ANDPAD CUP完了レポート / 年間200棟超のビルダーが目指す「着工平準化」から「完工平準化」へ / 〜後編〜利用ユーザーインタビュー & ANDPAD100%利用に向けた展望

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西崎 宏志氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 取締役 部長
高校卒業後入社し、同社一筋。現場監督として手掛けてきた住宅は200棟以上にのぼる。現在は、合同会社絆工房ヤマサでの職人育成にも携わり、住宅施工に関する深い知見を活かし若手育成にも注力。

郡山 憲司氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 次長
大学卒業後、新卒入社。設計業務を経験した後、開発部門に異動し、新商品開発や施工技術開発などに携わる。

篠田 秀明氏
ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 係長
住宅会社を経験後、同社に中途入社。積算業務、商品企画を経て、現在は工務の業務改善、社員大工育成に携わる。

射手園 秀勝氏
ヤマサハウス株式会社 鹿児島第一支店支店長
建築学科の高校を卒業後、1996年同社に入社。入社26年目。10年間設計プランナーとして活躍後、営業部に異動。2016年に第3営業所 所長に就任。2021年より現職。



DXの実現には、各社それぞれが描く未来像に応じた業務プロセスの変革と、それに呼応したANDPADの運用構築が必要です。そのためにまずは、社内外のANDPADを利用するユーザーに、目的に応じた利用が正しく浸透することが必要不可欠になります。そこで、ANDPADでは、お客様のDX実現のために「ANDPAD CUP」というサポートプログラムをつくりました。

今回は、鹿児島県で70年以上に渡り、郷土の気候風土に合わせた家づくりに取り組み続けているヤマサハウス株式会社の取組みについてご紹介します。同社は、高温多湿の地域性に特化した工法で地域の家づくりを牽引し続け、地元の方々からの信頼も厚い会社です。

同社は2019年にANDPADをご導入いただきましたが、拠点によって運用に差が生じていました。全ての拠点で平準的に利用ができている状況をつくり、現場でのミスやトラブルに積極的に対応できる情報管理体制をつくることを目指し、「ANDPAD CUP」を共催。1年間の取り組みを終えて、同企画を推進している3名にインタビューを実施しました。前編では、「ANDPAD CUP」で設定した指標に対する振り返りや、取り組みを通して社内に生まれた意識や行動の変化について触れてきました。後編では、鹿児島第一支店支店長の射手園 秀勝さんにお話を伺い、具体的な現場での取り組みを紹介します。また、推進者の皆さんには、本プログラムの総括として今後の課題と展望について伺いました。

取り組みの目的や中間報告レポートについてはこちら

「横断マイルストーン予実管理」運用定着に向けた拠点の取り組み

同社は「ANDPAD CUP」で、会議体の運営を、従来利用していた社内システムからANDPADの「横断マイルストーン予実管理」に切り替え、拠点単位の入力実施状況を評価するというルールで取り組んできました。その結果、全社員の「横断マイルストーン予実管理」の予定日に対する実績日の入力率は80%以上になり、ANDPADの利用率が向上しました。実際に各拠点がどのように運用していたのかを深掘りするために、鹿児島第一支店の事例をご紹介します。同支店は、2021年5月に本店から2つの支店に分離した新設の拠点で、「ANDPAD CUP」実施時は20名で構成されていました。中間報告までは、拠点長入力率が40%以上でしたが、メンバーの入力率が増えたことで完了報告では24.68%と大幅に改善。そこで、拠点長である射手園さんに取り組みにおける工夫について伺いました。

――従来は別の社内システムとExcelを使いながら会議体が運営されていましたが、昨年6月から「ANDPAD CUP」がスタートし、ANDPADの「横断マイルストーン予実管理」による運用へと変更しました。その時の心境を教えてください。

射手園さん: 従来Excelでやっていた予実管理がANDPADに切り替わってからも、見にくいとか慣れないという印象はなかったですね。営業時代から、入金関係、地鎮祭、引渡しなどの日付管理はExcelでやっていましたが、見るものが変わっただけであまり違和感はなかったです。そうした使い勝手の部分での違和感などがなかったというのもあり、「ANDPAD CUP」がスタートした時は何か大きな変化が生まれたという印象は持っていませんでした。

ヤマサハウス株式会社 鹿児島第一支店支店長 射手園 秀勝氏

――「横断マイルストーン予実管理」による運用になったことで、業務に変化はありましたか。

射手園さん: 以前は、PCからでないとExcelの更新ができませんでしたが、「横断マイルストーン予実管理」であれば皆が出先からでもスマートフォンで予実の入力ができます。拠点長としてメンバーに入力を促す立場なので、その点で業務の変化を感じていますし、とても助かっています。

Excel運用の時は、全ての情報を把握していたかったので自分以外のメンバーには入力しないように指示していました。自分は事務所にいてもメンバーは現場にいることも多いので、以前は「事務所に戻って来たら聞こう」、「とりあえずメールしておこう」と待ちの時間がかかっていました。現在は現場に出ているメンバーに更新依頼もしやすいですし、実際に更新スピードも早くなりました。

――「ANDPAD CUP」では、「拠点ごとの入力率」と「拠点長の入力率」をそれぞれ計測していました。中間報告では、鹿児島第一支店の拠点長入力率は42.31%と、拠点社員に代わって射手園さんが入力されている比率が他拠点より多かったと思います。完了報告時には24.68%と大幅に減少していますね。中間報告会を経て、取り組まれたことについて教えてください。

射手園さん: 中間報告を受けて、他拠点の状況と比べてこのままではいけないと意識が変わりました。それからはメンバーに声掛けして、メンバーの入力率を上げていきました。結果的に入力率が改善されていて良かったです。

工夫したこととしては、メンバーへのコミュニケーション方法を変えたことですね。中間報告より前までは、私から何か指示をする際にメンバー全員に向けて伝えていました。中間報告後からは、営業、設計、工務のリーダー3名に伝えて、各リーダーからその下のメンバーに伝えてもらうようにしました。すると、リーダーやメンバーに当事者意識が生まれて自分の仕事に責任を持てるようになり、入力率も上がりました。

――ANDPADによる運用になったことで、拠点メンバーの方々にどのような意識の変化がありましたか。

射手園さん: 以前は、メンバーの着工までのスケジュールに対する認識が甘い部分がありました。着工平準化に関係する他の職種の業務にどのような影響があるかという意識が希薄でした。今はマイルストーンに着工日の日付が書いてあることで、「いつ頃」ではなく「いつ」という意識がしっかりと持てるようになり、拠点内での会議時にはしっかりとスケジュールが入った状態に。会議の場では「着工いつだよね」、「地鎮祭いつだよね」、というのを確認し、遅れがない状態にできています。

「ANDPAD CUP」をきっかけに、主体的に取り組んでくれている拠点のメンバーには感謝していますね。また、他拠点も素晴らしい取り組みをされているので、参考にしながらブラッシュアップしていきたいですね。

今後に向けた課題〜着工平準化から完工平準化へ〜

――「ANDPAD CUP」を経てANDPAD利用の平準化に向けて大きく前進しました。そのなかで見えてきた今後の課題としては、どのようなことが挙げられますか。

篠田さん: 当初予定日が到来するまでに予定がずれるのであれば予定日を入力し、完了しているのであれば速やかに実績日を入力する。この入力率を100%にしていこうという想いで「ANDPAD CUP」をスタートしました。入力率が80〜90%になったのはとても嬉しいです。しかし、人によって違うので一概には言えませんが、デジタルツールを頑張って使うようになった人もいれば、年齢的にどうしても億劫になってしまっている人もいるのは課題感としてあります。

あとは、拠点長はかなり活用してくれるようになりましたが、各拠点のリーダーとして動く、拠点長配下のリーダーがどれだけ使えているかも大事なポイント。そこが使えていないと下に対して使ってくれとは言えないですからね。

ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 係長 篠田 秀明氏

西崎さん: 私もデジタルは苦手な方で、最初はANDPADを触るのも周囲に聞きながらでないとできませんでした。何回同じことを聞いたか分かりません(笑)。管理する側として、ANDPADで検査承認などをやりながら覚えていっています。

今までやってきた仕事のスタイルを変えたくないという人もいます。「みんなでANDPADを使っていくようにしたいから、協力してくれないか」と少しずつ引き上げていきながら、ANDPADを使っていくうちにメリットを実感してもらえたら。例えば、ANDPADの案件から現場の場所をGoogleマップで見ることができますが、あれはみんなが便利だと言っています。そういうものを入り口にして、使ってもらえるようにしていければいいかもしれませんね。

ヤマサハウス株式会社 工務部取締役部長 西崎 宏志氏

郡山さん: まずは、現状の使用率をキープしたい。毎年組織改編があるので人員体制が変わりますし、新入社員や中途採用も入ってきます。そういう人たちに対して誰が教えるかについても整えていかなければなりません。今は中途採用で現場に入る方には、われわれ3名がレクチャーしています。そうしないと、現場に入った時に職人さんから「使えてないじゃん」と言われてしまいますからね。新人向けのANDPAD教育もやっていけば入力率80%をキープしていけると思うので、そこを徹底していきたいですね。過去の経験からも、一気にやろうとしてもみんなが着いてこられないというのは分かっています。だからこそ、マイルストーンの項目に対しての追加要望のように、みんなから「これをやりたい」という声に対してスピーディーに対応していきたいです。

ヤマサハウス株式会社 工務部 施工技術開発課 次長 郡山 憲司氏

――ANDPADの利用率が高まり、着工の平準化を実現するための下地づくりができてきたと思います。今後ANDPADを活用しながら、どのようなことを実現していきたいと考えていますか。

西崎さん: 弊社としては、一番は顧客満足度を追求していきたい。そのためには、約束したとおりの日程で引き渡すことがとても重要です。今まではスケジュールの延期をお施主様にお願いする物件もありましたが、そういうものを減らしていかなければならない。

着工前については、品確会議である程度いいレベルまで来たと思っています。当初設計した運用計画のSTEP3〜4を実現するフェーズに入りました。ただ、着工は平準化できても、そのあとに山谷があるのが現状です。完工も平準化していかないと、お客様の印象も良くありません。顧客満足には繋がりません。

また、工期のずれによって協力業者さんにも影響が出てしまうので、改善していきたいと考えています。工期がずれてしまうと工程にどうしても無理がくるのでそれを平準化してあげたい。顧客満足度の手前で、協力業者さんの満足がないといけません。お客様のためではあっても、協力業者さんにも休むときはしっかり休んでいただいて、弊社との仕事に対する満足度を高めていきたいです。

篠田さん: 工務のメンバーにも「完工の平準化ができていない」と何度か言われたので、それをなんとかしてあげたいですね。監督は年間平均15棟、多い人は19棟担当していて、完工が月に2〜3棟重なる時も。着工タイミングが違うのに完工が重なると、社員の疲弊にも繋がります。「完工が平準化できれば気持ちに余裕が出て、仕事に前向きに取り組める」とも言っていたので、「それに向けてANDPADで工程表をつくらないとね」と投げかけているところです。

また、ANDPADの工程表やANDPAD検査の利用に向けて準備を進めています。「これならExcelで作成するよりも断然いい!」とみんなが感じられるような、付加価値のある工程表になっていくといいなと考えています。これまでも、ANDPADの工程表を使っていこうと働きかけてきましたが、実態は各拠点、各工務の都合によって平準化できていない状態でした。工程表作成をExcelからANDPADに切り替えることに納得できていないメンバーもいます。これから着工までで終わらせず、完工までANDPAD工程表を活用してやっていこうという話をしていきます。具体的には、完工平準化に向けて、マイルストーンの追加とANDPAD工程表の利用促進に取り組んでいくつもりです。

――最後に、年間200棟超の着工実績がある貴社ですが、「着工平準化」、そしてその先に見据えている「完工平準化」に向けての展望についてお聞かせください。

西崎さん: 弊社の着工棟数は年々増え続けています。今年は240棟が目標です。地域の職人さんの数も年々少なくなっていく中で、競合会社よりも当社を選んでいただけるように、どうやって施工体制を整えていくかが課題。どこかの物件が躓けば、それが尾を引いて他の物件にも影響してしまいます。段取り良く進めないといけないからこそ、管理が重視されます。全体的に生産性を上げないといけないので、今後もANDPADを活用しながら、みんなの仕事の負担が少なくなるように取り組んでいきたいですね。

* * *

2019年のANDPAD導入当初は、拠点間の利用平準化に苦戦していた同社でしたが、「ANDPAD CUP」を実施したことでANDPADを使うことが共通認識に。情報共有の意識が高まり、社員一人ひとりに主体性が芽生え、案件に対する問題意識も高くなりました。「横断マイルストーン予実管理」を通して、着工までのスケジュール管理意識を川上から川下まで関わる担当者全員が持つようになり、社内から「マイルストーンにこの項目を追加したい」、「完工までしっかり管理すべき」といった改善に向けた自発的な声が上がるまでになっています。このような成果は、ANDPADを日々使いながら地道に社内コミュニケーションを重ねていったからこそです。

今後も、顧客満足向上を目指す同社の取り組みに、デジタル面でサポートし続けていきたいと思います。

写真左から、株式会社アンドパッド芳賀 彩乃、西崎 宏志氏、郡山 憲司氏、篠田 秀明氏

「ANDPAD CUP」に取り組んでいただきましたヤマサハウス社員の皆様、本当にお疲れ様でした。拠点別のキックオフからスタートし約1年間と長期的な取り組みでしたが、拠点長を中心に社内での声掛けを実施頂きマイルストーンの入力率が大きく向上しました。またそれと比例する形で、会議時間の短縮やマイルストーン管理における案件単位での期日管理の質向上にも繋がったこと、大変嬉しく思っております。

表彰式ではANDPAD CUPでの受賞支店以外にも、個人別表彰としてヤマサハウス様自身にて社員様の表彰をいただきました。表彰者様のコメントの中でも「こんな場面で役立っています」「こんなシーンで活用しています」などお話しいただき、実際に活用されている社員様から社内に発信いただけたいい機会でした。

本企画は一旦完了しましたが、表彰というのはあくまでもきっかけ作りでしかないと思っております。今後は「工程進捗の管理も実現していきたい」とお話し頂いておりますので、ANDPADを通して更に高みを目指していきましょう。

今後とも精一杯ご支援させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ヤマサハウス株式会社
https://yamasahouse.co.jp/
〒892-0836
鹿児島県鹿児島市錦江町1-4
代表取締役:森 勇清
創業:1948年6月23日

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸
カスタマーサクセス:芳賀彩乃