教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所#10 どうする?住宅リフォーム工事に関する過量販売規制への対応

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秋野卓生 氏
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士 
弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。
2017年度 慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。
2020年岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師に就任。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

秋野先生の寄稿コラム連載「教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所」の第10回の今回は、2022年6月22日付で改正された「特定商取引に関する法律等の施行について」です。

この考え方によると、消費者宅への訪問や電話でのリフォーム勧誘販売は特定商取引法の規制対象であり、1年間に累積3カ所以上の工事を実施する場合は「必要以上のリフォーム工事」(過量販売)にあたるということになります。過量販売については行政処分の対象となるほか、消費者による契約解除の対象にもなる。ただし、工事が真に必要な場合には問題がなく、工事前後の現場の写真等の保存が推奨されています。

今回は何をもって「過量販売」となるのか、また身を守るためにANDPADでできることについて、秋野弁護士に解説いただきました。

何をもって「過量販売」となるのか?線引きの難しさ

消費者庁によれば、消費者宅への訪問や電話でのリフォーム勧誘販売は特定商取引法の規制対象であり、1年間に累積3カ所以上の工事を実施する場合は「必要以上のリフォーム工事」(過量販売)にあたります。

消費者契約法4条4項は、事業者が「勧誘をするに際し」、契約の目的物の分量、回数または期間(以下「分量等」といいます)が「当該消費者にとっての通常の分量等」を「著しく超えるものであること」を「知っていた場合」において、消費者が、その勧誘によりこの消費者契約の申込み・承諾の意思表示をしたとき、消費者は、その契約を取り消すことができると規定しています。

「当該消費者にとっての通常の分量等」とは、消費者契約の目的となるものの内容・取引条件、事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活状況、これについての消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等として通常想定される分量等をいいます(改正後消費者契約法4条4項)。

過量契約の取消しの要件を満たさない場合であっても、判断能力の低下した高齢者との間で取引をするに当たり不適切な勧誘行為などを行ったときには、公序良俗(民法90条)や不法行為(民法709条等)の規定により申込みの無効や損害賠償請求を主張される可能性があるほか、意思無能力を理由に申込みが無効であると主張される可能性もあります。

高齢の施主からの工事依頼の際には、認知症の状況にないかを周囲の方に確認するなど、特に気をつける必要があろうかと思います。

身を守るための「工事前後の現場の写真等の保存」

住宅業界においては、過量販売に該当する事例がよく分からない一方で、悪質リフォーム業者によるリフォームを繰り返す事案や台風など災害時に過剰な工事がなされるなど問題が多発しました。

今回、通達で1年間に累積3カ所以上の工事を実施する場合は「必要以上のリフォーム工事」(過量販売)にあたるとした考え方を示した点が注目されています。なぜなら、1契約で複数工事が走る複合リフォームや、アフターメンテナンスからの追加改修提案など、結果として年間で3つ工事を提案していく場合なども十分に考えられるためです。

悪質なリフォーム業者か、そうではないか、の線引きが非常に難しい判断となっている今回の考え方。ここで重要になるのが、事業者向けチラシでも推奨されている「工事前後の現場写真等を保存しておくこと」になります。

きちんと写真を保管しておくことが推奨されているので、ANDPADを使うことが特定商取引法対策になる、ということになります。

消費者庁から出されている事業者向けチラシでは、住宅の維持が困難となる重大な不具合が生じ、新たな工事が必要となった場合等を例として、「工事が真に必要な場合は問題ない」(行政処分や契約解除の対象とならない)とされています。5年程度、写真等を保存しておくことによって、後々、工事の必要性を説明できるということです。

チェックシートも、コンプライアンスチェックが容易にできるようなものになっていますので、確認をお願いしたいと思います。

■住宅事業者様向けチェックシート(参照:消費者庁)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms202_220622_10.pdf

事務所名:匠総合法律事務所
https://takumilaw.com/
代表者:秋野卓生
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-8 第2紀尾井町ビル6階

寄稿:秋野卓生弁護士
企画:平賀豊麻
編集:原澤香織
デザイン:安里和幸