〜vol.2〜家づくりの顧客体験を現場監督が紡ぐ「エモレポ」に迫る/CX向上を目的としたANDPAD活用

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吉田 俊介 氏
株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課 課長。新卒で土木の会社で現場監督を経験後、同社に中途入社。現在入社19年目。1級土木施工管理技士。ANDPADの現場推進者。

芥川 建斗 氏
株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課。現場監督。現場監督志望で新卒入社し、1年目は営業としてコミュニケーションを学び、2年目から施工管理へ。現在は入社9年目で、現場監督の中堅メンバーとして活躍中。施主報告「エモレポ」の推進者。

「人とのつながり」を大切にし、住環境創造企業として、お客様にとって快適な住環境を提供することはもちろん、社会、社員の生活向上に貢献する株式会社アイジーコンサルティング。顧客満足に課題を感じていた同社は、CX(顧客体験)の向上を目指して、施主報告を通してお客様に感動を与える「エモレポ」という独自の取り組みをスタートさせた。今回は、同プロジェクトを推進した工務部 施工管理課 課長・吉田俊介氏、現場監督の芥川建斗氏にインタビューを実施。Vol.2では具体的にエモレポの取り組みについて迫る。

「エモレポ」の取り組みの背景と目的

現場品質の向上の取り組みの一環として、同社では監督業務の見直しを行った。監督業務のうち発注関係の一部業務を専任者へ切り分け社内分業化を進め、その分監督が担当する年間の目標棟数を15棟から20棟に増やしたという。それと平行して、お客様とのコミュニケーションにおいても、「エモレポ」というユニークな取り組みを2012年2月からスタートさせている。この「エモレポ」とは、オプション機能である[ANDPAD施主報告]を活用してお客様の共感を得られるような現場レポートをするもの。契約時でピークになるお施主様の家づくりの良質な体験を、引き渡し、さらにはその後まで体験曲線を伸ばしていくための取り組みだ。

吉田氏: 「エモレポ」を実施している目的としては、紹介件数を増やしたいという狙いがあります。紹介は比較的引き渡し後すぐいただくことが多いのですが、他社に比べて紹介件数が少ないという課題を感じていました。

吉田俊介氏 株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課 課長

芥川氏: お客様のアンケートを見ると、営業、設計、監督と比較するとどうしても監督の印象が薄く、点数が低い傾向がありました。営業や設計は打ち合わせでお施主様の夢を膨らませるのが仕事ですが、監督はそれを具現化させていくのが役割なので、できないことなどネガティブなコミュニケーションになりがちです。お施主様にとってはうまくいかないことが多いわけですよね。だから充分なコミュニケーションがないと、監督は悪者になってしまう。社内でも監督だけがお施主様との関係性で疎外されている状況は顧客体験の面でも、業務環境の面でもあまり良くないですよね。

そこで、現場監督とお施主様とのコミュニケーションを通じて、家づくりの本番である着工からのプロセスをもっと見せていくことで、家づくり体験を満足していただけるように、「エモ」をテーマにしたCX向上のためのプロジェクトを立ち上げ、「エモレポ(エモーショナルレポート)」と名付けました。

芥川建斗氏 株式会社アイジーコンサルティング 工務部 施工管理課

「エモレポ」の取り組み内容について

従来のお施主様への連絡業務は、週1回現場の進捗状況をお施主様に報告するというものだった。対して「エモレポ」では週3回を目標値に定めている。先述の監督業務の分業化により監督の年間棟数目標が増えたため、各現場訪問数は週1回を目指している一方、「エモレポ」を実施するために監督が毎度現場に足を運んでしまうと監督の生産性が下がってしまう。

そこで、同社では現場の職人さんに写真を撮影していただき、日報としてANDPADで写真を共有していただくという運用を取り入れた。現場にいる職人さんが習慣的にANDPADを使うことによって、監督の現場訪問回数を増やすことなく週3回の頻度での「エモレポ」の実践が可能となっている。社外ユーザーへの意義と目的をセットにした運用浸透を図ったことで、CXの向上施策を監督の業務生産性を維持した上で実現できているのが非常に素晴らしい取組だ。



以前の写真は現場の作業進捗を伝えるという、ある意味無機質なものだったが、職人が写真を上げてくれるようになってから、監督自身が撮影する写真の品質も向上したという。現在は、現場の進捗写真よりも職人の表情や作業風景を撮影し、つくり手や家づくりのプロセスの温かみを伝えることに重点を置いたものになっている。
お施主様に親近感をもってもらえるよう、テキストは形式的なものではなく、さりげなく監督自身の情感を入れて、場合によっては絵文字なども使いながら感情や情緒が伝わりやすいように工夫を凝らしている。

また、お客様は職人と直接コミュニケーションを取る機会が少ないことから、現場で会った時に話しやすくなるようなエピソードや職人の人柄の部分を伝えている。

この「エモレポ」によって、現場とお客様の距離がグッと近くなり、コミュニケーションの仕方を変えることが、お施主様の反応にダイレクトに影響を及ぼすのだと実感したという。

従来の施主報告と「エモレポ」の違い

芥川氏: 「エモレポ」には性能や品質など専門的な内容は入れていません。お客様が求めているのはそこではなく、家づくりのワクワクと感動体験だと考え、そうしたものを提供できるように心がけています。

もちろん、お客様の性格や趣向性によって適宜内容は変えています。共通することで言えば、あえてスペックや品質面について訴求する内容やアピールすることは「エモレポ」では記載することをしないようにしています。スペックや品質はあって当然のものだと思いますし、それをお伝えしたところで家づくりの感動は生まれませんからね。

他方で、当社は社員全員がHPでブログを書いているのですが、工務のブログは意識的に住宅品質へのこだわりの部分をPRして、専門的な知識はここでしっかり伝えるようにしています。着工後は共感を重要視した「エモレポ」でのコミュニケーションにすることで、発信する内容の棲み分けをしています。

吉田氏: それまで週1回だった施主報告を、「エモレポ」を実施するにあたり週3回に増やしました。現場監督の各現場の訪問数は週1.3件程度なので、「エモレポ」のために監督の生産性が落ちてしまわないよう、職人さんに写真付きの日報も送ってもらう運用にしています。

元々お客様アンケートにも監督から週一回の報告があったかというヒアリング項目があり、監督の評価の指標にもなっていましたが、形式的なものになっていて、施主報告を通してお客様が意見や気づいたことを発信しやすい環境をつくれていませんでした。結果として、小さな不満や不安を抱えていても言えないまま積もり積もって、何かをきっかけに大クレームに発展するといったことも。お客様満足はもちろん、当然、紹介にもつながりません。だからこそ、こまめなコミュニケーションによってお客様が些細なことでも言いやすい環境をつくることが、結果的には生産性やお客様満足も高められると考えています。

あとは、シンプルに写真のクオリティを上げる狙いで、現場監督の写真撮影のスキルアップにも取り組んでいます。例えば「エモい写真グランプリ」というのを建築事業部全体会議のなかで行い、「エモ」を体現している写真や技法などを各自持ち寄り日々研鑽しています。

これまでの形式的な進捗共有のためのお施主様連絡業務を見直し、現場監督とお施主様とのコミュニケーションを通じて、家づくりの本番である着工からのプロセスを見せることで、家づくりの感動体験を提供する「エモレポ」。Vol.3では、「エモレポ」によってもたらされたお施主様との関係性の変化や、今後の展望について紹介する。

株式会社アイジーコンサルティング
https://www.e-igc.jp
〒430-0906
静岡県浜松市中区住吉4-9-5
代表取締役:鈴木 智彦
設立:1975年

取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
デザイン:安里和幸