顧客満足の永続的追求を目指す地域密着型工務店に迫る 〜VOL.2〜労務管理の強化と工程会議の体験変化をもたらしたANDPADの運用とは

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川名真治氏 (写真右)
ネクストグループ 株式会社愛知建設 専務取締役。株式会社愛知建設創業メンバー。元鳶職経験者で、住宅会社へ転職後、営業職、現場監督などさまざまな職種を経て、豊蔵社長とともに西東京建設(ネクストグループ)を創業し、現職。

後藤義明氏 (写真左)
ネクストグループ 株式会社愛知建設 工事課 課長。RCマンションの現場監督、ゼネコンの下請け等RC、SRC、店舗、住宅など幅広い現場監督の経験をもつ。顧客が見える仕事がしたいという思いから、2014年同社に入社。工事課の立ち上げに尽力し、現在に至る。

不動産売買や土地活用、戸建て住宅の新築事業など幅広い事業展開をしているネクストグループで、愛知県エリアを中心に新築事業を展開しているのが株式会社愛知建設だ。創業当時から顧客満足を追求し、地元密着型企業として持続経営をしていくための売上成長戦略として、現場監督一人あたりの年間着工棟数の増加を目指している。そして、現場管理と併せて顧客満足度を高めるために、2019年11月からANDPADとオプション機能のANDPAD施主報告を導入した。同社ではANDPAD施主報告を用いて着工後の監督業務の一つである「お客様連絡」の平準化に取り組んでいる。今回は、この取り組みの中心的役割を担う専務取締役・川名真治氏、工事課 課長後藤義明氏へのインタビューを全3回でご紹介。Vol.2では、顧客満足度を高めるための監督業務平準化の取り組みや、ANDPADを導入した背景と導入後の工程会議の変化、社内外への運用浸透プロセスとそれを支えた協力業者会の存在について伺った。

監督業務平準化のためANDPADを導入

同社の年間着工棟数は150〜200棟で、150棟ペースであれば毎月8棟〜12棟の平準着工を目標として掲げている。一昨年受注棟数が大幅に伸びた際、平準着工に向けて着工枠の調整を進めたものの、着工までの期間が伸びた分時間ができたということで、お客様がプランを熟考される傾向になり、結果的にプランがまとまらず予定通り着工できないという事態が発生した。その後受注棟数の落ち込みもあり、月毎の着工数が5〜15棟と山谷が大きくなり、協力業者のスケジュールにも影響が生じるなど、悪循環に陥ったという。

川名氏: 直近ではウッドショックによる木材調達が難航することもありましたが、その影響よりも、受注が減少したタイミングと平準着工に向けての取り組みの失敗が重なり、非常に危機感を覚えました。

川名真治氏 ネクストグループ 株式会社愛知建設 専務取締役。

現在、同社の工事課はチーム制を取っており、エリアごとに2名×3チームに統括管理の後藤氏を加えた7名体制となっている。監督業務の平準化を推し進め、売上成長戦略のなかで、現場監督一人あたりの年間着工棟数は28棟を目指す。チーム制を取るにあたり、メンバーそれぞれの業務の可視化が必須であると考えた後藤氏はデジタルツールの導入を検討し、ANDPADを導入した。

川名氏: いろんな試行錯誤を経て、チーム制に移行したのはここ2年のこと。従来の労働環境ではワークライフバランスを保つことが難しいと監督から相談が上がってきたことや、今後ネクストグループとしてさらなる事業成長を考えた時に労務管理の強化は必然でしたので、労務部を設立し、経営課題のひとつとして徹底的な取り組みを開始しました。社員の声や会社としての成長を目指すうえで、いかに休みを取りながらも業務成果を落とさずに実現するかがテーマでした。そこで、責任分散ができて休みをチーム内でフレキシブルに調整できるという点でチーム制を取り入れました。会社全体の変化で言えば36協定の上限を徹底させるよう、21時にPCの強制シャットダウンをしています。工事課の休日に関しては、後藤は土日休み、他のメンバーは水日休みの体制に。現状は現場数が少ないためうまくいっていますが、年間150棟であればしっかりと回せる状況です。受注が伸びているのは嬉しい悲鳴ではありますが、現場が荒れる原因にもなりかねないので、現場数が増えてもこの状態がキープできるようにしたいですね。

後藤義明氏 ネクストグループ 株式会社愛知建設 工事課 課長

後藤氏: 完全週休2日制を構築するためには、業務の可視化、業務の効率化は非常に重要なポイントでした。デジタルツールの導入を検討してからANDPADに決めるまでは2年くらいかかりました。他社とも比較検討をしましたが、ANDPADの導入を決めた理由は、使い勝手の良さに加えて、開発体制として建築基盤ではなく純粋なIT会社でカスタマイズや追加開発要望への対応も早いという点に期待がもてたから。社長がずっとツール導入を反対していたので、施工管理ツールを導入する財務メリットについてプレゼンして納得していただきました。説得材料になったのは、チーム制の導入による残業時間という経営課題の解決につながるというところでしたね。

熱意と覚悟をもって社内外へのANDPAD運用を徹底

ANDPADを導入後、社内だけでなく社外の協力業者に対してもANDPADの運用を浸透させるために、業種別にマニュアル資料を作成し、約1年かけて協力業者も全員参加する月1回の工程会議のなかで個別勉強会を実施。ANDPADを使うメリットやANDPADを使って自社がどう変わりたいのかということを伝え続けた。この後藤氏の熱意と覚悟が協力業者の心を動かし、ANDPADでの運用浸透を実現させたのだ。同社は外部ユーザーのANDPAD利用率が非常に高いことからも、協力業者がやり切ってくれていることが窺える。

後藤氏: せっかく会社から予算をもらってANDPADを導入した以上、しっかり結果を出さなければいけません。会社から出るお金はすなわちお客様から頂いているお金に他なりませんから。今まで協力業者との間でのコミュニケーションの不備から生じた手戻りなどのトラブルもありましたし、やる必要性しかありませんでした。また、当時お客様満足が得られていない要因を監督がつくっているんじゃないか、といった社内の空気もあり、それを見返したかったという思いもあります。きっちりと工程の進捗管理を徹底し、そこからマイナスをゼロにもっていくことでお客様との関係性を改善したかった。そのためには、協力業者の方々の協力が必要不可欠でしたが、まず監督たちが変わらないと意味ないので、社内のANDPAD利用を徹底してもらいました。現場管理にゴールはないと思っているので、現状の監督の運用にはまだ満足していませんし、まだまだやれることは多いと考えています。

社外へのANDPAD運用徹底を支えた工程会議の変遷

ANDPAD運用の浸透のために、同社は工程会議の場を活用していたが、現状の工程会議の形になるまでには紆余曲折があった。
同社は設立当初、監督2名で全現場を担当しており、抜け漏れやミスが多かったため、協力業者が全員参加する工程会議を開催するようになり、月1回各現場の確認を行いながら工程表の更新を行い、関係者全員がその場共有する機会を設けている。しかし、以前は監督が現場の状況を正しく把握できていないのにも関わらず、その場凌ぎの工程表を作成してしまっていたため、一見滞りなく会議が進行しても、実際現場が始まると工程表通りに進行ぜずに職人が作業できないというケースが頻発。工程会議自体が形骸化しているという課題が浮き彫りになり、協力業者からも工程会議の意義について疑問視する声が上がり、1年間ほど工程会議を実施していない時期もあったのだという。

川名氏: 参加して良かったと思っていただけるように、工程会議の冒頭には必ず業界のトレンドや、海外視察での知見などを共有するようにしていたのですが、肝心の工程ができてないのは本末転倒だと思い、心が折れてしまいました。でも、そこで救いの手を差し伸べてくれたのは、当社のOBでもある賢匠会の会長でした。「何故工程会議を辞めるの?業界のトレンドなどを話してくれているが、会議は大事なことから話すべき。私達にとって大事なのは工程ですよね。だったらできるまでやるべきだ」と叱咤激励をいただきました。それを機に工程会議を再開し、会長のアドバイスを基に、最初に一番大事な工程会議を行ってから、総評として私が市況などについて話すように順番を入れ換えました。

こうして工程会議のファシリテーションの変化によって会議体としての信頼度も上がり、元々紙ベースで共有していた工程表も、工事課のチーム制導入と併せてANDPADで作成し、クラウドで共有するという運用へとスムーズに移行させることができたという。
ANDPAD導入後はプロジェクターにANDPADの工程表を投影しながらその場で工程表を編集する形で実施するように。ただ、視認性を高めるために室内を暗くするので、現場終わりに2時間ほど暗い部屋で会議に参加していると、どうしても眠たくなってしまう人も出てしまっていたという。それがコロナ禍以降オンラインで工程会議を実施するようになると、移動時間なしで現場からでも参加できるため参加率も上がり、手元のスマートフォンやタブレット、PCで画面共有された工程表を見ることができ、かつ参加者の表情も見えるため、会議体としての品質もさらに向上し、理想的に進むようになった。

後藤氏: 工程会議は真剣に決める場。当時を振り返ると、ゼネコンも経験してきた私にとっては、正直あんなに生ぬるい工程会議は初めて見ました。真剣に工程会議に向き合ってほしくて殺伐とした雰囲気をつくっていたこともありますが、それは職人さんの命を預かっているのは自分なので、しっかりやってもらいたかったという思いがあったから。工程会議の場でなかなか質問できないコミュニケーションが苦手な職人もいますが、見方を変えれば現場にお客様がいらっしゃった時に苦手だからと元気に挨拶もできない、話せないというのはお客様には通用しません。だからこそ、仕事で必要となるコミュニケーションに対しての苦手意識は乗り越えてもらいたいし、そのためにやっているので会議内で必ず決め切るようにしています。

川名氏: 後藤がビシッと締めてくれるので、私は場を和ませる役割に徹して、ふたりで役割分担をしていましたね。最近は会議体がうまく進行できているので、私は顔出しする程度になっています。

労務管理の改善と、監督業務のムダやムラを無くしていくために監督業務の生産性向上が必要不可欠だった同社は、監督のチーム制を導入し、それに伴いANDPADの運用を徹底した。その背景には、協力業者会「賢匠会」の存在が大きく、工程会議の会議体を見直し、協力業者から信頼される場をつくり上げたことで、体制変更や新しいツールでの運用に対する理解と協力を得られたのにほかならない。また、IPOに向けての労務改善の取り組みとも重なり、さまざまな角度から体制を整えてきた。
Vol.3では、顧客満足度を高めるためにANDPADの施主報告の運用方法、施主報告を活用するようになってからの変化や、今後の取り組みについて紹介する。

ネクストグループ 株式会社愛知建設
https://www.actie.jp
〒470-0207
愛知県みよし市福谷町竹ヶ花9-1
代表取締役:豊藏 一幸
設立:2014年6月16日

取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸