ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、優れた活用を見せたユーザーを表彰する「ANDPAD AWARD」。今回は、「ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門 総合賞」で全国第3位を受賞した、株式会社ジュン企画 新築工事部の渡辺真理子さんに話を伺った。
株式会社ジュン企画は、東京都八王子市を拠点に、塗装やリフォーム工事を手がける施工会社だ。新築戸建て住宅の外装・内装を中心に、年間3,200棟という施工数。それを実現する高い現場力と自社職人、専属職人ネットワークによる高品質な施工体制が特徴だ。足場や産業廃棄物事業もグループ内で展開し、建設プロセス全体を支える体制も築いている。
同社の新築工事部に所属する渡辺さんは、前職の旅行業界で培った調整力とマルチタスク能力を武器に、月80件もの現場を同時進行で管理。ANDPADを活用しながら、「現場を止めない」ための段取りと情報共有を徹底している。
インタビューの前編では、年間3,200棟を支えるジュン企画の施工体制と、渡辺さんのキャリア、そして複雑な現場を支える仕事観について掘り下げていく。

会社の成長を支える“人”と“施工力”
──「ANDPAD AWARD 2026ユーザー部門 総合賞」3位受賞、おめでとうございます。まず、株式会社ジュン企画について教えてください。
渡辺さん: ありがとうございます。当社は、外装リフォーム工事をメインに手がけている会社です。戸建て住宅の外装・内装工事を中心に、年間で3,200棟ほど施工しています。
月平均で260件前後と件数はかなり多いですが、工期自体は短い現場もあります。新築で外壁すべてを塗装する場合は1週間くらいかかることもありますし、サイディングでも一部ポイントとして塗装する場合は1日で終わることもあります。現場のエリアは、本社のある東京はもちろん、神奈川・千葉・埼玉を中心に広く対応しています。

株式会社ジュン企画 新築工事部 渡辺真理子さん
──グループ会社も含めると、かなり大きな体制ですよね。
渡辺さん: グループ会社として、仮設足場事業を行う「有限会社陸コーポレーション」と、産業廃棄物事業(収集運搬・焼却中間処理)を担う「株式会社山栄商事」があります。2025年には新築工事やリノベーションなど幅広く事業を行う「株式会社ヤマジュン」がグループに加わりました。これまで当社は、工事に欠かせないプロセスをグループ内で「内製化」し、強力なグループシナジーを生み出すことを狙ってM&Aを進めてきました。
その結果、塗装だけではなく、足場や産廃まで含めて建設プロセスをグループ内でカバーできる体制になっています。外装リフォーム案件などでは、足場からの対応を提案できるため、そこは強みですね。
──施工力を支えているのは、やはり職人さんの存在でしょうか。
渡辺さん: ジュン企画単体だと社員数58名のうち30名が自社職人です。社員の半数以上が職人ですので、現場力はかなり強い会社だと思います。
さらに、自社職人だけではなく、昔からつながりのある専属の協力業者さんたちにも支えられています。もともと部長が職人だったこともあって、地域のつながりが強いんです。「昔から知っている」「一緒にやってきた」という関係性の職人さんが多くて、単なる仕事だけの関係ではないですね。
その信頼関係が、施工品質にもつながっていると思っています。新築工事は特に工程がタイトで、前工程の遅れや天候によって予定が変更になることも多々あります。そのため、職人さんへの連絡も前日になることが多いですし、突発的な依頼をすることも日常的にあります。それでも動いていただけるのは、やはり長年の信頼関係があるからだと思います。
──職人さんとのよい関係が、品質の高い施工につながっているのですね。
渡辺さん: 職人さんに対しては、「一緒に現場を回していく仲間」という感覚が強いですね。今はANDPADを使って発注や進行管理もしていますが、発注機能やチャットだけで終わらせずに、最後は電話で「明日よろしくお願いします」と一言添えるようにしています。人によっては、そういう一言があるかないかで受け取り方も変わると思うんです。
効率化は大事ですが、現場は結局、人と人のやり取り。そこを雑にすると、どこかで無理が出ると思っています。

──段取りや効率だけではなく、受け取り手の気持ちに配慮されることが「いい現場」につながっているんですね。ちなみに職人さんの中には、女性の方もいらっしゃるのでしょうか。
渡辺さん: はい。社員58名のうち20名ほどが女性で、そのうち職人は3人です。働き方についても柔軟で、時短勤務やお休みの調整もしやすい環境だと思います。
──現場仕事というと、まだまだ男性の方が多いイメージもあります
渡辺さん: そういうイメージはありますよね。でも当社は、現場でも「できるかどうか」で見てもらえますし、性別で仕事を分けるという感覚はあまりないと思います。
私自身、最初は施工事務として入社したのですが「もっと現場のことを知りたい」という気持ちを上司に相談したら、施工管理に挑戦させてもらえました。そういう意味では、「やってみたい」という気持ちを後押ししてくれる、働きやすい会社だと思います。
──会社が社員の挑戦を後押ししてくれるとは素敵ですね。働きやすさという点では、CCUS(※)への対応もかなり進められているそうですね。
渡辺さん: 関係技能者全員のCCUS登録を完了していて、社内にはゴールドカード保持者もいます。会社として、コンプライアンスや業界全体の発展に対する意識はかなり高いと思います。
(※)建設キャリアアップシステム(CCUS)とは
技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステムです。
参考:https://www.ccus.jp/p/about
ただ施工をこなすだけではなく、「どうすればもっと良くなるか」を常に考えていて、職人さんのキャリアアップ支援にも力を入れていますし、現場の働き方や仕組みづくりも含めて、少しずつ改善を続けています。
現場数が多いからこそ、「誰かがやってくれるだろう」では回らないんです。施工管理、事務、配送、職人、経理まで、全員がつながって動かないと成立しない。だからこそ一人ひとりが責任を持って、次の人が動きやすいように仕事をする。その積み重ねが、今の施工体制につながっているのかなと思います。

ANDPAD AWARD 2026授賞式での一枚。写真左から同社の施工管理部 部長 種村さん、渡辺さん、総合管理部 向井さん、アンドパッド井上。それぞれの役割を全うするメンバーの結束力が同社の強みだ。
事務から施工管理へ。渡辺さんが選んだ“現場を知る”という挑戦
──渡辺さんは、もともと建設業界のご出身ではなかったと伺いました。
渡辺さん: 新卒で旅行業界に身を置き、代理店業務や企画・提案、接客など、本当に幅広くやっていました。店長業務も経験しましたね。ただ、長く旅行業界にいるうちに「何か新しいことにチャレンジしたい」と思い始めたのが転職のきっかけです。旅行業界はどうしても勤務時間が不規則になりますし、働き方を少し変えたいという思いもありました。
そのタイミングでジュン企画の求人を見つけて、興味を持ったんです。働き方などの条件面も含めて「いいかもしれない」と感じたのが入口でした。
──入社当初は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。
渡辺さん: 施工事務として入社したので、図面を見て積算したり、資料を作ったりする業務が中心でした。当時はまだANDPADも導入されていなくて、Excelで工程管理をしていました。
ただ、仕事に慣れていくにつれて「実際の現場はどうなっているんだろう」という気持ちが強くなっていきました。図面だけを見ていると、実際の現場の状況が分からないことも多いんです。その「分からない」を減らしたくなりました。
そこで当時の上司に「施工管理をやってみたい」と相談したところ、タイミングもよかったのか、希望通りに挑戦させてもらえることになりました。今振り返ると、本当に思い切ったキャリアチェンジだったと思います。

──実際に施工管理のお仕事をされてみて、いかがですか?
渡辺さん: 建築って、毎日新しいことがあるんですよ。「こういう納まりなんだ」「この材料ってこう使うんだ」と、今でも学ぶことばかりです。特に当社は工事内容も幅広いため、元請企業様からの指定で、社内の誰も扱ったことがない塗料を扱わなければいけないこともあります。そうすると、「どう施工するのが正解なんだろう」と、職人さんたちと一緒に試しながら進めることもあります。
特に私は職人経験があるわけではないので、現場で学ぶことが本当に多かったです。最初は「どう納めるんだろう」と悩むこともたくさんありました。それでも今では「ここはこうしてください」と職人さんにスムーズに依頼できるようになってきました。数を経験しないと身につかない部分は大きいですね。

同社のヤードスペース。資材管理の担当者がテキパキとフォークリフトを操り、ヤードを整理している。
──渡辺さんはどういった物件の施工管理を担当されていらっしゃるのでしょうか。
渡辺さん: 戸建て新築工事の外装・内装を担当しています。担当する現場数は時期によって違いますが、私は月に80件ほど。人によっては30〜40件の人もいますし、部長クラスになるともっと増えます。
ただ、一式塗装だけではなく、部分塗装の案件も多いため、件数として増えている部分はあります。それでも、かなりの数ではありますね。現場は同時並行で進むため、段取りと情報整理が非常に重要です。
──その膨大な案件を、どのような体制で管理されているのでしょうか。
渡辺さん: 新築部門では、施工管理と施工事務がペアで動いています。1案件に対して施工管理が1人、そこに事務員さんが1人ついて、資料作成や積算、情報共有をサポートしてくれています。施工事務の方が積算をして、その後、施工管理側で見積や現場条件を確認していく流れです。

──施工事務の経験も、現在のお仕事に活きているのでしょうか。
渡辺さん: かなり活きています。図面を見て完成形をイメージしたり、積算の考え方が分かったりするのは、事務を経験したからだと思います。
それから、事務員さんとコミュニケーションを取るときは「何が分からない?」と聞くのではなく、受け取った積算に対して「ここは気をつけようね」と、現場目線で伝えるようにしています。凹凸の多い外壁で塗装が困難など、図面上では問題なく見えても、現場だと工数が増えるケースもあるため、そういった部分は施工管理側で補いながら一緒に案件を進めています。
──事務と現場、両方を経験しているからこその視点ですね。
渡辺さん: そうですね。どちらの仕事も分かるからこそ、「次の人が動きやすいように」という意識は強くなったと思います。施工管理だけ、事務だけ、ではなくて、全体の流れの中で仕事を見る感覚が身についたのは、自分の中でも大きいです。
「後回しにしない」が現場を支える。複雑な案件を回す段取りと思考法
──渡辺さんがお仕事をする上で、大切にしていることを教えてください。
渡辺さん: すべてにおいて「投げ出さないこと」です。仕事って、どうしても大変なことや、面倒に感じることがあるじゃないですか。それでも途中で投げ出したり、「誰かがやってくれるだろう」で終わらせたりしない、ということはずっと意識しています。
それは、当社のアットホームな雰囲気も影響しているかもしれません。いい意味で距離感が近いんです。裏を返すと「誰かがやってくれるかな」と思ってしまいがちな部分もあると思っています。でも私は、自分が受けた仕事は自分でちゃんとやり遂げたい。もちろん周りと協力はしますが「最終的に誰が責任を持つのか」は意識しています。
──前職でもその考え方を大切にしてこられたのでしょうか。
渡辺さん: そうですね。例えば、「足が悪いけれど海外旅行に行きたい」というお客様がいたときには、受け入れ先を探して、移動方法を調整して、現地とやり取りし……と、本当に細かい調整を積み重ねていました。でも、そのぶん「いい旅行ができた」「お願いしてよかった」と言ってもらえたときの達成感はすごく大きい。その経験があるからか、今の施工管理でも「大変だから無理」ではなく、「どうやったらできるか」を考える癖がついている気がします。
施工管理って、結局は人と人との調整なんですよね。現場では、元請企業様、事務員さん、配送、職人さん、それぞれ立場も状況も違います。その中で、「誰に何をどう伝えるか」を整理して動かないと、すぐに伝言ゲームになってしまうんです。
──“伝言ゲーム”になることを防ぐためにも、ANDPADをご活用いただけているのかと思います。
渡辺さん: そうですね。以前は、元請企業様から電話を受けたらメモを取って、事務所に戻ってから事務員さんへ伝えたり、「この内容を職人さんに伝えておいてください」とお願いしたりしていました。でも人を介すると、どうしてもニュアンスが変わったり、情報が抜けたりすることがあるんです。
だから今は、元請企業様から聞いた内容を、ANDPADのチャットで職人さんへすぐに伝えるようにしています。後でまとめてやろうと思うと、結局忘れてしまったり、確認が増えたりするので、その場でやってしまった方が全員が楽なんですよね。
今は、ANDPADに資料や工程表、材料情報も入っているので、出先で電話がかかってきても、その場で確認して返答ができています。

──職人さんにはANDPADチャットでの連絡とは別に、個別に連絡もされているのでしょうか。
渡辺さん: 職人さんには電話もしています。「明日のこの現場、お願いします」「発注書を送ったので見てくださいね」と、一言であっても直接話すようにしています。
──それはどうしてなのでしょうか。
渡辺さん: チャットだけでは、大事な連絡を見落としてしまうこともあります。それに、電話があるかないかでは、人によって受け取り方が違うと思うんです。「明日はよろしくお願いします」と一言電話で伝えるのも、大事なコミュニケーションだと考えています。
──効率化だけではなく、“受け手”である職人さんのことを意識されているのですね。
渡辺さん: ANDPADはすごく便利なツールですが、結局、ツールを使うのは「人」です。ただ情報を送るだけではなく、「相手が動きやすいか」「伝わりやすいか」を考えながら使うことが大事なんじゃないかなと思っています。
多くの現場を破綻なく回すには、小さいことをきちんとやるしかない。発注を後回しにしない、確認を省略しない、伝達を曖昧にしない。その積み重ねが、現場を止めないことにつながっているんだと思います。

──お仕事の先にある、やりがいについても教えてください。
渡辺さん: やっぱり、無事に現場が終わったときですね。特に大変だった現場ほど、終わったときの達成感は大きいです。問題が多かったり、調整が難しかったり、そのぶん苦労もあるんですけど、乗り越えたときに返ってくるものも大きい。「大変だったぶんだけ返ってくる」という感覚は、今もすごくありますね。
──最後まで投げ出さず、細部をはしょらない。その積み重ねが、今のお仕事を支えているのですね。
渡辺さん: そうだと思います。手間がかかることでも、省略してしまうと後で誰かが困る。だったら、自分のところで対応しておきたい。その積み重ねが、みんなが働きやすい環境につながるんじゃないかなと思っています。

膨大な施工数をこなしながらも、一つひとつの現場に対して「はしょらない」「後回しにしない」という姿勢を貫いている渡辺さん。
グループ会社による一貫体制、自社職人と専属職人ネットワークによる高い施工力、そして施工管理・事務・職人が密に連携する組織力。その土台には、「誰かがやってくれるだろう」で終わらせず、自分の仕事に責任を持つという文化が根付いていた。
後編では、月80件という膨大な案件を回すANDPAD活用術に迫る。受発注や進行報告、横断工程表を駆使した段取り術、そして「チャットだけで終わらせない」コミュニケーションの工夫など、“現場を止めないDX”のリアルに迫る。
| URL | https://junkikaku.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 山田 淳 |
| 設立 | 1997年 |
| 所在地 | 東京都八王子市戸吹町1363-1 |













