#01 教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所 正しいクレーム対応は、事実の整理整頓が何よりも大事

秋野卓生 氏
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士 

弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。
2017年度 慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。
2020年岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師に就任。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

クレーム発生時に会社内で起こる伝聞

住宅クレームの法律相談を、住宅会社から弁護士としてお伺いするとき、担当者の伝聞を何度か繰り返し、結果、顧客の声が正しく弁護士に伝わらない事があります。
皆様の会社でも、①現場監督が受けてきたクレームを②担当営業が確認し、③上司の部長が報告を受け、④部長から総務・法務担当に報告がなされた後、⑤社長に報告があがる、というように4つの伝聞を経るケースがあろうかと思います。

この伝聞を繰り返す間に、正しい顧客の声が、社長の耳に伝わらない可能性があり、その結果、社長判断が間違ってしまうリスクがあります。だからといって、事実を正確に把握せぬままいきなり社長がクレーム現場に乗り込んでいくことは得策ではありません。
顧客の声を正確に聞き取り、社内で正しく報告することの重要性について解説したいと思います。

ポイント1:要するに「事実」は何だ?

「お客様から誠意を見せろと言われています。幾らくらい迷惑料を支払って良いでしょうか?」と営業社員から社長や上司に決裁申請が上がることは、よくあることだと思います。
そのときに、事実を確認せず、「10万円くらいなら、まあ、良いだろう」と「はい、はい、わかった。」といった対応は、上司・社長として正しい対応ではありません。
どうして、当社のお客様が迷惑料の請求をするに至ったか、その原因となる事実をしっかり確認することが大事なのです。

ポイント2:まずは、会社の弱点を知るため

大きい会社なら、小額のトラブル案件に、社長が一つ一つ向き合っていたら、幾ら時間があっても足りないし、トラブルのことを考えると社長の志気が下がってしまう。「そういうのは、総務部長や法務部長に権限委譲しているんだ」と言って、顧客クレームを聞こうとしない社長もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「顧客クレーム」というのは、お客様からの有り難い会社改善のための提案である可能性が高く、最もストレートに、「現在の」自社の弱点を教えてくれる教材です。
特にイエスマンで役員を固めた会社の社長は、このありがたい教材から社内の弱点を分析していかなければなりません。

ポイント3:そして、社員の成長のため

私の弁護士23年の経験上、感じている事ですが、事実関係を明確にしないまま、
問題を起こしてしまった当事者が「ごめんなさい、もう二度としません」という言葉を発するだけでは、反省とは言えません。

クレームの発生要因は「営業マンや現場監督がミスをしてしまうから」というのが一般的です。
このミスが顧客クレームに発展したとき、経営者としては、「社員を二度とミスをさせない人間に成長させるためには、どうすればよいか?」と一生懸命考えていただきたいと思います。

方法は、自由です。パワハラにならない程度に感情を顕わにしても構わないと思いますし、にらみつけても構わない。
但し、社員に「ごめんなさい、もう二度としません」と言わせるだけでなく、
「どのような事実が起こったのか」「その発生原因は何か」について、しっかりと心の底の真相を語らせる事が大事です。

ポイント4:ファンだからこそ、クレームを発する

顧客クレームは、不当要求という絶対に応じてはならないものと、お客様からの暖かい声という企業収益に向上するものと2つに大別することが出来ます。

後者の顧客クレームは、要するに、住宅会社と顧客との距離が狭まった証拠であり、ある意味、地域密着型工務店としてのブランド戦略が成功している証でもあります。ファンだからこそ、クレームを発するという良い循環が生まれているのです。

この顧客からの有り難い声をいかに、企業経営に活かすか、とい観点から経営者の方には、積極的にこの有り難い声を企業の弱点克服に活用し、顧客からの期待に応える事の出来る企業に発展していって頂きたいと思います。

そのために、必要となるのが、まずは、正確な事実確認です。

「ファン層のお客様からの声に確実に応える」「二度と同じようなミスを犯さない」という固い決心のもと、ミスが起きた事実関係を詳細に分析し、二度と同じようなミスが起こらない組織への変容を遂げて頂きたいと思います。

ポイント5:ノークレームの会社は、本当に優良企業なのか?

当社は、地元密着でやっている工務店で、クレームなど、ここ何十年も聞いたことがない、という会社もあろうと思います。

このクレーム0の会社は、
(A)顧客の不満が声になる前に対処をしている超優良会社であるケースと
(B)顧客の不満に過剰対応で応える企業収益を考えると改善を要する会社の2パターンに分けられると思います。

(A)パターンは、すばらしいですね。まさに、「利他の精神」。顧客の心を第一に考えている会社は、顧客から声を発せられなくても、顧客の不満を理解し、いち早く対応してしまいます。

(B)パターンは、過度に顧客クレームを恐れているケースですね。「クレームを受けるのが怖い」「良くない噂が立ってしまうのが怖い」と、怖いから過剰に対応して、文句を言われないようにする、という行動パターンだと思います。

この(B)パターンは、企業収益を悪化させますので、(B)パターンから抜け出せない企業経営者は、(A)パターンを目指していただきたいと思います。

ポイント6:社長職は、顧客にも責任を負うが、会社組織にも責任を負う重大な職である

社長の誤った判断一つで、会社転覆をした事例を弁護士として様々見てきました。
社員は、ダメ社長のもとでも、我慢してやってくれますので、会社が末期症状となるまで、経営者は、会社の弱点克服に動けなくなるケースが多々あります。
他方で、顧客は、会社の弱点をクレームという有り難い声で教えてくれますので、社長として今ひとつ自信が持てない、という経営者は、まず、顧客の声に真摯に向き合って頂きたいと思います。

そして、現場監督や営業社員→上司→総務・法務担当→社長と報告が上がってくる際に、事実を正確に、且つ反省点は何か、という点を意識させて報告をあげさせることによって、社員に会社の弱点を気づかせ、会社全体で弱点の克服をさせる、という運用にも取り組んで頂きたいと思います。

私達、外部専門家も、社長の勇気を後押しする立場として貢献して参りたいと思います。

ポイント7:クレーム対応は、ANDPADの機能を活用して情報の整理整頓が出来る

1 基本機能を活用する

クレーム対応が発生しましたら「案件」をつくる→社内共有用→クレーム報告は、「報告」欄で記入し、クレーム対応履歴は「工程表」で管理する。

2 オプションサービスを申し込む

オプションで、引合い粗利管理というオプションがあります。
そこに「対応履歴」という機能があるので、これをカスタマイズしてクレーム対応履歴を整理していくとよいでしょう。

ANDPAD引合粗利管理について詳しく知りたい方はこちらからお問い合わせください。
https://lp.andpad.jp/erp_inquiry_form/

事務所名:匠総合法律事務所
https://takumilaw.com/
代表者:秋野卓生
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-8 第2紀尾井町ビル6階

編集:平賀豊麻