「人とのつながり」を大切にし、住環境創造企業として、お客様にとって快適な住環境を提供することはもちろん、社会、社員の生活向上に貢献する株式会社アイジーコンサルティング。
顧客満足に課題を感じていた同社は、CX(顧客体験)の向上を目指し、施主報告を通してお客様に感動を与える「エモレポ」という独自の取り組みをスタートさせた。今回は、同プロジェクトを推進した工務部 施工管理課 課長・吉田俊介氏、現場監督の芥川建斗氏にインタビューを実施。全3回シリーズで紹介していく。
Vol.1では、同社の組織風土や協力業者との関係性、ANDPAD導入背景について、Vol.2では具体的にエモレポの取り組みについて迫る。そして、Vol.3では取り組みによってもたらされた変化と今後の展望について伺う。
芥川 建斗氏
株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課 現場監督
株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課。現場監督。現場監督志望で新卒入社し、1年目は営業としてコミュニケーションを学び、2年目から施工管理へ。現在は入社9年目で、現場監督の中堅メンバーとして活躍中。施主報告「エモレポ」の推進者。
お客様に感動していただけるようなCX(顧客体験)向上を目指す
静岡県浜松市を起点に、東海・関東エリアでメンテナンス、リフォーム、新築、不動産など、住まいに関わるさまざまな事業を展開している株式会社アイジーコンサルティング。「快適な住環境事業の創造を通じて社会と社員の生活向上に貢献する」という企業理念を掲げ、「人を大切にし続けること」をミッションとしている。お客様はもちろんのこと、地域の方々とのつながりを大切にしており、林業や材木業者、家具職人など住宅に関わるあらゆる産業と手を組んで地元の国産材の価値を創造する「JAPAN WOOD PROJECT」にも取り組むなど、地域の産業の再生にも貢献している。
新築事業では、厳選された素材にこだわり、お客様が住んでから健やかで楽しく過ごせるような、健康で長持ちする家づくりに取り組んでいる。社員のほとんどが自宅を自社で建てており、その良さを体感しているのも強みだ。
そんな同社だが、さらに顧客満足度を上げていくために、今期からユニークなテーマを掲げている。
アイジースタイルハウスのモデルハウス「EMOTOP(エモトープ)浜松」
吉田氏: 当事業の今期のテーマは「エモ(=emotional)」。これは、お客様に感動していただけるようなCX(顧客体験)向上を目指すための取り組みです。基本的には社内向けのキーワードではありますが、モデルハウスも「EMOTOP(エモトープ)(emotion(感情)+biotope(生息空間))」と名付けています。モデルハウスには性能などの説明書きを設けていません。それは、理論値など理屈ではなく、お客様に家の心地良さを肌で感じていただきたいから。接客でもお客様の感性に訴求することをテーマにしています。
吉田俊介氏 株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課 課長
芥川氏: モデルハウスで宿泊体験をされるお客様への演出も「エモさ」を求めて改善しているところです。お客様の趣味嗜好がある程度わかった状態で宿泊していただくので、それぞれのお客様に合った「エモさ」をご提案しています。こうした取り組みは宿泊体験のプロジェクトメンバーが主体的に始めたものになりますが、今では他の社員にも浸透しています。
芥川建斗氏 株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課
「エモ」をテーマにした取り組みの背景
こうした「エモ」をテーマにした取り組みの背景には、顧客満足度に対する課題があった。2006年に新築事業をスタートさせたものの現場品質に課題を感じた同社は、協力業者と同じ目線で仕事ができる関係性を構築すべく、2008年に協力業者会の「アイジーワークス」を発足。顧客満足度を高めるためには、まず提供する「人」が極めて重要だと考え、社員はもちろんのこと、基礎工事から大工工事、電気工事や内装工事まで各種協力業者がレベルアップしていけるコミュニティをつくった。
吉田氏: 実は、この協力業者会では、技術的な部分よりも仕事に取り組む姿勢など心の部分を大切にしています。毎月開催される研修会や勉強会は、情報交換や技術の向上を図る場でもありますが、トイレの掃除の仕方や靴の脱ぎ方などの現場美化につながるマナーであったり、仕事に向き合う姿勢やいい仕事をつくる考え方について哲学書を引用した勉強会を設けたりと、協力業者の方々にとって学びがあり、楽しく参加してもらえるような内容にしています。
ANDPADを導入し、自走的なコミュニケーションが実現
協力業者会を通じて協力業者との関係性を深めながら、さらに現場品質を上げていくために、同社は2018年にANDPADを導入した。しかし、デジタルツールに馴染みのない職人が多く、導入当初は苦戦を強いられたという。
芥川氏: 特に、職人の方々にANDPADを利用してもらうのは一番最初のハードルでしたね。当時はガラケーを使っている職人さんがまだまだ多かったので、ANDPADへの職人さんからのレスポンスはなく、工程表を作っても見ていただけませんでした。そのため、仕方なくExcelで工程表を作成して職人さんへFAXで送っていました。
導入当初はそういった状況だったので、デジタルツールでの運用はすぐには浸透しませんでした。
だからこそ、会社の方針として、ANDPADに一本化するという強い意識とやり切る覚悟をもって取り組みました。アイジーワークスの会合で勉強会を実施して、こまめに運用に対する思いや具体的なANDPADの利用方法を根気強く伝えていきました。
その結果、今では協力業者の方々が率先してチャットに現場での懸念事項について連絡を入れてくれたり、ANDPADを中心に現場が動くような世界観が形成できています。
写真付きで日報を上げる運用にすると、前後の作業を担当する職人も現場の状況を把握できるようになり、ANDPAD上で職人同士が自走的にコミュニケーションを図ってくれるようになったそうだ。それによって、各現場の監督も効率的に動きやすくなったという。
顧客満足度を高めるための第一歩として、現場品質の向上に早くから着手し、会社として協力業者とコミュニケーションを図ることができる協力業者会「アイジーワークス」というコミュニティがあったからこそ、ANDPADの運用においても同社の覚悟と思いが協力業者を動かし、ANDPAD運用が浸透したのだろう。
Vol.2では、お客様に感動してもらえるようなCX向上を目指すために、同社がスタートさせた「エモレポ」の取り組みについて詳しく紹介する。
URL | https://www.e-igc.jp |
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代表者 | 代表取締役 鈴木 智彦 |
設立 | 1975年 |
所在地 | 〒430-0906 静岡県浜松市中区住吉4-9-5 |