教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所#06  / デジタル社会形成整備法が遂に施行!建築士による設計図書への押印が不要に!

  • 設計

秋野卓生 氏
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士 
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。
2017年度 慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。
2020年岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師に就任。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

秋野先生の寄稿コラム連載「教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所」の第6回の今回は「デジタル社会形成整備法が遂に施行!建築士による設計図書への押印が不要に!」と題し2021年9月1日に施行されたデジタル社会形成整備法によってどのような変化が工務店にもたらされるのかについて、従来のハンコ文化において商習慣に安定法性をもたらしていた二段の推定についての解説も交えながらお話しいただきました。

9月1日から建築士による設計図書への押印が不要となりました!

021年9月1日にデジタル社会形成整備法(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律)が施行され、建築士による設計図書への押印が不要となりました。

出典:デジタル庁「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の概要」

https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/digital/20210901_laws_r3_37_outline.pdf

これまで1級建築士や2級建築士、木造建築士は設計図書への記名・押印が義務付けられていましたが、改正によって押印が不要となり、社内に建築士が不在の工務店では、建築士の印鑑を押してもらうために外注建築士事務所に移動したり、郵送で送ってもらったりしていたわけですが、この手間が省略できることになりました。

判官びいきの私は、ここまでハンコが悪者扱いされると、ちょっと擁護したくなるので、ハンコの良さについて説明します。

「契約をした覚えがない」とか「私は契約書に印鑑を押した覚えがない」「この契約書は偽造されたものだ」といった契約書のハンコにまつわるトラブルは非常に多く発生しています。

こういったトラブルを処理してきた裁判所は、昔から二段の推定というロジックを採用しており、そこにおいてハンコが重要なポジションを占めていたのです。

「二段の推定」とは?

文書の作成名義人の印影が、当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のない限り、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと、事実上推定されます(一段目の推定)。

さらに、この一段目の推定によって、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と定める民事訴訟法第228条4項の要件を充足し、文書全体の成立の真正が法律上推定されます(二段目の推定)。

 

この二段の推定を裁判所が採用してくれるので、本人のハンコ(実印であればベスト)がある契約書は、争われたとしても裁判所の自由裁量を拘束する「推定効」を得ることが出来るので、安心して契約に基づく履行をスタートできるというメリットがあるのです。

今、このハンコ文化が大きく変革しようとしています。

契約は、文化ですから、この文化の変革に皆さんも注目していただき、世の中が電子契約化の流れになりましたら、いち早くこの流れに乗りましょう!

私も、建設産業経理研究機構「建設工事における今後の電子契約のあり方に関する調査検討委員会」座長として培った電子契約の知識を皆さんにご提供していきますし、月刊住宅関連法律情報の購読者には電子契約導入の無料コンサルティングも実施しています。詳細は、匠総合法律事務所のホームページをご覧下さい!

https://takumilaw.com/

事務所名:匠総合法律事務所
https://takumilaw.com/
代表者:秋野卓生
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-8 第2紀尾井町ビル6階

編集:平賀豊麻
デザイン:佐藤茜