ANDPAD ONE CONFERENCE 2022 開催レポート / マイルストーン運用の徹底により部門横断の着工予実管理を改善!〜工程管理の標準化に向けた400棟ビルダーDX推進責任者の挑戦〜

  • 注文住宅
  • 総合リフォーム・リノベーション
  • 横断マイルストーン予実管理
  • DX人材
  • ANDPAD
  • 横断工程表
  • CONFERENCE2022

■登壇者
北島 靖隆 氏
悠悠ホーム株式会社 DX推進部 部長
地方国立大情報工学部卒。営業職として同社に入社後、プレイヤー2年、プレイングマネージャーとして4年、その後は横浜エリア支店長1年と、会社の主幹事業である注文住宅事業に関わる。その後、住宅の新ブランド、飲食事業、インサイドセールス部門などの立ち上げを行う。情報システム系は未経験ながら、昨年より現在の立場となり、CRM・SFA・CTI・MA・グループウェア等を導入。現在は国立大ビジネススクールに通いながらSFA × ANDPAD連携や基幹システムの入れ替えを推進中。現在入社11年目。

■モデレーター
瀬口 比呂
株式会社アンドパッド 第二事業本部 PoC部 マネージャー
新卒で、モバイルコンテンツ会社へ入社。新規事業の起ち上げやM&A、経営企画、事業開発の経験を経て、2020年にアンドパッドに入社。現在は大手ビルダー様の経営DXを実現するため、述べ500名以上の監督様のお話を伺いながら、導入ご支援やプロダクト共同開発、アライアンスなどのプロジェクトを担当。

芳賀 彩乃
株式会社アンドパッド SaaS戦略本部 カスタマーサクセス部 リーダー
大学卒業後、分譲住宅会社の注文住宅部門にて住宅営業を経験。その後、2020年にアンドパッドに入社。現在はカスタマーサクセス部にて新築住宅企業様を中心にANDPAD導入・運用支援に従事している。累計100社以上の運用支援を担当。

本記事では10月21日に開催したセッションからマイルストーン運用の徹底により部門横断の着工予実管理を改善!〜工程管理の標準化に向けた400棟ビルダーDX推進責任者の挑戦〜」と題した内容をお届け。

悠悠ホーム株式会社 DX推進部 部長 北島さんをスピーカーに迎え、株式会社アンドパッド 第二事業本部 PoC部 瀬口と、SaaS戦略本部 カスタマーサクセス部 芳賀がモデレーターを務め、工程管理の標準化に向けたDX推進責任者の挑戦についてお話を伺いました。

「売り上げを最大化・経費を最小限にすること」をミッションに。DX推進担当が進めたデータ経営に向けた3つのステップ。

株式会社アンドパッド瀬口(以下、瀬口):まずは悠悠ホーム様の会社概要と北島さんのご経歴をお聞かせください。

左から:ANDPAD株式会社 瀬口、芳賀、悠悠ホーム株式会社 北島氏

北島さん当社は1989年に福岡県大野城市で創業し、リフォームや住宅建設事業のほか、現在では太陽光発電のようなエネルギー事業や保険、金融事業まで幅広く事業を展開しています。福岡県を中心に熊本県や佐賀県で年間で400棟弱を建てており、約350名の社員が働いています(2022年9月時点)。

瀬口:北島さんは営業職で悠悠ホーム様に入社され、後にDX推進者の専任担当部門長に抜擢されたと伺っています。

北島さんDX推進部に所属する以前はインサイドセールス部門を立ち上げ、マーケティングオートメーションツール(MA)や電話の録音ツールであるCTI(Computer Telephony Integration)を導入するなど、自主的にできる範囲でDXに取り組んでいました。こういった経緯から、北島ならDXを任せられるのでは、と2021年6月にDX推進部に配属されました。そもそも会社としてもっとDXしなければいけないと感じていましたし、私自身セールスの経験が長いため、セールス周りのDXに関する情報については日々収集していました。DX推進部に就任したときは、工程・工期といった現場に関することや会社の業務プロセスなど会社自体の理解に努めてから、会社をDXさせるためのデジタルツールを調べていく動きをとりました。

瀬口:現在、DX推進担当としてどのようなミッションや役割を担っているのですか?

北島さん社長から「売り上げを最大化・経費を最小限にすること」、これをミッションに「デジタルで経営をする」と明言されました。そしてそれをどれくらいの期間でやっていくのかを3カ年計画として3ステップで実現していく方針を社長と立てました。①基盤になるデータをしっかりつくっていくこと②データをもとに社内ルールや仕事の仕方を変えていけるようなデータドリブンの社内体制の構築、この体制を他社に先駆けて実現し、③最終的に社外に向けて横展開もできるように事業化すること。以上の3ステップです。

足元でやらなければならないのは、会社の仕事をデジタルツールに置き換えつつ、データ連携も将来に見据えた検討でした。そのためにもまずDX推進担当に任命された最初の1年でデータ収集の基盤をつくっていきました。

瀬口:これまでになかったデータの収集やデータ活用など、まさにゼロイチで文化をつくり醸成していくというタフな動き方をしていたかと思いますが、その中で北島さんが大事にされていたポイントはありますか?

北島さん一つ大事なポイントとして絶対にやり切りたいと思ったのは、現場の方々の「理解」「共感」を得ることです。約350名の社員のうち、福岡本社には30〜40名が働いていて、約300名は本社以外で働いています。本社以外で働く残りのメンバーの方々にデジタル化に共感してもらえるか、データの蓄積に協力してもらえるかが重要です。そのため、私は何度も現場の方々と会って話をしていきました。具体的な接し方として、DXを進めていく上でプランを語るのではなく最初に「みなさんの年収を上げていきたいんだ」と夢を語るようにしていました。生産性を上げることは、給与などに直結しますから、そんな会社をつくっていきたいと夢を語ることから始めたんです。もう一つは分かりやすく考えを標語に落とし込んだことです。4K(気合・根性・経験・勘)から3D(デジタライズ・データ・ドリブン)へと標語を掲げ、デジタルをもとに行動を変えていくのが次世代の悠悠ホームであると伝えていました。この二つをもって現場の方とのコミュニケーションを図ることを大事にしていました。

担当者単位で状況把握も、部署横断では現状が分からない状況に危機感

株式会社アンドパッド芳賀(以下、芳賀)ANDPADを導入いただいたのが、DX推進部が新設される前の2020年になりますが、そのときの期待感をお聞かせください。

北島さんANDPADについて、最初は資料などの情報共有をするツールという理解をしていて、工務部の業務を効率化するためのDXツールというイメージを持っていました。

芳賀導入時、北島さんはまだ営業部にいらっしゃったと思いますが、その当時ANDPADを使っているのはどういった部署でしたか?

北島さん工事関係の部署がメインで利用していて、協力会社さんなどと資料や写真の共有、チャットを使っていました。

芳賀ありがとうございます。続いて予実管理についてお聞きしたいのですが、ANDPADを導入する前まではどのように予実管理をしていたのですか?

北島さんEXCELや自社のCRM、あるいは営業部門であればSFAツールなど、各部門がバラバラのツールを使って、それぞれで工程を管理している状態でした。

芳賀部署を横断してスケジュールなどを確認するときは、どのようにしていたのでしょうか?

北島さん基本は電話やメールで連絡を行っていましたね。私は当時営業だったので、現場監督さんに連絡しても、忙しいので繋がらないことも。担当者単位では把握していることも、外からは見えない状態。必要になったときには、情報を自らが確認しにいかないと状況がわかりませんでした。

芳賀各部署で使用するツールがバラバラで、それぞれが業務を行っていたのですね。悠悠ホーム様の場合、お引渡しまでの目標日数などは掲げていたのですか?

北島さん建物の請負契約からお引渡しまでの期間を標準日数としており、235日を目指そうと会社として定めていました。ですが、一昨年の日数を出してみたところ実際は305日だったのです。

芳賀そのような状況を打開するためにもANDPADで予実管理をしていこうと。そこで「横断マイルストーン予実管理」を活用して、各案件における当初の予定日と現場に合わせた予定日、そして実績日の”予予実”を横断で表示し管理していくことになったのですね。初めて「横断マイルストーン予実管理」の機能の説明をお聞きになったとき、どのような印象でしたか?



北島さん私は「この機能は非常に便利だ!」 と食いついていましたが、周りにいた工務のメンバーはあまりピンときていないという温度感だったと思います(笑)。

芳賀そのような中、「横断マイルストーン予実管理」の利用を開始され、部署を横断して予実を一元管理していくプロセスについてお伺いできればと思います。

部署横断の「共通言語」の整備に難航も、共通のゴールを明示することで訪れたブレイクスルー

芳賀「横断マイルストーン予実管理」を活用していくにあたり、まず実施しなければいけないのが、全社横断で共通して管理すべき重要期日はなにかといった、マイルストーン項目を抽出することからだと思います。この項目抽出は社内の調整をどのようにして進めていたのですか?

北島さんここは本当に苦労したところですね。まず先程もお話したとおり、営業、設計、工務部、それぞれで工程を管理しているため管理方法がバラバラでした。そのため最初に実施したことは、各部署の工程をまとめていくという作業です。そこで営業、設計、工務それぞれが設定した営業〜設計〜工務の業務のつなぎや流れを抑えて、工程としてつなぎ合わせたものを各部署に確認しに行くと「そうじゃない!」という反応が…。なぜなら、営業にとってのゴールは請負契約まで、しかし設計からすれば「図面が描けるようになってからが自分たちの仕事」と認識しています。例えば「契約は済んでいても住宅ローン審査が通っていないから、審査に落ちる可能性を考えると図面はまだ着手できない」、あるいは「土地造成が終わっていないのでまだ図面は描けない」という設計部門の言い分は当然です。要は、営業と設計の境目に「守るべき関所とはなにか、そして誰が守る関所なのか」ということに関する認識にグラデーションがあったんですね。同様に設計と工務のつなぎ目においてもグラデーションは存在していました。それぞれの立場の確からしい言い分において相克があるが故に「確定図面が上がってないから進められない」「ここは設計の責任でしょ」といった責任のなすりつけ合いのような現象が起きてしまっていました。

このような背景が理解できたので、まずは何を指標として、どのタイミングが責任の所在の切り替えのポイントなのかをはっきりさせていくということが大切だと考え、最初は動いていました。



芳賀重要指標の項目云々の前に、どこまでがどの部門の責任範囲なのかを業務の流れを整理して、まずは話し合いからスタートされたのですね。

北島さんそうですね。どこまで営業がやってくれたら設計は自分の範囲だと認識するのか、どこまで設計がやってくれたら工務は自分の範囲として認識するのか、認めてくれるのかということをはっきりさせるために、コミュニケーションを図り責任範囲を明確にしていきました。

芳賀実際に進めていく上で、私も何度かお打ち合わせに参加させていただきましたが、マイルストーンの項目を決めるところまでに時間を要した印象があります。どれくらいの時間をかけて整理をされていったのですか?

北島さん最終確定まで2〜3ヶ月ほどかかったと思います。部署横断の取り決めをすることになるので、ここだったら納得できるのではないかという案を私が作成し、専務にも相談しにいきました。部門それぞれで意向は異なるものの、「いつ売上実績がわかるか」という予測はきちんと立てたほうがいい、というのは共通の認識。その点で各部門に合意を取った上で、部署横断の会議を開き、私は調整役に徹して最終決断は専務にしてもらう進め方を遂行しました。

芳賀北島さんのような専任の方がいないと、なかなか各部署で折り合いをつけるのが難しいですよね。北島さん自身が現場担当と決裁者との間に立って調整するにあたり、コミュニケーションで工夫された点や重要にしていた軸はありますか?

北島さんマイルストーンの設定は、どうするかというhowの部分の話。howの部分でいきなり話をすると、どうしても対立が起きやすくなってしまうので、それよりもなぜそれをやらなければならないのかというwhyの部分の共有を優先して進めることを意識して話すようにしていました。例えば、会社として定めていた標準日数を引き合いに出して「235日で引き渡さなくてもいいと思ってますか?」と聞くと、「そんなことはない」とみな口を揃えて言います。「この考え方が大事なら、一緒に取り組んでいきましょう」と必ず最初に握り合っていくようにしました。

芳賀ゴールを示して、そこから細かい部分を決めていくのが必要ということですね。

着工の阻害要因が何かを特定し、前工程を担う部門のKPIを変える骨太な改革へ踏み切る

芳賀一つの指標で管理していく上では、業務の流れがはじまる”基点”として基準日を設定する必要があります。マイルストーンで管理する重要期日とあわせて、こうした基準日というのはどのように設定したのですか?

北島さん全体の工程のなかで一番問題があった点は、営業から設計への引き継ぎのところでした。例えば「土地の造成計画が定まっていない」、「土地の契約が終わっていない」、「ローンの承認がおりていない」など営業から設計にバトンを渡した場合に設計工程を変動させる要素が残っていると、それによって着工準備が進められない状況が生まれます。そのため、まず着工の阻害要因になる部分を洗い出し、営業から設計に渡すためにクリアにすべきポイントを明確にしていきました出てきたポイントは、土地が契約済みで所有権の目処が経っている状態。次に住宅ローンが承認済みであること。そして、4ヶ月以内に着工できる状態になっているかを要件に加え、これら3つの定義を定めて営業のゴールとしました。これらが満たされている状態を社内用語で「A計上」と定義し、営業のゴールを「請負契約」から「A計上」へ変更しました。



芳賀着工に対する阻害要因を特定して前工程を担う部門のKPIを変更するというのはかなり骨太な改革だなと改めて思います。請負契約だけでなく、3つの定義をクリアしないと次へ進めないと明確に定めたことで、営業の次にパスされる設計にとっては業務が進みやすくなるかと思います。一方で、営業側からすると責任範囲が増えるため、反対意見はなかったのですか?

北島さんその点に関しては繰り返しになりますが、「目的」から話すことを徹底しました。契約が目的ではなく、売上を上げることが営業として大事です。売上げを上げるためには引き渡しが重要、引き渡しするためには着工が重要、着工できる状態にすることが営業の責任範囲ですよね、と目的の部分から順番に合意を取って話していきました。

データドリブンに工期遅延の要因を特定。どの工種に力を入れて職人育成すべきか優先順位が把握可能に

芳賀まずは営業から設計に渡る「A計上」という基点を設定しましたが、設計や工務にとっては、横断マイルストーン予実管理を活用した工程の標準化によって、どのような影響やメリットが生じたのですか?

北島さん先程は各部署が責任のなすりつけ合いという話をしましたが、よくよく話を聞くと「自分たちは期限を守っているのに評価されない」という言葉も現場にはあることが分かりました。今までは期限通り完了したのか、オーバーしたのか見えない状態でした。「A計上」という基点を定めることでそこがクリアになったのと、誰がどのようにいい仕事をしているのかがはっきりと分かるようになり、設計や工務にとって喜ばれるポイントじゃないかと思っています。

また工務に関しては、年間の「完工棟数」を工務の評価指標にしていましたが、そもそもエリアや営業の受注状況によって案件数が異なります。そのため、「完工棟数」以外の追加指標があるとよいのですが今まではそれがなかなか難しかった。工程が標準化されることによって案件ごとの工期が見える化し、担当者の段取りの良さや現場を回す能力といった部分が可視化。「完工棟数」以外の観点からも工務を評価できる、非常に大きな変化だと思っています。

芳賀ありがとうございます。管理側としては部署を横断して日付が管理できることで、当初目標としていた235日で引き渡しの実現に向けて一歩前進できたというのは素晴らしいですね! ちなみに、こうした部門横断した共通言語を揃えていった取り組みから副次的な効果も見えてきたと伺っていますが、いかがでしょうか?

北島さんはい。当社の工事部門では社内職人や大工を育成しているのですが、その点でも横断マイルストーン予実管理が好影響を及ぼしています。というのも、データが集まることで「工程のどこの部分で遅延が多く発生しているか」が見えてくるようになりました。これによって「どの職人が不足しているのか」「どういったスキルが不足しているのか」等が分かり、どの工種の育成に注力すべきか優先順位が見えてきています。データドリブンを進めていき、次の行動に繋げられるデータが少しずつ揃ってきています。

芳賀各案件を完工やお引渡しまで持っていくまでの管理のみならず、その現場を担当している社員の成長スピードや、得意・不得意もデータから見えてくるのですね。

北島さんそうですね。工程が遅れてしまう理由は、必ずしも現場監督の能力だけではなく、職人不足なども要因となってきます。世の中全体で職人不足が叫ばれていますが、データによって「○○エリアの□□の工種に職人さんを確保できていない」といったことが見えてくれば、アンコントローラブルな外部リソースに依存するリスクを放置せずに、社員として職人を育てて○○エリアに配置する、という策が打てるようになります。横断マイルストーン予実管理やデータを活用して対策の効率性や確実性を見ながら意思決定をするフローが確立すれば、職人不足や職能スキル不足といった業界の課題に対しても有効かと思います。



芳賀北島さんは様々な部署の調整をされてきて、横断マイルストーン予実管理での運用を徹底したことで起きた変化はありますか?



北島さんそうですね。部門ごとの管理ツールが統一化されていて、営業・設計・工務の重要日付の予実管理ができる、まさにこの状態をつくれたことがANDPAD導入前から思い描いていた、実現したかったことなんです。

芳賀横断マイルストーン予実管理の情報をSFAツールに手動連携することで、管理者も情報をリアルタイムで追えるようになったんですよね。

北島さんはい。課題に感じていた部門横断の予実管理が改善され、作業の遅れが発生した場合に原因の把握と対策を組織横断で行えるようになった点も大きな変化です。

工数削減とデータ蓄積の両立を叶える「ANDPAD標準工程表」への期待

瀬口:今のリソースのまま、いかにツールを活用して効率化を図っていくのかが次の論点だと思います。ここまでお話しいただいた通り、横断マイルストーン予実管理を活用した重要日程の予実管理については部門横断で行えるようになってきている状況だと思います。主に社内での情報共有や、それによるデータ蓄積という点ですね。ここからは今の状況を踏まえ、次のステップやまだ残っている課題を伺ってもよろしいですか?

北島さんデータが蓄積されていく型というものはできたと思います。ここからいよいよ、データの蓄積というフェーズになりますが、この作業は現場の工数を増やすことにもなりかねません。そのため、データを溜めると同時に工数削減もしていかないといけないと思っています。そして、工数削減をしながら工事部門の工程表をしっかりと活用してもらい、工事の遅延要因を見える化していくことです。何に手を付ければ自分たちの仕事をもっとラクにできるのか、今まで個人任せにしていた工事の遅延要因を、会社として取り組んでいけるようにしていく予定です。

そして、社内で掲げている「お引渡しまで235日」という標準日数を実現していきたいです。そのためには、今のメンバーで連携しつつデジタルツールをいかに使いこなしていくかがカギを握っていると思っています。



瀬口:一方で、対協力会社さん向けとしても工程表の浸透を図りたい。すなわち、工務部の方々は社内向けの予実管理や着工管理と、社外向けの工程表の管理、と求められる作業が増えてしまっている状況と伺っています。こうした二重管理が発生してしまっているのが悠悠ホーム様の現状の課題なのかなと思っていましたが、その辺りはいかがですか?

北島さんまさにその通りで、この部分は解消しなければいけないと思っています。

瀬口:工務部のみなさんが一つの工程表で管理できれば、二重管理が無くなります。それにより、社内の予実管理のみならず、協力会社様や他部署との連携がさらにスムーズになり、より業務を効率化できますよね。

北島さん生産性を上げるという点で、対社内と対社外で工程の二重管理を解消することは非常に重要だと思っています。また、二重管理によって最新状態の工程の反映漏れが起きてしまうのも課題です。工務部長が最終的な工程管理・確認を行いますが、そもそも忙しいのにこのような最終チェックをする業務があるので、この二重管理はどうしても解消したいと思っています。

瀬口:当社から悠悠ホーム様へは、横断マイルストーン予実管理を提案させていただきました。その次のステップとして、「ANDPAD標準工程表」で二重管理の課題解決に向け、一緒に歩みを進めていければと思います。

北島さんはい、かなり期待しています。

瀬口ANDPAD標準工程表で工程を変更すると、その内容が横断マイルストーン予実管理に自動で連携するので、従来の二重入力から開放されます。これにより、社内向けの予実管理、社外向けの工程表ともに、常に最新の状態を保てる上、横断マイルストーン予実管理から手動連携したSFAツールを確認すればA計上〜完成の実績・見通しがすぐに管理部門や経営が把握できるようになるのが、ANDPAD標準工程表の魅力です。

瀬口悠悠ホーム様では、従来、協力会社様向けに共有する横断工程表のフォーマットがおありでした。スマートフォンを持っていない方々のためにも、紙やFAXでの工程表出力をニーズとして求めていただいていました。こうしたご要望に対して、ANDPAD標準工程表ではCSVで出力してEXCEL組み換えでカスタマイズができるという点も、北島さんに評価いただいています。その点はいかがですか?



北島さん本当に助かっています。私がDXを推進する上で、大きなポイントだと思うところを満たしています。1つは管理のための数字の入力を現場担当にさせることを極力避けたい。あくまで、現場の生産効率を上げるためにDXして、それが自動的にデータとして集計されているのが理想的な状態だと思っています。工務部のメンバーが自分の仕事に集中すれば、自然とデータが上がってくる状況をつくれます。

2つ目として、社内のDXはできますが、社外を巻き込んでのDXは非常に難しいと思っています。これまで長い間に築いてきた関係性ややり方など、レガシー的になりつつあるものを新しいものに変える、置き換える、というのはとても労力のいることです。大変な労力を掛ける割にうまくいかなかったりということも多々あり、労力と得られるものの対価との間でバランスを取るのが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。そんななかで、ANDPAD標準工程表であれば工程表をCSV出力してカスタマイズも可能。大きな労力をかけずに業務効率化が実現でき、同時に社外に対しても大きな変化を強要せずに済みます。この2つの点を補えるクラウドサービスを開発していただいたアンドパッドさんには感謝しかないです。

瀬口ANDPAD標準工程表を導入するにあたって、工程を標準化する上で苦労した点や反対する声もあったのですか?

北島さん監督ごとに担当者別でオリジナルの工程表があり、社内で統一した工程表を使うという考えがそもそも無いような状態だったので、導入にあたっては苦労しましたね。

瀬口監督さんごとに使っている工程表が違うなかでは、「今自分が使っている工程表のフォーマットに慣れていて使いやすいから、変えたくない」といった意思の強い監督さんもいらっしゃったのではないでしょうか。

北島さんもちろんいました。そういったときは、監督さんに対して、「その工程表がなぜいいのか教えてください!」とお願いしていました。すると大抵、職人さんの入れ替えのタイミングがうまい具合にいくように工夫しているんですね。監督さん側の事情としては、自分の案件で依頼したい協力会社さんや職人さんたちがいて、その人たちを確保しておきたい意図もあるようでした。自分が抱える職人さんを見せたくない、必要なときにその人が別の案件で埋まっていたら困る……と、いわゆる社内競合が発生していたんですね。

ただ、工程表の形式がバラバラだと、それらを統合して協力会社さんにお渡しする横断工程表を作成するのも一苦労。非常に非効率な運用体制になっていたので、標準工程表を活用するほうがいいことは明白でした。

そこで、「工事に対してすぐに職人さんを手配したい(職人さんがつかまらずに工期が延びてしまうことを避けたい)」といった監督さんが感じる課題は、社内で工程について情報共有することで解決できますよね、という方向で話していくようにしました。ANDPAD標準工程表によって全社で共通した工程が見えるようになれば、空いている協力会社さんや職人さんの状況も可視化でき手配もラクにできます。会社としてはそのほうが最適化していけるし、個人としても、お互いに融通を効かせ合うチームのほうが働きやすいだろう、と。

さらに、ANDPADに慣れている協力会社さんが増えると、案件内のチャットで協力会社さん同士で話し合って工程を組み替えたりする現場も出てくるようになってきました。こういった状況になりつつあることも踏まえて、監督が工程管理の全てを担うのではなく、協力会社さんも含めたチームでやっていきましょう、と伝えていきました。

まとめると、監督の価値観を聞いた上で「あなたが持っている工程表を少しカスタマイズすることで、みんなが使えるようにして実装していきませんか?」というように外側に目線が向くようにし、その人の価値観に入り込むコミュニケーションを意識していました。

瀬口北島さんの真摯な態度と適切なコミュニケーションによって、工程管理の標準化に向けて着実に前進しているのですね。

北島さんまだ様々な課題はありますが、今後もこのようにアンドパッドさんと協力して解決策を模索していこうと考えています。社内外の連帯感を持ちながら、悠悠ホームのDXを進めていければと思っています。

瀬口本日は重厚なドキュメンタリーのようなDXストーリーをお話しいただきありがとうございます。DX推進者として奮闘する北島さんによる社内調整や工程標準化など、お引渡し日数235日の実現に向けたデリバリーマネジメントに、アンドパッドとして今後も伴走して取り組んでいければと思います。

悠悠ホーム株式会社
https://www.yuyuhome.co.jp/
所在地:〒816-0931 福岡県大野城市筒井4-4-17
代表:内山 敏幸
創業:1989年9月

編集:平賀 豊麻、原澤 香織、深町拓夫
ライター:加瀬 雄貴
デザイン:安里 和幸