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顧客満足の永続的追求を目指す地域密着型工務店に迫る

〜VOl.1〜人事評価指標にも連なるお客様アンケートの取り組みとは

目次

  1. 地域密着型企業として顧客満足を追求
  2. 顧客満足の追求から生まれた協力業者会「賢匠会」
  3. 顧客満足にこだわる理由

不動産売買や土地活用、戸建て住宅の新築事業など幅広い事業展開をしているネクストグループで、愛知県エリアを中心に新築事業を展開しているのが株式会社愛知建設だ。創業当時から顧客満足を追求し、地元密着型企業として持続経営をしていくための売上成長戦略として、現場監督一人あたりの年間着工棟数の増加を目指している。そして、現場管理と併せて顧客満足度を高めるために、2019年からANDPADとオプション機能のANDPAD施主報告を導入した。同社ではANDPAD施主報告を用いて着工後の監督業務の一つである「お客様連絡」の平準化に取り組んでいる。今回は、この取り組みの中心的役割を担う専務取締役・川名真治氏、工事課 課長後藤義明氏へのインタビューを全3回でご紹介。Vol.1では、同社の特徴と、顧客満足度へのこだわりについて、川名氏に伺った。

川名真治氏 (写真右)
ネクストグループ 株式会社愛知建設 専務取締役
株式会社愛知建設創業メンバー。元鳶職経験者で、住宅会社へ転職後、営業職、現場監督などさまざまな職種を経て、豊蔵社長とともに西東京建設(ネクストグループ)を創業し、現職。

後藤義明氏 (写真左)
ネクストグループ 株式会社愛知建設 工事課 課長
RCマンションの現場監督、ゼネコンの下請け等RC、SRC、店舗、住宅など幅広い現場監督の経験をもつ。顧客が見える仕事がしたいという思いから、2014年同社に入社。工事課の立ち上げに尽力し、現在に至る。

地域密着型企業として顧客満足を追求

不動産売買や土地活用、戸建て住宅の新築事業など幅広く展開するネクストグループで、愛知県エリアを中心に新築住宅事業を担っている同社。「家づくり」は人生でいちばん大きな買い物ではなく、人生でいちばん大きなプロジェクトと捉え、事業ミッションとして顧客満足の追求にこだわり続けている。顧客の感動体験を増やし、感動する「住まい」と「家づくり」を提供することで、その結果として紹介の輪を広げていきたいという考えだ。現在の紹介率は7%だが、目標は40%。ゆくゆくは引き渡し後の全顧客の家がモデルハウスとして機能するような世界観を目指す。

特にお客様アンケートには力を注いでおり、社内の人事評価においても全顧客接点を持つ社員に対してアンケート回収率を賞与査定に反映するなど、大事な指標として徹底している。

川名氏: 当社のお客様アンケートの評価は「非常に満足、満足、不満、非常に不満」の4段階。通常の5段階評価にある「普通(どちらでもない)」という項目がありません。というのは、われわれにとって「満足=当たり前」で、「非常に満足」をいただけなかったら顧客満足ではないと考えているから。

お客様のなかにはアンケートに不満を書きたくないという方もいらっしゃるので、現状の社内評価はアンケート結果よりも回収率を重視しています。顧客満足のためにやっているかどうかは普段の仕事ぶりでもわかるので、回収率で数字的な裏付けを取っています。

川名真治氏 ネクストグループ 株式会社愛知建設 専務取締役

顧客満足の追求から生まれた協力業者会「賢匠会」

そして、同社の顧客対応として特徴的なのが、アンケートで一つでも「不満」と回答したお客様に対して役員が訪問してクレームや不満の理由を直接伺い、対応しているということだ。地域密着型にこだわり、家づくりをお客様の人生の中でも一番大きなプロジェクトと捉え、顧客満足度に対して徹底的に、そして愚直に向き合っていることがわかる。信頼を得ているという表現に値するのは、紹介率が40%で達成して初めて自称できると彼らは考えるのではないか。

さて、良質な顧客体験を提供するうえで欠かせないのが、家づくりを共に行う協力業者の存在だ。同社では協力業者会「賢匠会」と共に家づくりを行うが、実はこの「賢匠会」の発足に”役員訪問”の取り組みが大きく関わっているという。

川名氏: 実は現在「賢匠会」の会長を務めていただいている方は、当社で家を建ててくださったお客様なんです。当時、アンケートで「不満」の回答があったので私が直接訪問しましたところ、ご本人が鳶職でちょうど独立したタイミングだということがわかり、仕事を発注するように。すると、抜群に腕が良い職人だったのです。そこから親交を深めていき、共に協力業者会を立ち上げ、今に至ります。彼を筆頭に「良い業者が、良い業者を集める」と思っているので、プライドと熱い想いをもった職人が集まっています。

ちなみに、ネクストグループ各社における協力業者とのコミュニティはそれぞれ異なるが、愛知建設の賢匠会は抜群に参加率が高いのだとか。その背景になるのかも知れないが、「賢匠会」の運営方法が非常にユニークなのだ。協力業者から協力会費を徴収し、それを予算として協力業者の自治制で「賢匠会」は運営される。ユニフォームを制作するといった使途についても、年度末の収支報告の場を設けてオープンに自治運営を行っている。そうした運営が風土形成に影響を与えているのか、年1回の懇親イベントや年に2回開催される安全大会の参加率は極めて高く、良好なコミュニティリレーションシップが醸成されている。

顧客満足にこだわる理由

Vol2、Vol3でより深掘っていくが、「賢匠会」との関係構築にしても、満足度の先行指標としてアンケート回収率を人事評価に組み込むという仕組みづくりにしても、全ては顧客満足の追求に帰結する。ここまで顧客満足にこだわるのは、創業時からの社長・豊藏氏の強い想いがあるからだ。

川名氏: ゼロの状態から当社を立ち上げたということもあって、社長の地域密着への想いは非常に強いものでした。社長とは前職からずっと一緒に仕事していますが、顧客満足を重要視する姿勢は一貫して変わっていません。

「家づくりの会社や人は何のためにあるのか?」と考えると、ストレートにお客様のために存在しなければならない。だからこそ、永続する企業である必要もある。家を建ててくださったお客様の長期的なメンテナンスなども含め、会社が続いていることも使命だと考えているので、持続経営も大切なテーマです。

営業は日頃お客様と接する機会も多いので、この考えは理解しやすいですが、工務など技術部隊には実感が湧きづらく浸透しにくい。現場監督もサービス業であると捉えて、技術的な業務であっても、頭の片隅にはお客様のためになっているかを考えてもらうようにしています。



ゼロの状態から築き上げてきた地域との関係性をより強固なものにしていくために、同社は顧客満足にこだわり続けている。4段階評価のお客様アンケートから、同社の顧客満足に対する真摯な姿勢が窺えた。また、目標としている紹介率向上に関しては、広告宣伝費や営業人員の省コスト化といったテーマが目的になるものではなく、利益体質づくりの観点はあくまでお客様の良質な顧客体験を生むことが目的であり、バランスシート上の利益については副産物にすぎないと捉えていることからも、同社の強い信念を感じた。

Vol.2では、持続経営をしていくための成長戦略に向けて、同社が取り組んでいる業務平準化の背景と目的、そしてANDPADの導入と活用を通してどのようなDXを目指しているのかについて迫る。

ネクストグループ 株式会社愛知建設
URLhttps://www.actie.jp
代表者代表取締役:豊藏 一幸
設立2014年6月16日
所在地〒470-0207 愛知県みよし市福谷町竹ヶ花9-1
取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸
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