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1989年に創業し、今年で31年目を迎える株式会社ジーエムコーポレーション。山梨県に根差した地域密着型の自由設計注文住宅を主軸とする同社は「明るく開放的な家づくり」というブランドコンセプトで 注文住宅の「光と風設計社」、規格住宅の「FREEQ HOMES」を二枚看板とし、その他リノベーションや外構の施工も提供しています(※FREEQ HOMESはイビケン株式会社が提供する規格住宅商品)。
また地域に根差した企業として「提供した住まいでその後営まれる日々のくらし、その品質の向上」をテーマに、雑貨家具の展示販売やレンタルスペース、ショールーム機能を備えた「FAV LIFE」、衣食住に関わる複合施設である「光と風マーケットコート」を、従業員と協力パートナーが手を取り合って運営しています。
ANDPADは2019年より導入。今回は、導入当初から運用推進に携わり、現在は企画営業設計、事業マネジメントや労働環境整備と併せて『FAV LIFE』事業の責任者をされている松本氏に、過去、現在、未来についてのお取り組みと、その背後にある「仕事」に対する想いについて伺いました。
株式会社ジーエムコーポレーション 大胆なリブランディングで、社長の想いを言語化
ーー株式会社ジーエムコーポレーションでは直近でリブランディングに取り組みCI※の言語化に取り組んだということですが、どのような背景があったのでしょうか。
「当社では自由設計の注文住宅を主力とする商品ラインナップを揃え、お客様のニーズに対応する工務店を続けておりました。自社の家づくりの強みを見直していく中で、一人ひとりのお客様に合わせた住宅をつくるというのが自社の価値だと原点に立ち戻ったのです。昨年度までは、自社の家づくりについて、会社全体で共通言語として表現することができていませんでした。そこで、創業者である代表の五味が考えている自社の家づくりの理想を社員全員が同じように表現できるように、コンセプトをイメージする言葉や写真を整備したコンセプトブックを作成。住宅とそこでの生活をより良いものにしたいという価値観の部分を一番大事にした『明るく開放的な外とつながる家づくり』というメッセージを打ち出しました。コンセプトブックの整備によって、各事業の進むべき方向性や役割がより明確になりました」(松本氏 以下略)
※CI・・コーポレート・アイデンティティは、企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つ。
営業から設計士へ。住宅のプロで構成される工務店の採用基準
ーー営業と設計の垣根がなく、「設計士が接客する工務店」として他社との差別化を図っていらっしゃるのも同社の大きな特徴ですが、この体制になった経緯を教えてください。
「従来は営業のスペシャリスト、設計のスペシャリストとしてそれぞれ専門分野のスキルに特化して業務分担しており、建築士の免許を持っているスタッフのみが設計士と名乗っていましたが、昨年下旬から営業フローの方針転換を行い、自社内で建築に関する知識をしっかりと学んだスタッフを”設計士”としました。建築士の資格を持つ設計士はもちろん、営業も設計士として担当する『設計士が接客する工務店』となったのです。
建築知識の教育を通じて、全社員が住宅に関するプロフェッショナルでありつつ各分野の専門スキルを発揮し、各業務を横断的に意識して行えるようになることで、着工後の工程変動による手戻りがなくなり、営業段階で仕様・間取りをしっかりと固めるプランニングを行えるようにする組織体制にすることが狙いです」
ーー設計士として各分野の専門スキルを身に付けることで、結果的に会社としての生産性が改善されてきているということですね。では、設計士に必要なスキルとは何でしょうか?
「結局のところ、本人が建築を『好き』かどうかが凄く大事。住宅建築は覚えることが本当に幾らでもありますし、日々新しい知識や法律が出てきます。どんどんアップデートされる情報を感度高く仕入れておける人間でないと、お客様と話噛み合わなくなってしまいます。お客様からすれば建築の知識だけでなく、最新の家電や技術のことも知っていてほしいというのが大前提でご相談に来られるので、常に建築や住生活に関心をもって興味のアンテナを広げている人でないと信頼していただけないですし、いい家づくりもできません」
ES(従業員満足度)の向上のための取り組みについて
従業員満足度も重視
ーー貴社はお客様への価値提供と併せて従業員の満足度も重視していますが、ESを上げるため取り組まれていることはありますか。
「当社のような規模の工務店では、せっかく時間をかけて一人前になったスタッフが辞めてしまうと会社全体の生産性に直結してしまう。従業員の満足度を保ち、離職率を下げないように会社全体で取り組みはじめています。
また、教育に大きく時間を取れないということもあり、これまでずっと新卒ではなく中途採用を続けてきました。ただ、工務の中途採用となると、現場の職人さんへの対応も然り、建築業界のいわゆる監督業務の慣例や”当たり前”が根付いてしまっている。本来であれば、お客様の都合、会社の都合、職人さんの都合、その三つのバランスを取るというのが工務の仕事ですから、ここは今後も課題として取組んでいくテーマですね。」
現場監督のあるべき姿
ーーひと昔前に比べ、監督の仕事は増え、また仕事に求められる品質は高まり続けている一方で、監督ひとりでできる範囲の限界もあるというのは工務店様から伺うことの多いジレンマでもあります。松本氏の考える現場監督のあるべき姿について教えてください。
「まず重要なのは、業者さんとの事前の取り決めを会社として決めておくということです。現場監督の仕事はとにかく業務範囲が広いので、はっきりとやらないことを決めて、自分のやるべき仕事を遂行できる業務スタイルを構築することが大事。全体の仕事のバランスを取る過程で、ANDPADのようなIT技術を活用したり、事前に必要な段取りを済ませ、自分では手の届かない部分は外部パートナーを頼って電話で綿密にコミュニケーションをしておけば、全棟見ることは十分可能になります。逆に言えば、会社として幾ら仕組みづくりやツールの提供を行ったとしても、現場監督が考え方やあり方を変えようとしない限り、うまく変化することはできないと思いますね」
松本 剛一 氏 株式会社ジーエムコーポレーション 住宅事業部 事業部長
ーー実際に現場監督の仕事を棚卸したときに、無くしていきたいと考えている仕事とは何でしょうか。
「まずは、取り決めが無いと起こりやすい職人さんから依頼されて実施するような現場での作業ですね。次に、積算と発注業務を最小限に省力化です。積算については入口の営業の見積出しから発注までお客様からいただく対価の部分と、メーカーや業者から出していただく原価の部分の紐づけをしっかり行っています。そもそも柱一本など積算で細かく拾わなくていいものを会社側で整備しておくと、各物件でプランが異なっていても営業が面積だけ測りそのまま発注を行う環境ができるので、工務の積算、発注業務も負担が減り、生産性も高まります。発注業務についても工務事務業務にかかっていた一枚一枚の発注業務を、誰でもできる仕組みに変えて一元管理するために、目下業者と交渉を進めているところです」
ANDPADの採用ポイントと導入後の働き方と効果
ーーANDPADを採用していただいた理由について教えてください。
「他社との交流会で別のクラウドサービスを紹介され、生産性向上のツールがあることを知りました。そこから自分で調べる中でANDPADを知ったのですが、採用の決め手になったのは製品の使いやすさ。毎日使うツールやデバイスというのは日々のちょっとしたストレスで使いたくなくなってしまうものなので、選定の時に大きな決め手になりました」
ーーANDPADを導入後、働き方はどのように変わりましたか。
「ANDPADを導入前後で組織を変えたこともあり、ANDPADだけでの評価は難しいところはありますが、全体的な労働時間の削減は実感できています。また、大工ローテーションなど、これまでスプレッドシートで管理していたものもANDPADに移行することができました。」
ーーANDPADのオプションサービスである「施主報告」は、どのようにご活用いただいていますか。
「着工時に、当社とお施主様との間のコミュニケーションや進捗共有を目的に施主報告を利用することを説明し、着工後はANDPADに随時写真が上がってきますので、お施主様への報告業務を専任で行うスタッフが週一で定期的に発信をするようにしています。また写真付きの定期的な報告だけではなく、現場毎の※マイルストーンのお知らせについても発信しています」
※マイルストーン・・・ANDPADの案件情報/工程表の機能。着工日や完工日、引渡し日など工程情報の中でも進捗管理、案件管理の上で特に重要なイベントの日付情報を設定する機能のこと。
ーー以前ご利用されていた他社のツールと比較して、ANDPAD「施主報告」が優れている点はどこにありますか。
「ANDPADの施主報告は、写真の容量を特に気にせずに使えるのがメリット。また、現場からANDPADにアップロードされた写真を施主報告ですぐにお施主へ送ることができるので、以前のツールのように現場終了後にサーバーに移す手間もなく、すぐアップロードされた写真や報告の履歴を検索することもできてとても便利だと感じています。」
重要視しているお客様とのコミュニケーション
ーー新型コロナウイルスの影響で一時的に集客が止まった時には、社員自らが主体的に情報収集してVR見学会などの取り組みを行ったそうですが、今後やっていきたいことはありますか。
「まず”変えないこと”でいえば、WEB経由の資料請求のお客様に対しての追客については、これまでもこれからも行わない方針です。当社をまずは知っていただき、当社の家づくりの考えに共感していただくコンテンツや場づくりを進めていきます。それはすべて顧客の“ファン化”を目指しています。Webブログの取り組みもその一つですが来年度までにWeb施策をさらに強化していきたいと考えています」
ーー現在はオンラインが工務店にとって一つの接客手段になったと思いますが、貴社ではオンラインとオフラインのコミュニケーション方法の棲み分けはどのように行っていらっしゃいますか。
「集客から契約までの重要イベントは必ずオフラインで行うようにしています。仕様の打ち合わせなどある程度検討フェーズが進んでいるお客様の場合は、サンプルを郵送して現物でイメージを持っていただきながら、打ち合わせはオンラインで行うなど、オンラインとオフラインを組み合わせながら取り組んでいます。このフロー自体はスムーズに移行できたものの、新規のお客様についてはコロナの影響で一時的に集客半分近く落ち込みました。その際に、一時的にもゼロにはしないよう見学会をYouTubeチャンネル上で疑似体験できるようなバーチャル見学会を企画するなど、お客様との新たなコミュニケーション手段を模索しながら、集客数や、受注の維持を頑張っています」
URL | https://hikaritokaze.net/ |
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代表者 | 代表取締役 五味政重 |
創業 | 1989年7月 |
所在地 | 山梨県甲府市横根町480-1 |