本企画では、「ANDPAD AWARD 2021」の各部門の受賞者に会いに行き、仕事へのこだわりやANDPAD活用術などを教えていただきます。今回は、「リフォーム資料お知らせ賞 社内ユーザー部門」全国1位受賞された、株式会社山田工務店 技術部 積算課 太田沙希さんのインタビューをご紹介いたします。
同社は創業60余年の歴史をもち、焼津市・藤枝市・島田市で4,000軒を超える注文住宅・リフォーム工事を手掛けていらっしゃいます。不動産部門・新築部門・リフォーム部門を包括しており、地域の方々の暮らしをサポートされています。太田さんはANDPAD導入時のプロジェクトメンバーとして抜擢された施工管理、施主報告、引合粗利の運用構築の要となる存在でいらっしゃいます。前編では、そんな太田さんに、ANDPAD導入のプロセスや工夫されたこと、ANDPADをどのようにご活用いただいているかについて伺いました。
ANDPAD導入の推進者としてシンプルな運用を構築
――「ANDPAD AWARD 2021 リフォーム資料お知らせ賞 社内ユーザー部門」全国1位受賞、おめでとうございます! 受賞について社内の方から反応はございましたか。
太田さん: 今回の受賞についてはあまり大っぴらには言わなかったのですが、社長がこっそりやって来て「26万人(当時)の中で1位って凄いね」と言って去って行きました(笑)。
株式会社山田工務店 技術部 積算課 太田沙希氏(左)株式会社アンドパッド カスタマーサクセス部 マネージャー 真鍋祐也(右)
――貴社は2018年にANDPADをご導入いただき、当初は施工管理からのスタートでした。工事課の方ではなく、積算担当である太田さんがANDPAD推進者に抜擢された理由は何でしょうか。
太田さん: 2017年の冬からANDPADの検討をスタートし、半年と経たないうちに導入するというスピード感で進めなければならなかったのですが、以前は紙、FAX等アナログな方法でのやり取りが主流な会社だったこともあり、工事課のトップはデジタル関連が苦手ということでお手伝いさせていただくことになりました。声がかかった理由は、おそらく新卒かつ工事に近い積算の部署だったのでお願いしやすかったのかもしれませんね。私自身デジタルに関しては得意というわけではないもののそこまで苦手意識もなかったですし、サポート的な役割でプロジェクトに入ることになりました。短期間でルールを整えていかなければならなかったため、主務である積算の仕事は少しセーブしてANDPAD導入に注力させていただきました。
太田沙希氏 株式会社山田工務店 技術部 積算課
――従来の業務はアナログだったというお話がありましたが、一番最初に導入された施工管理に関しては、現在どれくらいデジタル化が進んでいるのでしょうか。ご実感されている変化について教えてください。
パートナー(※)さんにお渡しする図面配布業務が一番はじめに楽になったと感じたことですね。従来はメール、FAX、手渡しなど、今考えると信じられないほどのアナログなやり方だったのですが、ANDPADを導入してからは資料をアップしてパートナーさんを招待するというプロセスで完結するので、ANDPADがなかった時どうやっていたのか思い出せないくらいです。
以前は共有サーバーに1件ずつフォルダを作成し、その中に図面、申請資料、原価表、見積書などを格納していました。それを全てANDPADに載せ替えたのですが、元々の当社のやり方がたまたまANDPADの機能にフィットしていたので、同じやり方でそのまま移行することができました。共有サーバーはあくまで社内共有用でしたが、ANDPADに資料を格納しておけば、図面などの資料はそのままパートナーさんに共有することができるようになりました。現在はANDPADに物件に関わる情報が全て揃っています。
※編集部注:同社は、協力業者様をパートナーと呼んでいる
太田さん: また、導入直後はあまり見受けられなかったのですが、3年ほど経ってようやくチャット内でパートナーさん同士のコミュニケーションが見られるようになって、凄く嬉しいです。やっとここまできたというところですね。監督の業務負担も軽減できていると思いますし、今では何をするのもANDPADを使うのが当たり前になっています。
――ANDPAD運用がしっかりと浸透し、パートナー様同士を含めたコミュニケーションのネットワーク化を実現されているのですね。こうした変化を生むきっかけとなった出来事はございますか。
太田さん: 気づいたら出来上がっていたという感じだったのですが、業者会で監督から何度も「ANDPADを使った連絡をお願いします」とアナウンスしていましたね。それから、ANDPADに情報が集約されていれば、パートナーさんも見てくれるのではないかということで、会社としての意志を示すために、監督からの連絡はいつもANDPADで行いました。ANDPADにはいろんな機能がありますが、初めから全員がうまくできないので、とにかくチャットに上げてもらうというシンプルな運用にして、みんなで一緒にやっていこうというスタンスで取り組みました。大工さんを呼んで写真の撮り方講習を実施したりもしました。
ANDPAD運用については、現在に至るまで少しずつパートナーさんへのお願い事は増やしているのですが、私が絡んでなくても工事課からパートナーさんに依頼して進めてくれるようにもなり、社内でも自走化してきていることを実感しています。
パートナーのデジタル体験に配慮した細やかな運用改善を重ねて
――導入時の失敗や苦労した点はございましたか。
太田さん: 失敗というとあんまり思い浮かばないのですね。なぜならそうならないようにひたすら準備をしたからです(笑)。
図面をANDPADで共有するようになってから、パートナーさんにネットワーク環境によってデータが重すぎて開けないという問い合わせをいただいたので、データの解像度を落とす他にも次のような工夫をしました。従来は複数枚にまたがる資料や図面は、一度にスキャンして1つのPDFデータにしていました。しかし、それだとパートナーさんがANDPADから見たい資料をすぐに探すことが難しいというお声をいただき、そもそもスキャンする段階で、図面を細かく分割してアップするようになりました。社内においてもデータの分割によって資料が探しやすくなったり差し替えがしやすくなったりと、メリットが大きかったですね。スキャンしたタイミングで共有すれば、更新したことも分かりやすくなりました。そういう細かいところは都度対応しています。
――匙を投げずに、一段降りて丁寧に業務フローを改善されているのは凄いですね!こうした細やかな改善をされるにあたって心掛けていらっしゃることはございますか。
太田さん: ANDPAD導入前に、アンドパッドさんからは「パートナーさんに説明をしてご理解をいただいた上で運用をスタートした方がいい」とアドバイスをいただいたのですが、当社は「60%でまずはやってみる」という社長の方針のもと、ANDPADを導入する際も「不便なことがあったら変えていくので、一緒にやってくれませんか?」とお伝えして、パートナーさんから問い合わせがある前提でスタートし、直すべきところは直し、お願いすべきところはお願いするというやり方で進めています。
面白いのが、従来から図面を手渡ししていたご年配のパートナーさんからは、説明会の時点では「ANDPADの運用についていけない」とご意見をいただいたのですが、今ではすっかりANDPADをちゃんと使いこなしているんですよ(笑)。この件で、年齢とか関係なく少しずつお願いすれば、少しずつ受け入れていただけるんだなと思いました。
――「60%でまずはやってみる」という、やりながらブラッシュアップさせていく風土が形成されているのですね。協力業者様を「パートナー」と呼ぶなど、随所に貴社ならではの文化を感じるのですが、会社として大事にされていることについて教えてください。
太田さん: 当社にとって、パートナーさんは一緒にお客様満足に向けて頑張る仲間であり、チームという感覚。当社のミッション、クレドの中にも「私達は、チームワークを重視します」という言葉があり、パートナーさんもチームの一員として一緒に取り組んでいきたいという想いから、業者会を開催してパートナーさんの意見を聞いたり、業種ごとにパートナーさんを集めてディスカッションを行ったりと、より良い仕事をしていくためにはどうしたらいいか一緒に議論しています。
当社はそれを「大家族主義」と呼んでいて、前時代的に感じる部分もあるかもしれませんが、会社は家族よりも長い時間過ごす場所であり、社員は仲間なので、家族のような存在という位置づけです。だから社内の風通しも良いですし、みんなで一緒にやっていこうという風土になっているのだと思います。
後編では、2018年から導入いただいたANDPADの施主報告や引合粗利管理によって起こった業務変化や、社内外メンバーがANDPADを積極的に使いたくなるルールづくりの秘訣について伺いました。
URL | https://www.happy-yamada.com |
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代表者 | 代表取締役 山田耕治 |
設立 | 1956年9月 |
所在地 | 〒425-0076 静岡県焼津市柳新屋648-2 |