教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所#09 / 改正道路交通法施行規則で変わる対応〜ANDPADの報告機能を活用〜

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秋野卓生 氏
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士 
弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。
2017年度 慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。
2020年岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師に就任。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

平賀豊麻
株式会社アンドパッド 経営戦略本部 社長室
コミュニティマネージャー兼ANDPAD ONE Director
2018年5月に株式会社アンドパッドに入社。
アンドパッドのインサイドセールスの一人目として、1年半で延べ500社様との商談機会を創出。
その後2019年12月より社長室へ異動コミュニティマネージャーに就任。
2020年12月からはコミュニティサイト「ANDPAD ONE」を設立、Directorを兼務。
約33万人のANDPADユーザーのCXの向上を目的としたコミュニティ形成をミッションとする。

秋野先生の寄稿コラム連載「教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所」第9回。今回は、令和4年4月より順次施行される改正道路交通法施行規則についてお話しいただきます。軽トラックや営業車を5台以上会社保有している企業では、運転者の酒気帯び有無の確認等を行う安全運転管理者の選任が必要となり、安全運転管理者が行うべき業務が拡充予定。

具体的にどのような業務が必要になるのか?また、それらの業務を一部ANDPADの機能を活用して効率化できるのか?法律的な観点から秋野弁護士に解説いただくとともに、ANDPAD[施工管理]をご契約いただいているお客様であれば標準的にご利用いただける[報告]機能を活用したユースケースについて、アンドパッド・平賀がご案内いたします。

「改正道路交通法施行規則」の施行で必要な安全運転管理者の選任とその業務

アンドパッド 平賀

令和4年4月より、改正道路交通法施行規則が順次施行されます。住宅建築業には、どのような影響が考えられますか?

秋野弁護士

住宅建築業の皆様は、軽トラックや営業車を会社保有している会社が多いと思います。この会社保有車両が5台以上ある住宅会社は、事業所(自動車使用の本拠)ごとに1名安全運転管理者(道路交通法施行規則第9条の8)に選任しなければなりません。

↓ 出典:警察庁ウェブサイト https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankan3.pdf より一部抜粋

秋野弁護士

そして令和4年4月から安全運転管理者には、下記の業務が義務化されます。

秋野弁護士

ちなみに、重機など工事車両であっても、自走する重機は対象となると考えられます。また、乗車定員が11人以上の自動車を保有する会社においても上記改正規則が適用されます。

平賀

令和4年9月末までと10月1日以降とで、酒気帯び確認の方法が変わるのですね。

秋野弁護士

はい。「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいい、対面で行うことが原則です。

一方10月1日以降に必要となる「アルコール検知器での確認」については、酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであればよく、特段の性能上の要件は問わないとされています。

 

平賀

運転前後の運転者の状態を目視等で確認…」とありますが、建設建築産業の仕事の場合、会社を出発して会社に戻り、また、出発し…という業務スタイルの方も多いと思います。そのような場合でも、1日に何度も運転前後の確認をしなければならないのでしょうか。

秋野弁護士

道路交通法施行規則第9条の10第6号に定める「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者」における「運転」とは、一連の業務としての運転をいうことから、同号に定める酒気帯びの有無の確認は、必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、及び終了後や退勤時に行うことで足りるとされています。従って、出勤時と退勤時に確認するような運用が現実的かと思われます。

平賀

「アルコール検知器を常時有効に保持すること」ともあります。これは具体的にどのような状態であればよいのでしょうか。

秋野弁護士

会社にアルコール検知器を保管し、会社出勤時と退勤時に検査するという事が求められると思います。すべての社用車に備えておく義務はありません。ただ、直帰時の対応として、社用車に常時積載しておくと便利ですね。

酒気帯び確認内容の記録をANDPADで

秋野弁護士

酒気帯び確認の内容の記録については、① 確認者名、② 運転者、③ 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等、④ 確認の日時、⑤ 確認の方法(※)、⑥ 酒気帯びの有無、⑦ 指示事項、⑧ その他必要な事項 の事項について記録することとなります。

編集部注…確認の方法については、つぎの2つについて記録が必要です。 (ア)アルコール検知器の使用の有無(令和4年10月1日以降) (イ)対面でない場合は具体的方法

平賀

非常に多くの項目について記録が必要になるのですね。毎日、各運転者分の数を1年間保存するとなると、膨大なデータ量であることが予想されます。

秋野弁護士

これだけの量の確認内容の記録を紙で残していくことは非現実的ですから、システムによる対応を模索していだくのがよいと思いますね。

平賀

ANDPADの [報告] 機能をうまく活用することで、記録を保存していることと認められるのでしょうか?

秋野弁護士

はい、認められます。

出張時や直帰時を除いて目視での確認が原則のため、安全運転管理者による目視確認は必須ですが、その記録をANDPAD上で残しておくことは非常に有用な手段かと思います。

デジタル活用で、スマートな対応を

秋野弁護士

神奈川県警のホームページには、対面での確認が困難な場合について次のような記載があります。こういった運用も取り入れながら、スマートに対応する体制を構築していけるとよいですね。

平賀

安全運転管理者が外出している場合や、病欠で不在の場合なども起こり得ると思います。そのような場合にはどういった対応が考えられるでしょうか。

秋野弁護士

そういった場合に備え、「副安全運転管理者」を会社が任意で指定しておき、副安全運転管理者による確認を行う事を検討するのが安心です。またあわせて、「車両等の運行を直接管理する地位にある者」として、所属長による確認を行う体制整備も検討していけるとよりよいですね。

平賀

なるほど。いろいろなケースが考えられますが、「1年間の確認記録保管義務」を遵守することが非常に重要ですね。

秋野弁護士

その通りです。今回の改正道路交通法施行規則が企業リスクとして発現するのは、酒気帯び運転による人身事故が発生したタイミングです。その際に警察は、事故を発生させた会社に対して、「1年間の確認記録保管義務」に基づき、毎日のアルコール検査の確認状況の資料提出を求めることになります。このときに、記録の保存をしていなければ、道路交通法違反の責任を会社も問われることになります。

 

さらに、業務中の自動車運転事故が発生した場合、会社に対しても使用者責任が問われることが通常であり、この会社の責任の軽重を図る意味でも安全運転管理者によるきちんとした確認が行われていたか否かが重要な意味を持ちます。いざという時の企業リスクを避ける意味でも、今回の改正道路交通法施行規則対応は万全にしていただきたいと思います。

平賀

ANDPADの [報告] 機能を活用いただくことで、スマートに記録・保管対応をすることができます。それによって通常業務に集中できる環境構築のお手伝いができれば、われわれとしても嬉しい限りです。秋野先生、今回も貴重なお話しをいただき、ありがとうございました。

事務所名:匠総合法律事務所
https://takumilaw.com/
代表者:秋野卓生
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-8 第2紀尾井町ビル6階

寄稿:秋野卓生弁護士
編集:原澤香織
デザイン:佐藤茜