創業90年以上の地場ゼネコンが見据える、デジタル化の未来 / 〜後編〜「ANDPAD黒板」「ANDPAD図面2.0」で変わる業務体験

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下川 悦司氏
堺土建株式会社 常務取締役 管理本部長
先代である下川忠好氏の三男であり、現代表取締役・下川好隆氏の弟。大学卒業後は商社に入社し、営業として活躍。2002年に建築業界未経験ながら家業に入り、現在入社20年目。営業を経て現職の管理本部長を務める。

西嶋 秀美氏
堺土建株式会社 工事部 技術部長
高校卒業後、1981年に同社に入社。入社41年目。入社後一貫して技術部で現場担当として活躍。現在は品質管理部門の責任者として全現場を巡回し、指導にあたる。

賀川 博之氏
堺土建株式会社 第二工事部 課長
建築系専門学校を卒業後、1993年に同社に入社。現在入社29年目。新築部門の現場管理として、基本的には所長として現場に入るが、工期が遅れている現場などの応援を担当することも。

瀬口 顕吾氏
堺土建株式会社 第二工事部
1年間派遣スタッフとして従事した後、社風に惹かれて2019年12月に同社に入社。現在入社4年目。新築部門の現場管理を担当。



1926年に創業し、大阪府堺市を拠点に90年以上の実績を積み重ねてきた堺土建株式会社。創業以来、「顧客第一」の理念と「誠実」を尽くす姿勢を受け継ぎ、「地域による地域のための建設」を大切にする地場ゼネコンとして地域に根ざしている。

同社は、中長期を見据えた持続可能な企業体制を築くために人材育成に注力するなかで、将来的に社外コミュニケーションまで含めたデジタル化、それによる業務効率化までを見据えて2021年にANDPADを導入した。「ANDPAD図面2.0」や「ANDPAD黒板」といった機能も活用しながら業務効率化に取り組んでいる。そこで、今回は同社のDXを推進する4名にインタビューを実施。後編では、ANDPAD運用浸透における取り組み、「ANDPAD図面2.0」及び「ANDPAD黒板」の活用による業務変化、今後の課題と展望について伺った。

ANDPAD導入にあたり取り組んだことと、運用後の業務変化について

効率的な知の共有による人材育成のスピードアップと、業務効率化を図るためにANDPADを導入した同社。導入にあたり推進役として抜擢されたのが賀川さんだ。社員の平均年齢が45〜46歳の同社において、49歳の賀川さんはベテラン寄りの中堅社員であり、ITにも明るい人物であることから適任だったという。

賀川さん: ANDPAD運用を浸透させるにあたっては、まず若手社員に使いこなしてもらい、下からの突き上げでベテラン社員にまで浸透させるというアプローチを取りました。新人など若手社員はそもそも従来のやり方を知らないので、新しいものに対する飲み込みが早く抵抗感もない。入社4年目になる若手の瀬口もすぐに使いこなしていましたね。

(写真左から)堺土建株式会社 第二工事部 課長 賀川 博之氏、第二工事部 瀬口 顕吾氏

賀川さん: 本格的にANDPADで運用をスタートする第一歩として、まずは写真を撮ってANDPADにアップしてもらうというシンプルなものに。それができるだけで、他の現場の状況が視覚的に共有できるようになりました。それをもとに「ここの現場の若い子はこんなに写真撮ってくれているよ」と伝えることでベテラン社員にも使うメリットを感じてもらいやすくなり、相乗効果が生まれていきました。瀬口をはじめ、若手社員はすぐにANDPADでの操作に慣れてくれ、たくさん写真をアップしてくれて助かりますね。おかげで写真の撮り方についても社内に浸透してきたと思います。

では、実際にANDPADを活用するようになってからどのように業務は変化したのだろうか。

瀬口さん: ANDPADに運用が変わった時は、とても便利だと思いました。アンドパッドの担当の方が機能の説明などにも来てくれたり、分からないことがあってもサポート体制がしっかりしているので質問がしやすかったです。

賀川さん: 資料をクラウド上に残すことで最終的なデータ管理もできますし、ANDPADにログインさえできればどこからでも見たい情報にアクセスできるのが素晴らしいと思います。最近、資料を入れた時に、資料格納したことを通知したい人を選べる機能があるのを知ったのですが、凄くいいですね! どんどん使い込んでいくことで、新しい発見ができるのも多彩な機能が備わったANDPADならではですよね。

ANDPAD上での資料共有状況はまだこれからといったところ。写真の利用と同じように、社員みんなに積極的に使ってもらえるよう便利さを伝えていきたいと思っています。

「ANDPAD図面2.0」の活用でダメ帳作成時間が50%以上削減

同社は、紙ベースによる社内検査からの脱却のために「ANDPAD図面2.0」の活用もスタート。主に新築領域の社内検査で使用している。規模にもよるが検査は3〜4回実施していて、大規模案件になると同じ項目数であっても確認範囲が広くなり、検査の必要人数も増えるのでANDPAD導入前は負担が大きかった。

西嶋さん: 検査の際、是正箇所についての指摘をANDPAD図面2.0上で行っておけば、その箇所の是正が済むと所長や係員が是正内容を確認して写真を上げてくれます。以前であれば是正後に再度現場まで行く必要がありましたが、今は写真を見れば是正が確認できるので適切なタイミングを選んで現場に行くことができるようになり、現場訪問数自体も減りました。その分、他の現場に足を運ぶことができるようになり助かっています。

堺土建株式会社 工事部 技術部長 西嶋 秀美氏

瀬口さん: 現場係員の立場としては、ダメ帳の作成が非常に楽になりました。以前は検査の際に検査員が指摘した事項を検査用紙に手書きして、協力会社さん別に是正事項をまとめ直し、その書類をメールで送付して……と、ダメ帳作成に10時間程かかっていました。それが、ANDPAD図面2.0を活用するようになってからは1〜5時間で済むように。ANDPAD図面2.0の図面上で、該当箇所に「依頼」として指摘事項をまとめることができるのでスムーズですし、ステータス管理もできるので是正漏れも減ったと思います。

「ANDPAD黒板」の活用で、現場担当者の写真撮影・管理業務がスムーズに

ひとつの案件につき格納される写真枚数は工事規模によりさまざまだが、大規模な案件であれば1,500枚ほどと非常に多く格納されることもある同社。日々の写真撮影やその後の写真整理を効率化するために「ANDPAD黒板」を活用している。以前は、係員が撮影した現場写真を所長に確認してもらうために紙で毎回出力し、指摘があった場合は再度撮影し、出力するという手間がかかっていた。所長が確認する観点は黒板の内容や写真の撮り方についてで、「ANDPAD黒板」を活用することでそれらをリアルタイムに確認することが可能になった。

瀬口さん: 黒板付き写真の撮影のために以前使っていたツールは、PCに繋げて作業しなければならなかったり、読み込みに時間がかかってしまうのが手間でした。撮った写真が自動で整理され台帳として出力できる機能はあったものの、こちらが意図しない整理のされ方になることがあり、写真整理に余計な手間がかかるという不便な点もありました。

「ANDPAD黒板」はスマートフォンのみで完結し、撮影したその場で黒板の編集も手軽に行えます。撮影した写真は黒板ごとに、こちらの意図した通りに自動で整理され、後から仕分けをする必要もありません。また、忙しく現場を行き来する中では、黒板をセットする間もなくスマートフォンのカメラを起動してさっと撮影しておくことも。そういったやむを得ない場合に、後からその写真にANDPAD黒板上で黒板を後付けして、日付を修正できるのもとても便利です。

また、従来は完工後に現場写真をまとめ、紙に出力した上で本部長に提出していたのですが、現在は現場ごとに保存されている写真を一括ダウンロードしてUSBに保存し提出しています。会社として、クラウド以外にバックアップ環境を持っておきたいという方針もありこのような運用になっていますが、以前に比べると写真をまとめる・印刷する等の手間の削減にもANDPADは役立っています。

社内でANDPADを着実に使いこなし、次なるステップとして社外へ波及も

ANDPADを導入し、「ANDPAD図面2.0」や「ANDPAD黒板」を活用しながら品質管理や現場管理の業務効率化を進めている同社。最後に、さらなるデジタル化を進めていくにあたっての課題、そして今後の展望について伺った。

賀川さん: ANDPADの社内での運用については、まだまだ改善の余地があると思っています。現状ではチャットをうまく活用できておらず、社員のなかには使い方を正しく理解できていない人もいます。

また、会社としてクラウド環境に頼り過ぎないようにアナログでもデータを残しているので、その作業も含めると全体的な時間短縮までできているとは言い切れない状態です。

今後のANDPAD活用の方向性についても、各部署の責任者に集まってもらって話し合いました。改修工事については担当者一人で全ての流れを管理しないといけませんが、新築工事の場合は案件を取ってくるのは営業で、自社で設計する物件の場合は設計部も案件に加わります。さらにそこから購買部で予算を組んで、工事部、そして最終的に管理部へと繋ぐ流れが理想です。こうした川上から川下までの一連の流れのなかで、それぞれの担当者によってしっかりと蓄積されていく情報基盤としてANDPADを活用できるように、ルールづくりはこれから整えていくところ。

協力会社さんへの運用浸透に向けては、ANDPADを使うことで手間のかかる業務を省略できれば使ってくれるようになるはず。そのためには、ANDPADの便利さや魅力ポイントをきちんと把握して伝えていく必要があると考えています。協力会社さんにも前向きに取り組んでいただけるようサポートを続けていきたいですね。

下川さん: ANDPAD導入時に掲げた目標に対する達成度としては、100点満点で言うと50点。当社は元々デジタル活用ができていなかったので、みんながANDPADを使ってくれることで一歩ずつ着実に進んでいるという実感が湧いてとても嬉しいです。もちろん、ANDPADの機能をフル活用できている状態が100点だと思いますが、いわゆる“デジタル”から遠い位置にいた当社にとっては、ANDPADを使って業務がうまく進む手助けになっているということでも大きな一歩であり、みんなが頑張ってくれているという事実が非常に重要なこと。ある程度使いこなしていけばより加速していくと思うので、日々少しずつ進めていって2〜3年目くらいに想定していた使い方ができるようになれば、大幅な業務効率や新たな使い方の発見に繋がると。その時に100点満点と胸を張って言える状態がベストだと考えています。

堺土建株式会社 常務取締役 管理本部長 下川 悦司氏

効率的な知の共有による人材育成のスピードアップと、業務効率化を図るためにANDPADを導入した同社。「ANDPAD図面2.0」による社内検査の効率化や、「ANDPAD黒板」の活用による現場担当者のスムーズな写真撮影・写真管理など業務体験を変化させた。ANDPADの活用に関してはまだ道半ばと言う同社だが、今後さらに社内全体や社外の協力業者にも波及させていくことで、盤石な組織体制を構築していくだろう。

(写真左から)堺土建株式会社 第二工事部 課長代理 植木 寿崇氏、下川氏、賀川氏、西嶋氏、瀬口氏、株式会社アンドパッド SaaS戦略本部 カスタマーサクセス部 楠本 綾

検査や工事写真でiPadを活用されている姿をお見かけすると、導入当初、慣れないiPadを操作しつつ、何もわからない状態のANDPADの運用について苦慮されながらお打ち合わせしたことを懐かしく思います。

現状業務を変革する際、運用定着が最初のハードルとなりますが、推進者の賀川様、植木様を中心に、他の社員の方が分かるまで、何度も現場に足を運び、定着するまで声掛けをしてくださって、社内一丸となって取り組んでいらっしゃったのがとても印象的でした。

導入当時は、私も現場説明の機会に同席させていただき、弊社の社員と会うよりも堺土建の皆様にお会いする機会の方が多いほどでした。業界の経験が無かった私自身にとって、学びの連続だった日々を鮮明に覚えています。

社員の皆様のご尽力を一番近くで見ていたからこそ、今回の記事で、堺土建様の取り組みを皆様にお伝えできて非常に嬉しく思います。

次は社内全体の業務改革に向けて、とまだまだ一緒に取り組んでいることがございますので、今後も導入の価値を感じていただけるように並走させていただきたいと思っております。

残念ながら、今回のインタビューには参加できなかったのですが、堺土建様がANDPADを導入いただいた当初から運用のサポートをさせていただいておりました。

特に「ANDPAD図面2.0」については、新サービスということもあり、各現場に訪問させていただき、検査業務においての活用方法の検討や機能として不十分な箇所のフィードバックをいただきながら、ご一緒にお取り組みさせていただきました。今では、各現場における検査業務での活用が定着しており、業務効率化に貢献できていることを非常に嬉しく思っております。

検査業務だけではなく、より活用の場を拡げていけるよう、引き続き、皆様とご意見を交えながら貴社の業務効率化に貢献できればと存じます。

堺土建株式会社
https://sakaidoken.co.jp/
〒593-8321
大阪府堺市西区宮下町12-1
代表取締役:下川 好隆
創業:1926年5月15日

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
編集:加瀬雄貴
ライター:金井さとこ
デザイン:森山人美、安里和幸
ANDPAD ZERO:石川隼人
カスタマーサクセス:楠本綾