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ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、「ベスト工程表ユーザー賞」で第3位を受賞した、藤井電工株式会社 生産統括部 生産部 生産一課 主任 柳祐香さんにお話を伺った。

兵庫県加東市に本社を置く藤井電工株式会社は、高所作業向けの安全用品を製造・開発している専門メーカーだ。フルハーネス型の墜落制止用器具(安全帯)から構造物に取りつける墜落防止装置まで幅広い製品を取り揃え、墜落災害の防止に力を尽くしている。
同社の強みは、製品の開発・設計、金属材料の加工、ロープ・ベルトの製造・縫製、完成品の実証試験までを自社一貫で対応する生産体制だ。製品の約8割を内製化し、世界レベルの安全品質を追い求めている。
「ベスト工程表ユーザー賞」第3位を受賞した柳さんは、資材の購買から製作、梱包・出荷までの一連の流れを管理する生産統括部に所属し、試作品やサンプル品、試験品の生産管理を担当している。まさに同社のものづくりの出発点ともいえる部署で、柳さんはANDPADの工程表を活用し、製品化や品質向上を支えている。
今回の取材には、柳さんと一緒にANDPADを運用している生産統括部 生産部 生産一課 課長 正中伸樹さんにも同席していただいた。前編では、同社の事業や生産統括部の業務内容を伺いながら、「人の命を守るものづくり」にかける同社の想いを深堀りしていく。

「安全は愛(Safety is Love)」をモットーに、約8割の製品を自社一貫で生産
──「ANDPAD AWARD 2026 ベスト工程表ユーザー賞」3位受賞、おめでとうございます! 「墜落制止用器具」は、建設業界・住宅業界の安全管理でも利用されている重要な製品ですが、まずは貴社の事業内容を詳しく教えていただけますか?
柳さん: 当社は、高所作業向けの墜落制止用器具の製造・開発を手がけているメーカーです。電気や通信、鉄道、建設、住宅、森林など、社会インフラの維持や整備に取り組まれている方々が安全に作業をするための器具や装置を世に送り出しています。
肩・腰・腿にベルトを装着するフルハーネス型や胴ベルト型、柱上作業対応型などの墜落制止用器具(安全帯)を中心に、山岳地帯での鉄塔工事や森林作業で用いる運搬用モノレール、レスキューギアなど、独自の製品を生み出し続けています。なかでも、墜落制止用器具の「TSUYORON(ツヨロン)」シリーズは、国内でトップシェアを有しています。

黒影ハーネス ツインランヤード付TH-504-2NV93SV-OT-DG-M-2R23

カイトハーネス KITE HARNESS TH-521-OT-BLK-M

藤井電工株式会社 生産統括部 生産部 生産一課 主任 柳祐香さん
──おふたりが勤務している滝野工場では、年間でどのぐらいの製品が出荷されているのでしょうか?
柳さん: 滝野工場で生産・出荷している製品数は年間で2,800種類、個数だと70万5,000個にのぼります。
正中さん: 当社は、お客様の多様なニーズに応えるために多品種少量生産でものづくりに取り組んでいます。そのため製品数は非常に多いです。

藤井電工株式会社 生産統括部 生産部 生産一課 課長 正中伸樹さん。1989年に新卒で入社し、金属のプレス加工からキャリアをスタート。生産技術、生産管理を経て現職。試作品関連の依頼を統括している。
──非常に多くの製品を世に送り出しているのですね。貴社はどんな点にこだわってものづくりに取り組まれているのでしょうか?
正中さん: 研究・開発から設計、製造まで自社一貫体制でものづくりに取り組んでいるのが当社のこだわりであり、強みです。現在は、約8割の製品の生産を自社のみで完結しています。
部品製造に欠かせない金型製作や金属加工を行う滝野工場では、最新の工作機械やロボットを導入して製造や組立にあたっています。また、社工場ではロープの縫製やベルトの製造を行っています。ロープの原糸から仕入れ、人の手で縫製加工して信頼性の高い製品を仕上げていくのが、創業以来のこだわりです。

正中さん: 人の命を守る製品だからこそ、品質管理も徹底しています。社工場に併設されている総合試験所では、入荷した原材料からそれぞれの工程の加工品まで、多くの試験を実施します。試験内容も、目に見えない部分を検査するX線検査や鉄塔からの落下試験など、多岐にわたります。敷地内に4基の鉄塔を設置していますが、そのうちの1基は高さ35mもあります。現場を想定した実証実験によって、安全と能率を追求しています。
柳さん: 私は以前、社工場の品質管理部で勤務していたため、実際に鉄塔にのぼって試験を行う様子を目の当たりにしてきました。自分だったら倒れてしまうような場所で、日々高所作業に取り組んでいる方がいる。その方たちが安心して作業をするための製品を手がけているのだと思うと、自然と「頑張らなければ」と意欲がわいてきたのを覚えています。

柳さん: 当社のモットーは、「安全は愛(Safety is Love)」です。社員である私たちが製品に愛着を持ち、お客様に対する心遣い・思いやりを込めて製品をつくる。その製品をお客様に安心して利用していただき、愛情を込めて手入れをしていただく。大切な人の命を守るために、製品を「作る側」と「使う側」の双方が愛情を持てる製品を世に送り出すのが、当社の大義です。


原材料の購買から完成品の出荷まで、ものづくりの流れを統括管理
──おふたりは、貴社に入社してどんなキャリアを歩まれてきたのでしょうか?
正中さん: 私は地元の工業高校を卒業した後、1989年に当社に入社しました。当社は2026年で創業74年を迎えましたが、歴史と実績のある企業として、地域での信頼度が高かったのが入社の決め手になりました。
入社後に最初に配属されたのが、金属材料のプレス加工を担当する部署です。鋼材の抜き加工、曲げ加工、刻印など、金属加工を担当する部署で、墜落制止用器具に用いられる金具を製造していました。その後、生産技術課を経て、現在は生産管理を担当しています。
柳さん: 私も「地元で働きたい」と考えていたときに、両親から「地域で有名な企業だよ」と当社のことを聞いたのが入社のきっかけになりました。最初に配属になった品質管理部で8年勤め、その後に社工場の生産部に異動し、3年前から本社の生産部に勤務しています。
私は「安全帯って何だろう?」といった状態で入社しましたが、同じ大学出身の先輩社員や周囲の仲間に助けられて、生産体制や品質向上を支援する業務を一つひとつ学んでくることができました。正中さんは、私が入社したときに生産部の研修担当を務めていらっしゃって、よく気にかけてくださったのを覚えています。

──お話を伺っていると、生産部以外にもさまざまな部門があるようですが、貴社はどのようなフローで製品を生み出されているのでしょうか?
正中さん: まずは、営業部がお客様から「どのような環境で製品を使うか」「どんな仕様にしたいか」など、ご要望を伺います。その要望をもとに開発部が設計し、必要な資材を算出します。その後、生産部で製造工程や納期を検討し、工場で試作に入ります。試作品の性能検査を経て、製品化可能と判断されたら量産に入る流れです。製品化から量産までに、社内の3〜4部署が動くイメージです。
柳さん: 当社全体では400名弱の社員が勤務しており、営業部門は本社・営業所含め60名程度、開発部門は20名程度、品質管理部門は10名程度、生産部門は30名程度となっています。滝野工場では作業員約80名、社工場では約140名が製造にあたっています。
──おふたりが所属する「生産統括部」はどんな役割を担われているのでしょうか?
柳さん: 生産計画の立案や製造工程の進捗管理をするのが大事な役割のひとつです。また、部品や製品の在庫管理、出荷管理も統括していますので、営業部との納期調整も私たちが担当します。資材の購買から製作・梱包・出荷にいたるまで、他部署・工場と密にコミュニケーションを取りながら、抜け漏れなく手配と調整を進めていくのが、私たちの仕事です。

過酷な高所作業に従事する方々を想い、オンタイムでの生産管理に注力
──製品が出来上がる過程すべてに関わる重要なお仕事なんですね。では、おふたりは生産管理を担う上で、どんなことを意識して業務に取り組んでいますか?
正中さん: 私たちは、生産計画通りに良品が製造されていく仕組みがある状態が「完璧な生産管理」だと考えています。早過ぎることも、遅すぎることもなく、オンタイムで各部門にモノが流れていくように、社内の各部門との間に入って計画や納期を調整することを意識しています。
柳さん: そうですね。私も「報・連・相」を密にすることは心がけています。特に「Bad News Fast」は意識していますね。悪いことを伝えるのは後回しになりがちですが、逆に素早く情報を共有して対応策を検討し、トラブルの芽を摘めるようにしています。

柳さん: また、当社の社員は全員、「製品を利用する方々の安全のために」との想いを持って業務に取り組んでいます。社会インフラを守るために、想像以上の精神的重圧に耐えながら過酷な現場で作業にあたっている方々の命を守る製品を届けるのが、私たちの責務です。工程を組み立てる際にも「当社の製品には人命が託されている」と、必ず意識するようにしています。
──貴社は、高所作業者を守る多くの製品群を開発されていますが、おふたりはどの製品の生産管理を担当されているのでしょうか?
柳さん: 私たちが担当しているのは、主に試作品の開発です。量産化が決まった製品は、当社の基幹システムで生産管理をするのですが、「お客様の要望に応えるためにサンプル品を試作したい」「性能を検証するための試験品を作りたい」といった案件は、基幹システムでは管理ができません。
試作品やサンプル品、試験品は、1週間程度で作業が完了するシンプルな案件もあれば、仕上がりまで数カ月〜半年かかる案件もあります。案件によって、必要になる資材も異なりますし、工程も納期も変わります。こうした突発的な案件、イレギュラー案件を管理するために、私たちはANDPADを活用しています。

過酷な高所作業に従事する作業者の命を守る製品の開発・製造に力を注いでいる同社。より高品質で安全性の高い製品を生み出すために、おふたりは社内の関係部門と連携しながら、製造工程をきめ細かくコントロールしている。
後編では、製造現場の生産管理において、同社はどのようにANDPADを活用しているのかを詳しく紐解いていく。おふたりが徹底している運用ルールやANDPADの利用浸透に向けた取り組みにもぜひ注目してほしい。

| URL | https://www.fujii-denko.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 藤井信孝 |
| 創業 | 1952年 |
| 本社 | 兵庫県加東市上滝野1573番地2 |















