で仕事をしないといけないと感じました。住宅の場合は持ち回りで同じ協力業者の方々と関わっていくので、継続的なお付き合いのなかで職人との人間関係をとても大切にしています。

山口稔氏 ダイエープロビス株式会社 住宅事業本部 住宅建築部 部長

現場監督として大事にしているのは、“現場第一主義”

監督業としての“現場第一主義”へのこだわり

現在、同社の現場監督は11名。平均30歳と、経験の浅い若手中心の人員構成となっている。工期は規格住宅で平均4ヶ月、注文住宅で平均4.5〜5ヶ月で、比較的余裕のある工期で設定している。その理由は、検査に重点を置いているためで、竣工後の社内自主検査と第三者機関との2回実施している。こうした徹底した検査体制からも、同社のお客様に対する責任と誠意を感じることができる。

山口氏が現場監督として大事にしているのは、ズバリ“現場第一主義”。同社が協力業者を「仲間」と位置付けていることからも、現場を第一に考え、関わる人と共に成長していきたいという姿勢が感じられる。お客様の幸福を実現する会社として成長を続け、次世代につなぐ強い会社をつくるためのチャレンジとして、社員が働きやすい環境づくりや人材育成にも取り組んでいる。

山口氏: ゼネコン部門での経験が大きく影響していて、当時はPCもない時代だったので、仕事は現場に行かなければなかった。先輩方から教えてもらう機会も少なく、現場で見て覚えるというのが当たり前だったので、現場で職人さんからダンドリや、何からすればいいのかなど、全部を現場の職人さんに教えてもらいました。それ以来、職人さんの声は大事にしています。

机上で物事を考えることも大事ですが、1日1回現場に足を運ぶ意識をもつよう部内の社員にも常々発信しています。私自身は建築に興味をもってこの業界に入ってきたので、仕事がとても楽しく、やりがいを感じています。1棟ずつ条件が違うので全く同じものがなく、より良いものをつくるために高みを追求していく楽しさを、どうやって若手に教えていくべきか模索しているところです。楽しさややりがいは本人が感じて自ら動いて欲しいので、一度は言葉にして伝えますが、何度も同じことを言って無理にやらせたりはしません。時間がかかるやり方だとは思いますが、こればかりは人から教えられるものではないですからね。



サスティナブルな現場監督育成を目指す

どこにいっても活躍できるスキルを身に付けた監督を育成したい

同社は、地域に密着した企業として責任を全うするために、サスティナブルな会社を目指している。未経験の若い世代を積極的に採用し、他社でも活躍できるスキルを身に付けられるよう人材育成に注力している。現場監督が施工図を描くのもその一環だ。正確な施工図を描くためには、現場における職人の作業をしっかりと把握していることが大前提となるが、経験の浅い現場監督は、現場に行く目的が明確になっていない状態でとりあえず行ってしまい、なかなか現場の全体像が把握できないというケースも多い。そのため、チームごとに横断管理表で毎日進捗を確認しながら、監督としてのスキルアップを図っている。

山口氏: 着工前に施工図を描くのが理想ですね。施工図を描くことで初めて細かなディテールや部材の寸法などがわかることもあるので、着工前に描いた施工図が実際現場を動かした時にその通りになったのかどうかが大事。物件デザインの複雑さなどにもよりますが、現場を担当するようになって1〜2年後くらいには施工図を描けるように教育しています。新卒の若手や異業種からの転職者は技術的な面で苦労することが多いので、経験者がサポートを行い、チームごとに施工図をチェックしています。

また、監督一人あたりの棟数目標は年間10棟が目安となりますが、それぞれの適正や経験値を踏まえて設定しています。また、評価においては仕事で関わっている人の声を大切にしているので、月に一度全現場を巡回する際、職人に担当者について率直な意見を聞いています。あとは普段の働きぶりを見ていればきちんとダンドリができているかなどはわかりますから、社内からの評価と現場からの評価の両面で判断しています。

監督業務は多岐に渡りますが、当社では業務選別はしていません。現場監督を極めれば、安全・品質・工程・原価全てを管理できるわけですから、現場監督として必要なスキルを身に付けた技術者として育てたいという想いが強く、こだわっているところでもあります。その分、新人にはきついと感じることもあるかもしれませんが、他社に行っても通用する現場監督になってほしいですね。



創業者の想いを継承した「現場きれい日本一」の取り組み

同社は、「現場、きれい。日本一」という施工現場の環境改善と美化の活動に取り組んでいる。グリーンスタイル、ニコニコ住宅両ブランドにおいて、現場の様子を接客中のお客様に建築現場を自由に見学していただくことで構造、安全、施工面の品質を訴求し、営業面での後押しにしている。

山口氏: 元々は創業者である河野が10年以上前にスタートさせた取り組みです。河野は、「掃除をすると、落ちているゴミが気になるはず。現場にあるゴミは本当にゴミなのか。これ全部お金だよなと考えると、掃除は大事だ」と言っていましたが、当時の自分は考えが甘く、現場の状況を考えるとそんなことはできないと思っていました。しかし、今の立場になって、この先競合他社との価格勝負から抜け出して住宅業界で生き残っていくために、お金をかけずに現場ができる営業活動とは何かと考えた時に、河野の言葉を思い出したのです。自分自身が逆の立場になってみて、お客様にとって一生に一度の建物を大事につくることは大切なことなのだと改めて実感しました。現場美化に対する意義を感じたので、3年前に「現場、きれい。日本一」を掲げました。他社でも取り組んでいることではありますが、なかなかうまくいっていないというのが現実なので、挑戦する価値があると思いました。


インタビュー後に山口氏のご好意でアポ無し現場訪問をさせていただいた。突然の訪問にもかかわらず材や工具、備品は整理整頓されており、作業中にも関わらずとてもきれいな現場に感動を覚えた。

デジタルの活用で、現場美化を徹底

現場美化を徹底させるために、まずは社内の監督の意識を変える必要があると考え、山口氏は監督への周知徹底を行い、監督から協力業者に取り組みへの協力を仰いだ。

この現場美化の取り組みが協力業者にも根付き、形になってきたのは今年になってから。表彰制度を設けたことで、協力業者の競争意識も芽生えるなど主体的に取り組んでくれるようになった。現在は「基礎工事」と「木工事」を対象に、上位の協力業者を表彰し、表彰内容はANDPAD上で共有することで評価基準が明確となり、現場美化の取り組みへの意欲を掻き立てるきっかけにもなっている。

山口氏: デジタルを活用しながら人を大事にするコミュニケーションを続けていくことが大事なので、今はその基盤をつくっている段階。ANDPAD上で表彰者を共有することによって協力業者同士の競争意識が芽生えて刺激を与えられました。また、日々の良い活動についてもANDPADのチャットで紹介することでちゃんと活用しようという意識を持っていただけるようになってきているので、デジタルツールの影響力は大きかったですね。現場美化の取り組みにおいては、きれいにすることだけが目的ではなく、お客様がきれいだと思ってもらえるレベル感のバランスが大事だと思っています。無理なくいかに続けられるかという観点で、どのような基準を設定するか検討していきたいです。

地域から愛される持続可能な企業であるために、“現場第一主義”を貫き、未経験者も含めた若い世代の監督育成に注力している同社。現場美化などの取り組みによって関わる全ての「仲間」と共にさらなる顧客満足度向上を目指しているが、後編では、ANDPAD導入にあたりどのように社内外に浸透させ、コミュニケーションの質を向上させていったのかについて迫る。

ダイエープロビス株式会社
URLhttps://www.daiei-probis.com
代表者代表取締役 権瓶 浩司
設立1974年6月27日
所在地〒940-0016 新潟県長岡市宝4丁目2番地25
取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸
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