#04 教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所 建設・建築業界のクレーム処理の基礎知識〜ANDPAD[施工管理]の活用〜

  • ANDPAD

秋野卓生 氏
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士 
弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。
2017年度 慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員に就任(担当科目:法学演習(民法))。
2020年岐阜県立森林文化アカデミー非常勤講師に就任。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

伊藤恒太
株式会社アンドパッド 第一事業部 カスタマーサクセス マネージャー
リクルートSUUMOで建設会社、工務店への広告企画営業を経て、注文住宅事業がメインの工務店にて経営企画として従事。2018年10月よりアンドパッドへ参画。

秋野先生の寄稿コラム連載「教えて!秋野弁護士!建築業界の法律トラブル相談所」の第一回「正しいクレーム対応は、事実の整理整頓が何よりも大事」で、住宅会社の経営においてクレームが発生した際の社内での情報の正確な引き継ぎや共有、そして万が一のトラブルに発展した際のために正確な対応履歴を記録することの重要性についてお話しいただきました。
https://one.andpad.jp/magazine/1949/

今回は、先述の記事を踏まえ、実際にクレームが発生した際にANDPADをどのように活用すると有効に対策が行えるのかについてお届けいたします。ANDPAD[施工管理]をご契約いただいているお客様であれば標準的にご利用いただける基本機能を活用したユースケースについて、アンドパッド・伊藤がご案内いたします。

建設・建築業界のクレーム処理に関する課題

伊藤

まず、秋野先生は建設・建築業界の顧問先を多く持たれていらっしゃいますが、住宅会社で発生するクレームのうち最も多い要因は何でしょうか。

秋野先生

住宅に関するクレームは主に性能面や欠陥によるものが多いですね。プランニングなど前向きな取り組みは得意ですが、クレーム対応のような後ろ向きな対応が苦手な住宅会社も多く、能力差が出るところでもあります。ネガティブで気が進まないもの対して行き当たりばったりになってしまい、整理整頓ができなくなってしまうことが一番のネックで、そこをしっかりできるようにするのが、クレーム対応力だと思います。

伊藤

私も経験があるのですが、一次取得者ばかりでなかなかリピートする背景がないという業界の背景も影響しているのかもしれませんね。
お施主様からのクレームがメインだとは思いますが、近隣トラブルはどのくらいの割合を占めているのでしょうか。

秋野先生

お施主様よりも近隣からのクレームのほうが多いと思います。特に、コロナ禍で在宅ワークをされている方が多くなったので、日中の工事音を気にされてクレームになるケースが非常に増えてきています。解体工事の中でも基礎の解体が騒音・振動の環境規制をオーバーするケースもあります。

実際にクレームが起きても訴訟にならずに解決するのが大半で、私の事務所でも1ヶ月に700件前後の法律相談を受けていますが、裁判になるのは10件未満です。示談金についてアドバイスをして、決着しているケースがほとんどすね。基本的に「お金がかかってもきちんと直す」というスタンスでアドバイスをする。

例えば、長期優良住宅の申請忘れの示談金は、建物は契約通りきちんとできていることで落とし所をつけるので、相場としては80〜120万円くらいです。クレーム処理はきちんと事実を整理整頓して、過去の判例と常識と相場感で解決していくことが大事になります。

伊藤

秋野先生から見て、訴訟につながるケースの共通点はありますか。

秋野先生

築年数が古い場合が多いですね。例えば、築15年の住宅だと瑕疵担保責任の期限は切れていますが、不法行為に当たると20年保証になるため施主としては裁判で白黒つけたいわけです。一方、弁護士が不法行為に当たらないとアドバイスしているものについては住宅会社としても対応を拒否するということもあるので、裁判になるケースがあります。
あとは、住宅会社や工事業者が音信不通になると裁判をせざるを得ないというケースもあります。

伊藤

なるほど。品質・性能に関わる訴訟となると、施工中の写真などのエビデンスが大きなポイントになると思うのですが、こういったエビデンスを出せる会社はどのくらいありますか。

秋野先生

敢えて写真を残しておこうという会社は検査等のタイミングしか撮影しておらず、エビデンスが少ないことが多いですね。日常的に撮影しているものがエビデンスとして使えるということもあるので、工事中の写真はたくさん残しておいた方がいいと思います。

ANDPAD[報告]機能でクレーム報告を管理する

伊藤

ここからはANDPADをご利用いただいている住宅会社様が、クレーム発生時の情報共有でどのようにANDPADを活用できるかについてご説明させていただきます。
まずはANDPADの[報告]機能をカスタマイズしてクレーム報告案件をつくるというやり方についてご紹介いたします。ANDPADに社内ユーザーを全員招待したクレーム専用案件を作成し、その案件のなかにクレームの情報を集約して、管理することができます。

伊藤

項目については管理者様に編集権限があり、「トップ画面>自社設定>報告>種別」を追加して回答項目や形式を選択することができるので、カスタマイズ性の高いFMTになっております。それによって、報告の粒度を均一にできる報告の雛形を作成・編集することが可能です。
報告機能は発生報告や対応報告などのFMTをつくっておくこともできるので、発生時や対応時の情報を一箇所に集約することができます。


トップ画面>自社設定>報告>種別

秋野先生

これはいいですね。クレーム報告をフォーマット化させるとしたら、「5W1H」がきちんと整理できているかどうかがポイントになります。クレームは時系列がとても大事なので、ANDPADに入力するだけで自動的に時系列で並ぶのは非常にありがたいですね。フォーマットには、以下のような項目を設定すると良いのではないでしょうか。

伊藤

ここまでが発生時の初期報告になりますが、次はデータを蓄積をしてどのように管理できるかについてご説明します。 [報告]機能は報告種別毎にExcel形式で出力することもできますので、ANDPADに集まったデータを抽出して発生要因分析などにもお役立ていただけます。

↓写真は報告一覧画面。

秋野先生

それはいいですね。いざ、クレームが発生した時は時間との勝負なのですが、日報代わりにデータを蓄積しておいて、クレーム発生時に顧問弁護士にANDPADを見てもらうことは可能なのでしょうか。

伊藤

社外ユーザーとして一般権限で案件に招待すればANDPADに招待されている案件の情報のみが共有され、通知や報告がダイレクトに届きます。弁護士分のIDが必要になりますが、ご契約ID数全てを使い切っているケースはあまりないので、コスト面の負担もなくご利用いただけると思います。

秋野先生

通常は、クレーム発生後にご担当者が3〜4日かけて資料を作成されて、われわれにメールで送っていただくことが多いのですが、ANDPADを見ながらオンラインで打ち合わせをすれば、弁護士への説明資料作成の時間も省けますし、対応自体のスピードも上がりますよね。
それから、意外とよくあるのが一次情報を間違えてしまうケース。情報に誤りがあればこちらも判断を間違えてしまいます。ANDPADに記録されている情報なら時系列をしっかり把握できるので、正確に情報取得できるのはいいですね。

ANDPAD工程表を進捗管理用の工程表として活用する

伊藤

次にクレームの進捗状況をどのように管理していくかについてご説明させていただきます。すでにクレーム共有案件を作成している状態なので、その案件内の工程表を進捗管理用の工程表として活用することをおすすめします。

【工程表の運用方法】
大工程をクレームが発生した案件として作成

小工程に現調、対策MTG、対応等進捗管理したいアクションを設定する

伊藤

工程表もテンプレート化できますので、会社としてクレーム対応内容をパッケージとして活用したい場合は、テンプレート化しておけばクレーム進捗管理用の工程表が呼び出しできようになります。
進捗報告は普段の工程表と使い方は同じなので、日程が決まればバーをズラせますし、完了報告も紐付けることもできます。スマホでも工程という部分で終わった作業を選択して、完了報告ができます。工程表を後から見返したい時も、工程詳細で履歴を確認することができますし、現調をされた際はその時の写真を添付することも可能になります。

現場に招待されている全員に共有されるので、報告・共有が一つのアクションででき、さらにチャット連動するので確認しやすいのがメリットですね。通常のチャット同様にメッセージを送れば、関係者の方に共有されます。

社内共有についても各現場ごとに外部の協力業者様が入っているケースがほとんどなので、現場の皆様に注意喚起をする場合は、この報告で履歴を残していくのも一つの手ですね。

↓クレーム報告が上がるチャット画面

秋野先生

なるほど。
結局、クレーム対応は写真、図面、時系列を含めた経緯が重要なので、クレーム発生時に弁護士がANDPADを確認すれば自動的に情報整理ができるというのは便利ですね。

クレームが激化していくのは、適切な上司報告ができないことが発端になるケースがほとんどで、ミス報告に関する風通しの悪さが要因なのです。上司に怒られることを恐れて担当者のバイアスがかかった報告をされると、結果的に判断が遅れて時間がかかってしまい、被害感情も大きくなってうまく解決ができない。

ANDPADを活用すれば、クレーム発生時にANDPADへの入力で報告が完了するので、ネガティブな報告を前向きかつ簡単にできるので、精神的負担が軽減して正しい情報を報告しやすくなります。そして、先程の工程表を使って全員で状況を共有すれば、すぐに弁護士が適切なアドバイスができますし、担当者の弁護士への報告書作成時間も省けます。

秋野先生

実は、現場を知らない方が法律相談に来られて、当事者ではないため確認事項を一旦持ち帰らなければならず、時間のロスが出るケースが多いんですよ。オンライン会議でANDPADの画面を確認すれば、短時間で弁護士との打ち合わせも可能になりますし、中途半端に対面でやるよりもオンライン会議で資料を確認したほうが理解しやすい。最終判断のタイミングで社長など上層部に弁護士の声を聞いていただくのも重要なので、その時だけ参加していただいて客観的に起きている事実を把握することができれば、スピーディーな英断にも繋がります。これは非常に良い機能だと思うので、ぜひご活用いただきたいですね。
あとは、クレームが発生すると必ず利益が下がるので、粗利をしっかり見ながらクレームの結論を出していくことが大事ですね。

伊藤

ありがとうございます。
今回は、[施工管理]をご利用いただいているユーザー様に気軽にご活用できるクレーム対処方法についてご案内させていただきましたが、秋野先生がおっしゃるように、クレーム対応をされる際はしっかりと粗利を見ながら判断していくことが大事ですよね。

よりしっかりとリスク対策をご検討されている場合は、ANDPADのオプション機能である[引合粗利管理]や[タスク管理機能]をご活用いただくとさらに良いかと思います。秋野先生、本日はお忙しいところ貴重なお話ありがとうございました。

事務所名:匠総合法律事務所
https://takumilaw.com/
代表者:秋野卓生
住所:〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-8 第2紀尾井町ビル6階

取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸