ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は「ベスト受発注ユーザー賞-発注-」で全国1位を受賞されたヤマト住建株式会社 積算部 主任の田島みさとさんにインタビューを実施。同社 積算部 係長の古嶋大輔さんにも同席いただき、お話を伺った。
1987年に創業したヤマト住建株式会社は、高性能住宅を中心に展開する大手ハウスメーカー。『日本の住宅を「世界基準」にする』という使命を掲げ、世界水準である「長寿命」「広い」「安い」「性能が良い」家を日本の住まいのスタンダードとして普及させるべく、高品質な家づくりに注力している。
さらに、「万人に喜びを」という経営理念のもとで顧客第一主義を掲げる同社は、高性能住宅でありながら、適正価格での提供にこだわっている。こうした戦略が奏功し、同社の売上はここ10数年間で約5倍に伸長。急成長を遂げるかたわら、現場監督の業務負担も増加したことで、これまで監督が行ってきたコスト管理を、新たに新設した「積算部」で請け負う形へと転換。さらに、紙ベースのアナログな業務を刷新し生産性を向上させるべく、2021年にANDPAD受発注を導入した。
時を同じくして、2021年に同社の積算部に入社したのが受賞ユーザーである田島さんだ。異業界からの未経験での入社にも関わらず、ANDPAD受発注の活用度合いは全国1位に輝いた。さらには、膨大な業務をこなし、積算部内でのメンバーの離職がありながらも、残業時間はゼロという高い生産性を上げている。本記事では、その活躍を支える、ANDPADを起点とした業務体制を紐解いていく。

未経験からのキャリアチェンジを支える働きやすい環境
──ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞-発注-」全国1位の受賞、おめでとうございます! 受賞の連絡を受けたときは、どのようなお気持ちでしたか?
田島さん: そんなわけないなぁ、と。私「田島」と上司の「古嶋」の名前が似ていることもあり、間違えているのではないかと思いました(笑)。自分がそこまでたくさんの発注を処理していたのかな、と半信半疑で。毎月の請求処理が終わると達成感はありますが、毎日定時には帰宅しますし、そこまで頑張っている自覚はなかったので……。
古嶋さん: 日々頑張ってくださっていますよ。私は「受賞、すごいじゃん!」という感じでしたね。ANDPAD AWARDの存在自体は知っていましたが、部としても会社としても賞を獲ろうと思って仕事をしていたわけではないかと思うので、受賞を知ったときは驚きました。

ヤマト住建株式会社 積算部 係長の古嶋大輔さん(写真左)、同社 積算部 主任の田島みさとさん(写真右)
──田島さんのご経歴についてお聞かせください。貴社にはどのような経緯で入社されたのでしょうか。
田島さん: 入社前は、アパレル業界で販売の仕事をしていました。人と話すことが好きで、アパレルの他にもお菓子の販売をしたりもしていましたね。結婚を機に群馬県に移住して、販売職を探したのですがなかなか見つからず……。そこで目に入ったのがヤマト住建の求人でした。住宅展示場の見学や打ち合わせの際、お客様のお子様対応を担当する人員を募集していて、興味を惹かれました。
さらに、私は短大で住宅に関する勉強をしてきたことも、当社に興味を惹かれた理由の1つだったかもしれません。生活科学科という学科に在籍し、バリアフリー対応の住宅の見学や、高齢者と犬の触れあいに取り組む介護施設について調査をしたり。卒業後はしばらく住まいに関する仕事はしていませんでしたが、学んできたぶん身近に感じる分野でしたね。
ただ、自分自身の子どもがまだ小さかったので、入社にあたり土日の出勤は難しいことを相談したんです。すると、「ちょうど積算部に空きがある」とのことでパートでの入社を決めて、入社から1年半後に正社員になる機会をいただきました。
──異業界からのキャリアチェンジに加えて、職種も変えられています。入社当初は、働き方のギャップもあったのではないでしょうか?
田島さん: そうですね、まず静かなところで働くことに慣れなくて……(笑)。アパレル時代はお客様とお話をしたり、お店には常に音楽も流れていたので賑やかでした。それが一転して、シーンとしたところでじっと座って働くという働き方には、慣れるまで違和感がありました。パソコンを使った業務も不慣れでしたが、「早く覚えて」と急かされることもなく、一から優しく教えていただきましたね。初めての業務ばかりでしたが、毎回新しいことを学ぶのが新鮮で、おかげさまで楽しく仕事に慣れることができました。

入社直後、隣に座っている人からメールで指示が来たときは、思わず「直接言ったほうが早いのではないか」と驚いたと当時を振り返り笑顔を見せる田島さん。
──ご家庭の都合もあり、土日休みの積算部への配属を希望されたとのこと。実際にお仕事をされるなかで、働きやすさや会社の雰囲気についてどのように感じていますか?
田島さん: 社員が「こうなるといいな」と考えていることを、立場問わず会社に提案しやすい柔軟な雰囲気があり、会社側としても働きやすい環境を整えていくことに積極的であるように思います。急なお休みも取りやすいですし、コロナ禍には有休とは別で、療養時などに充てる特別休暇もいただきました。多様な働き方を受け入れる風土があるので、子育て世代としても心強いですし、女性社員も多い気がしますね。
10数年間で売上約5倍へ! 現場監督の負担解消のため「積算部」を新設
──改めて、会社概要や強みについてお聞かせください。
古嶋さん: 当社は、神戸市に本社を置く住宅メーカーです。注文住宅事業を中心に、分譲住宅事業や不動産流通事業、リフォーム事業などを手がけています。全国に45拠点を展開しており、ここ伊勢崎店もそのひとつです。
強みとなるのは、高性能住宅へのこだわりです。省エネ性能や耐震性能など、住宅の基本性能に注力することはもちろん、高気密・高断熱で1年中快適な住環境の実現に努めています。優れた省エネへの取り組みや、先進的で高効率な省エネ型製品などを表彰する「省エネ大賞」では、2021年度に最高位の「経済産業大臣賞」を受賞するなど、性能について高く評価をいただいています。

省エネルギー性能の優れた住宅を表彰する「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2024」において、同社が手がける注文住宅「エネージュNS」が大賞を受賞。これまで2014年・2017年・2023年に大賞を受賞し、史上初の2年連続、4度目の歴代最多の大賞受賞。同時に省エネ住宅特別優良企業賞のダブル受賞にも輝いた。2009年度の初参加以来、毎年賞を受賞し、2024年度で15期連続での受賞。(引用:同社HPより https://www.yamatojk.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2025/02/HOY-2024.pdf)
──ここ10数年間で事業規模も大きく拡大したと伺いました。
古嶋さん: この10年ほどで引渡し戸数が約3倍に増え、新築住宅以外の事業も伸びたことで、売上が約5倍に成長しました。2024年度の新築の引き渡し戸数は1,000棟ほどでしたが、 2025年度は年間1,400棟を目標にしているところです。私は2016年に入社し現在9年目ですが、入社時点から比べると社員数も約5倍に増えており、組織拡大を肌で感じています。
──右肩上がりの会社の成長を実感されてきたとのこと。そんな古嶋さんのご経歴についてもお聞かせください。
古嶋さん: キャリアのスタートは、群馬県でドラッグストアの店員をしていました。店舗で2年間働いた後、5年ほどシステム管理の部署にいましたね。その後、木材輸入会社を経て、前職である不動産会社に入りました。購買部の原価管理課で、実行予算を組んだり、発注や請求をしたり、今の業務内容に近いことをしていました。当社に入社したのは、ヤマト住建に転職した不動産会社時代の上司の方から、お声かけいただいたのがきっかけです。

──現在所属されている積算部には、いつ頃に配属されたのでしょうか。
古嶋さん: 入社した時からです。積算部自体が、私が入社したときに会社として初めて、ここ伊勢崎店で立ち上げられた部署なんです。
当時は現場監督自らが、予算組みや発注・請求処理も行っていました。しかし、会社が右肩上がりで成長したことによる業務量の増加に伴って、監督にはなるべく現場に集中してもらおうと、積算部を立ち上げてそれらの業務を請け負う形にしたのです。部の新設と同時に、ANDPADの導入以前に活用していた受発注システムを入れ、運用を始めました。
──積算部の立ち上げメンバーとして、積算部の業務体制を構築されていかれたのですね。現在の積算部の業務内容を教えてください。
古嶋さん: 協力会社さんとの価格交渉、受発注業務、請求処理、完成現場の原価集計、さらには実行予算組みなどが主な業務です。実行予算組みについては、現在関東の現場のみを積算部で対応し、関西の現場は積算部ではなく現場監督が行っています。
──現在の積算部は、どのような人員体制で対応されているのでしょうか? また、積算部には、田島さんのように未経験で入られる方も多いのでしょうか?
古嶋さん: 積算部は全体で8名いて、伊勢崎店に在籍している3名のうち田島ともう一人は、業界未経験で入社したメンバーですね。残りの5名は全国のさまざまな店舗に所属しています。業務は店舗・メンバー間で分業されており、伊勢崎店では発注・請求・集計業務を、伊勢崎店以外の店舗の積算部のメンバーは、主に実行予算組みを専任で担当しています。

田島さん: 業務は分業されているし、住まいもバラバラなので、同じ積算部でも他店舗ではお会いしたことがない方もいるくらいなんです。
古嶋さん: 私は上長として、他店舗のメンバーと横断的に関わることもあります。それでも、他店舗との頻繁な連携がなくとも滞りなく業務を遂行でき、さらに未経験者であっても円滑に業務を進めることができるのは、誰がどこまでの業務範囲を担うかという分業体制が明確に構築されているからこそだと思います。

高性能な家づくりに強みを持つヤマト住建。その強みを証明するかのように、大きな事業成長を遂げた。その裏側で、増加する業務を支えるべく立ち上がったのが、古嶋さんや田島さんが所属する積算部だった。その業務基盤を担うツールとして、同社は2021年にANDPAD受発注を導入する。後編では、そのANDPAD受発注導入の経緯から、活用を浸透させるまでの工夫やANDPADを起点とした業務体制、さらには導入後の変化などに迫っていく。
| URL | https://www.yamatojk.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 河本 佳樹 |
| 設立 | 1987年11月 |
| 本社所在地 | 兵庫県神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号 神戸商工貿易センタービル18階 |














