品質にこだわる「火の玉集団」が描く鉄筋業界の未来 / 〜後編〜ANDPAD報告機能を活用した鉄筋業界ならではの労務管理DX

  • ブランディング
  • ANDPAD
  • 鉄筋
  • 勤怠管理
  • キャリア形成

樋脇 毅氏
高千穂鉄筋株式会社 代表取締役
大学卒業後、1994年にメガバンクに入行。支店勤務を経て、本部でマーケット担当として活躍。1997年から1998年に起きた日本の金融システム不安のタイミングで、父である先代から家業に入ることを打診され、1998年に同社に入社。営業等を経験した後、2008年より現職。

城戸口 高広氏
高千穂鉄筋株式会社 工事部 部長
建築系専門学校を卒業後、1999年に同社に入社。入社24年目。職人としてキャリアを積み、一級鉄筋施工技能士の資格を取得し、現場管理を担当。2021年4月より現職。

佐藤 司氏
高千穂鉄筋株式会社 総務部 課長
大学卒業後、2015年に信用金庫に入庫。営業として活躍する。2020年スペシャリスト採用で同社へ転職。経理全般、労務管理などを担当し、現在に至る。



千葉県を拠点に、小規模工事から超高層建築物、大型物流施設まで幅広く手掛け、2023年10月で創業50周年を迎える高千穂鉄筋株式会社。鉄筋専門工事会社として「加工」「施工」「技術者」「立地」に強みを持ち、今から5年前には品質にこだわる「火の玉集団」としてリブランディングを行い、人材採用強化にも取り組んでいる。

そんな同社は、将来を見据えた社内体制の整備の一環として2021年にANDPADを導入した。現場社員の勤怠管理からスタートし、現在は全社の勤怠管理においてもANDPADを活用している。今回は、代表取締役 樋脇 毅さん、工事部 部長 城戸口 高広さん、総務部 課長 佐藤 司さんにインタビューを実施。前編では、同社の特徴と強み、専門工事会社の中でも一際目を引く「火の玉集団」に表されるリブランディングについて伺った。後編では、ANDPADの報告機能を活用した勤怠管理業務のデジタル化、人工管理のDXについて深掘りしていく。

月末の勤怠・稼働実績の集計の効率化に向けてANDPADを導入

前編で紹介したように、同社が請け負う鉄筋工事は材料が元請支給であることから、人工管理が経営改善のトリガーとなる。材料の余剰在庫が蓄積するリスクはないが、利益も残りにくいからこそ、人件費の管理の徹底が重要であり、月次決算を実現するための現場社員の稼働管理に課題を持っていた。

そこで、現場社員が毎日実施する勤怠報告と、総務が月末に勤怠・稼働実績を集計する業務についてデジタル化を推進したのが佐藤さんだ。佐藤さんは元信用金庫の営業だったが、スペシャリスト採用で同社へ転職。現在は総務部のトップとして活躍している。経理全般のほか、労務管理など工事部寄りのポジションでも、仕組みを整える役割を担っている。

ANDPAD導入については、元々は施工管理アプリ導入に向けて城戸口さんが他サービスとの比較検討を進めていたが、アンドパッドとの商談の際に佐藤さんも同席したところ、勤怠管理の課題解決に活用できると考えた。

佐藤さん: 他社の勤怠システムのほうがシンプルでラクです。でも、私が求めていたのはそこじゃなかった。出勤時間と退勤時間がわかればよい、という単純なことではなく、現場単位でも、個人単位でも稼働状況を把握する必要がありました。どこで、だれが、何をやり、どれくらい残業したのか。かつ、現場別にはどれくらいの人件費がかかっているのか。人によって単価も異なります。「運転手当の必要有無」や「同乗者」「弁当購入の有無」なども含めた多くの項目について、毎日、全員分把握しなければならないので、業界特化型でないHorizontal型SaaSの勤怠システムでは置き換えができませんでした。

高千穂鉄筋株式会社 総務部 課長 佐藤 司氏

佐藤さん: ANDPADについての説明を受け、案件ごとに資料やチャット、そして報告が分けられている点で使い勝手がよさそうだと感じました。人工管理についての悩みをアンドパッドの担当カスタマーサクセスの岩本さんに相談したところ、ANDPADの報告機能をカスタマイズして、かつ報告をExcelで出力する機能を活用することで解決できそうだ、と。実際に、ANDPADからExcelで出力した報告内容を貼り付けることで、人別にも現場別にも簡単に人工が集計できるExcelを作ってもらいました。そこの情報を、私がオリジナルで作成した現場別収支表作成のための配賦表に入れていくだけで人件費が全部計算されるということが分かり、この工程のカットは非常に大きかった。ANDPADでなら、やりたかった人工管理が実現できるということを岩本さんの提案によって気づき、ANDPADの報告機能を活用するのが最適解だと思いました。

樋脇さん: 人工管理の効率化に向けて、勤怠報告や勤怠管理方法の見直しなどを佐藤がいろいろとやっていくなかで、「もっと効率化が図れるのではないか」とANDPAD導入を提案してくれました。私としても会社が良くなっていくためなら、どんどん変えてくれて構わないと思っていたので、導入については賛成でしたね。

高千穂鉄筋株式会社 代表取締役 樋脇 毅氏

ANDPADの報告機能を活用した勤怠報告・勤怠管理業務の効率化

前述のように、勤怠管理業務と一口に言っても、社員も管理側も非常に煩雑な作業となっていた同社。従来は紙ベースで社員の勤怠を管理していた。社員一人ひとりが1ヶ月分の勤怠を手書きするA4用紙を所持し、翌月月初に総務部がそれを回収する運用になっていた。

佐藤さん: 紙の勤怠表は、持ち歩いている間に汚れたり、紛失が発生したりすることも多くありました。本来は毎日終業時に記入してもらいたいですが、月末に1ヶ月分をまとめて記入する社員もいました。そうすると本人も記憶が曖昧で記入ミスにも繋がりやすいですし、紙の回収後に確認事項について問い合わせても曖昧な記憶のなかで正確な状況が分からないということも多かったです。そもそも、こうした確認をすること自体が手間でした。会社として正確な情報を蓄積する上で完全ではない運用に課題感を持っていました。勤怠だけでなく、出勤日数などがキャリアアップにも繋がることから、しっかり勤怠管理をするための解決策を模索していました。



従来は、全員分の勤怠表を担当者2名が確認した後、佐藤さんが最終承認して振り込み手続きを行なっていた。月末で勤怠を締めた後、勤怠を集計し、給与を計算して、支払いが完了するまでには1ヶ月かかる状態だったという。

佐藤さん: ANDPAD導入後、報告機能を当社の勤怠報告用にカスタマイズしました。従来は全て紙に手書きする必要がありましたが、報告項目も見直しを図り、極力選択式で回答していけるように調整。結果的に、毎日の報告が20〜60秒で済むようになり、場所や時間も選ばないことから毎日の報告が習慣化されました。

総務側では、前日の報告内容を毎朝チェックし、報告漏れがあればその都度本人に確認。そうすることで、月末にまとめて確認するよりも負担感が少なく、確認を受ける社員側も記憶が鮮明なので正確な回答が得やすいというメリットもあります。

勤怠報告を紙で行っていた頃は、社員あたり平均して月2時間ほど勤怠報告にかかっていました。ANDPADに移行してからは、ANDPADを開いて操作するといった間接時間を含めてもその時間が約30分ほどにまで圧縮できるように。社員数34名で計算すると月50時間ほどの削減につながっています。また総務側の業務としても、紙を回収して、漏れがあれば個別に確認を取り、手計算をして、ダブルチェックをして……という業務が大幅に効率化しました。勤怠の確認や修正から給与計算までには、待ちの時間なども含めると3週間ほどかかっていましたが、ANDPADでの運用になってからは、日々の確認をきちんとしておけば、月末の確認にかかるのは1時間ほど。毎朝30分の確認時間を含めても、総務側の集計業務にかかる時間数は50%ほど削減できています。

佐藤さん: 給与計算はミスが許されないので、従来はミス防止の観点で社長のお母様にも経理に入ってもらい3名体制で経理業務を行っていました。しかしANDPADの報告機能を活用するようになってからは、手計算が省けることでミスが減らせており、現在は2名体制でも盤石な状態に。スピーディーかつ正確に給与計算ができるようになりましたし、時間も労力も、気持ち的にも軽やかになりました。

佐藤さん: また、今年4月に施行された改正道路交通法施行規則に則った日々のアルコールチェックについても、勤怠管理とは別で切り出し、ANDPAD上の報告機能を活用して実施しています。通常記録が必要な「運転者名」「酒気帯びの有無」などの他に「行きの同乗者」「帰りの同乗者」なども記載する欄を設けているのですが、こちらも報告内容をExcelで出力したあとに勤怠用のExcelに貼り付ける運用になっています。これによって、誰が何回運転したかがすぐに分かり、当社で用意している運転手当の支給条件と照らし合わせることも楽にできます。以前は紙の勤怠表の裏面を使って「行きの同乗者」「帰りの同乗者」などを手書きしていたことを考えると、記載する側、集計する側、双方にとって効率的で便利な状態がつくれていると思います。

※ANDPADの報告機能を活用した「酒気帯び確認内容の記録」については以下の記事をご覧ください。
https://one.andpad.jp/magazine/3691/

ANDPAD運用浸透に向けた取り組み

勤怠報告の手間を極力省いたことで社内への運用浸透が早かったという同社だが、運用浸透に向けた工夫にも着目したい。ANDPADの報告機能を活用した勤怠報告の運用をスタートするにあたり、全体へ展開する前に、4名の社員を選定して事前に利用を進めてもらったという。ベテラン職長、若手ホープの職長、ベトナム人技能実習生、そして紙での勤怠報告が苦手な社員の4名だ。運用にあたり懸念がありそうな人でも使えるということで「この人がやっているんだから、みんなもやろうよ!」というポジティブな雰囲気を醸成し、社内全体に波及させていった点は、佐藤さんの巧妙な差配と言えるだろう。現場社員から運用をスタートし、現在は社員全員の勤怠報告・管理をANDPADで行なっている。

佐藤さん: スマートフォンの使用が苦手な人もいるので、その場合はなるべく現場で一緒に仕事をする若手社員から使い方を伝えてもらうようにしていました。運用について説明をした際に、イレギュラーで分からないことがあれば電話をしてもらって構わないとも伝えていたので、本格稼働した直後の1ヶ月はイレギュラー対応が多かったですね。毎日入力忘れのチェックもしていましたが、その後はみんな慣れていったのでイレギュラー対応も減りました。

また、勤怠報告に関するマニュアルを作成して、案件に格納しておきいつでも確認できる状態に。「やり方が分からなければまずはそこを見てください。それでも分からなかったら、チャットで私に聞いてくださいね。」というコミュニケーションを設計しました。あらゆるサポート体制を準備することで、やらざるを得ない状況を意図的につくりました。

佐藤さん: 現在、外国人技能実習生とのコミュニケーションはメッセンジャーアプリとANDPADチャットを使っていますが、ANDPADに外国人技能実習生が住む寮の案件を作成して、寮の点検情報など掲示板的に共有できるようにしています。年明けからはミャンマーから3名の技能実習生が来るので、ANDPADの使い方にも早く慣れてもらえればと思います。

今後は工事履歴の蓄積にもANDPADを活用

現状、勤怠管理業務メインでANDPADを活用している同社だが、今後は施工管理での使用も視野に入れている。

城戸口さん: ANDPADに工事履歴を蓄積して確認できるようにしたり、新入社員向けのマニュアルや知恵袋的な情報源としても活用していけたら。「こういう現場になるんだ」とイメージを膨らませて仕事のモチベーションにも繋げてもらえるよう、ANDPADに現場の完成予想図や現場写真を入れたりと、今は周知段階ですね。

また、今後は社内のみならず、協力会社との連絡ツールとしても活用していく予定です。現場の最新の構造図や質疑書、予定外作業(常用作業)の共有に加えて、協力会社の自主検査の実施報告や、自社の品質管理担当者の検査で出た指摘事項に対する是正報告についても、ANDPADで行おうと考えています。このような双方向のコミュニケーションを取ることにより、指摘事項の是正確認漏れを防ぐことができ、より一層の品質向上に繋がることを期待しています。

高千穂鉄筋株式会社 工事部 部長 城戸口 高広氏

創業50周年に向けて目指すべきビジョン

2023年10月で創業50周年を迎える同社。最後に、樋脇さんにこれから同社が目指すビジョンについて伺った。

樋脇さん: 創業50周年だからといって、特別なことを仕掛ける予定はありません。当社は下請業者として元請企業様との関係性は深いですが、ベースは臨機応変に、品質管理を徹底したいい仕事をして、お客様に評価されないと続かない。だからこそ、これからもそれを常に意識しながらアンテナを高く張って、今まで通りいい仕事をして評価されていきたいです。図面のデジタル化なども進んでどんどん変わってきているので、そういうことに対応できる業者になっていくことが鉄筋専門工事会社として生き残っていくためにはとても大事ですから、常にブラッシュアップしていけたら。

また、それで品質面・安全面は保てたとして、ANDPADなど情報化の部分にもアンテナを張っていく必要もある。最前線の情報を入れていいものを取捨選択して次の世代に繋げていきたいです。

元請企業からの支給材があり、粗利益を残しにくいからこそ、勤怠管理―すなわち人工管理が経営改善のための重要な鍵を握る同社。ANDPADの報告機能を活用することで勤怠管理業務のデジタル化を推進し、現場、総務それぞれの負担が大幅に軽減して、スピーディーかつ正確な人工管理が可能になった。社内へのANDPAD浸透に伴い、今後は現場管理のデジタル化にも取り組んでいこうとしている同社は、さらに成長を加速させていくだろう。

(写真左より)株式会社アンドパッド 第二事業本部 第二部 マネージャー 山﨑 勇帆、城戸口氏、樋脇氏、佐藤氏、株式会社アンドパッド カスタマーサクセス部 岩本 寛史

特にお取引先様から支給材で請負工事をされる鉄筋工事業においては人工管理が経営管理上極めて重要であり、ご利用企業様から多くご相談をお寄せいただいています。

その中で、勤怠や人工の集計に関する課題についてANDPADで解決できないかとご一緒に取り組ませていただいたのが高千穂鉄筋様でした。

お話しを伺うなかで、貴社における勤怠や人工の集計業務の重要性とその難しさをひしひしと感じておりました。城戸口さまとは現場管理に関して、佐藤さまとは勤怠の集計に関して、それぞれどうすればよくなるか、やりやすいかを追求して三人四脚で進めてまいりました。その内容を現在、多くの社員さまに継続的にご利用いただいていることを本当に嬉しく思っております。今もなお、よりよいやり方に向けて意見交換をさせていただき、いつも大変勉強させていただいております。

今回の取材では、樋脇さまより、ご入社時のお話から品質管理へのこだわり、採用・育成・休暇制度、リブランディングなど多角的なお話を伺いました。変革を進めた樋脇さまのご判断によって、こうして高千穂鉄筋様と関わることができ、一つの革新の一助になれたことを、大それた言葉かもしれませんが幸せに感じております。

微力ではございますが、貴社を始めとした鉄筋事業を行う企業さまへお役立ちできるよう、弊社一同、今後も尽力して参ります。

この度は取材の機会をいただき、本当にありがとうございました。

この度は取材の機会をいただき、本当にありがとうございました。

私自身が千葉県出身で、高千穂鉄筋様が施工された施設も利用したことがあったので、勝手ながら非常に思い入れを持って、今回の取材に参加いたしました。

取材を通して、一企業として、日々進化を厭わず、力強くやり抜くスタンスを、改めて感じることができました。

企業としてビジョン(想い)が明確に示されていることが、上記を醸成できている所以と受け取りました。また個人がどう、企業がどう、ではなく、業界全体を考えて日々活動されている姿を拝見し、非常に刺激と勇気を頂きました。技能実習生の親御様の安心につなげるベトナム語使用の動画制作や、評価面談や階級グレードの設定など、挙げたらキリがないほどです。

そして、ANDPADの利用浸透に際しても、段階的かつ戦略的にプロジェクトとして進行されており、定期的なお打ち合わせの中でも、我々として勉強になる点が非常に多いです。

導入当初はANDPADを利用する事に不安があったかと思いますが、高千穂鉄筋様のビジョンがベースにあったからこそ、ANDPADの価値が最大化されていると確信してます。

我々としても、業界全体と大真面目に向き合っていますので、これからもこれまで以上の尽力をして参ります。

高千穂鉄筋株式会社
http://www.takachihotekkin.co.jp
〒270-1416
千葉県白井市神々廻1828
代表取締役:樋脇 毅
設立:1973年10月

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
編集:加瀬雄貴
ライター:金井さとこ
デザイン:森山人美、安里和幸
フィールドセールス:山﨑勇帆
カスタマーサクセス:岩本寛史