ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛させていただくANDPAD AWARDのユーザー部門。これまで紙でのやり取りが主流だった受発注業務を電子化し、発注書の送付や請負のやり取り、工事完了後の請求書の受け渡しなどをシステム上で完結することができるのが「ANDPAD受発注」だ。
2024年の1年間、日々「ANDPAD受発注」を通じて請負側の立場で業務を行い、最もANDPAD受発注を活用したユーザーとして、ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞 -請負-」1位を受賞した小倉サンダイン株式会社の稲丸 磨岐さんと同社ANDPAD推進者である営業部 部長 大澤 元宏さんにお話を伺った。
小倉サンダインは、1924年に創業した神戸に本社を構える老舗流通商社。住宅・建材事業では主に新築住宅を建設する工務店に向け、部材の販売や施工、気密検査まで幅広く展開している。
同社は元請企業から招待を受けてANDPADを使用し、その活用実績から、同社大澤さんがANDPAD AWARD 2021「ハウジング 総合賞 社外ユーザー部門」全国1位を受賞。
また、2023年より自社でANDPADボードを契約し、現場の情報共有や営業担当、協力業者の作業予定の管理に活用している。
今回、ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞 請負部門」1位を受賞したのが稲丸さんだ。営業事務として、10年以上に渡り現場を支えてきた。ANDPAD受発注は、元請企業から招待を受けた案件のなかで納品する建材資材の発注請負や請求の業務を行っている。
かつては毎月2,000枚以上の帳票を手作業で処理していたという。ANDPAD受発注になった現在でも、毎月800件から1,000件の請負・納品を処理するが、紙での作業から解放され、ANDPAD受発注によって業務が効率化されたことを実感している。
本記事では、前編では同社の受発注業務の分業体制構築と、それによる業務効率化と品質向上への取り組み、続く後編では、具体的なANDPAD受発注の活用方法や、電子化への移行を支えたチームワーク、今後の展望について紹介する。
高性能住宅に関わる資材提供をはじめ、施工・検査も対応
──受賞おめでとうございます!貴社は2021年にも、大澤さんがANDPAD AWARD 2021ハウジング 総合賞 社外ユーザー部門 全国1位を受賞されています。当時から、ANDPAD招待元でお取引先のヤマト住建様を中心にANDPADをご活用されてきた結果として、今回新たに賞を贈れることをうれしく思います。
大澤さん: ありがとうございます。ヤマト住建様とのお付き合いは長く、2007年からお取引をさせていただいています。最初にご採用いただいたのが、高性能住宅向けの「樹脂サッシ+外張り断熱工法」である「エネージュ」でしたね。現在はすべての案件で「樹脂サッシ+外張り断熱工法」をご採用いただいており、弊社の住宅建材部門の中でヤマト住建様の売上シェアは8割にのぼります。

小倉サンダイン株式会社 大阪営業本部 営業部 部長 大澤 元宏 さん
同社に勤務していた中学時代の同級生の父親の勧めで、業界未経験ながら2005年に入社。営業一筋。2015年より現職。
──改めて、貴社の事業内容、強みについて教えてください。
大澤さん: 弊社は1924年に「小倉商店」の名で創業しており、2025年で101年目になります。その後、小倉産業株式会社に改称し、1998年に子会社のサンダイン株式会社を吸収合併して、「小倉サンダイン株式会社」となりました。
現在は「住宅・建材事業」「化学品事業」「ライフスタイルプロジェクト」の3つの事業から構成されており、住宅・建材事業では主に新築住宅を建設する工務店様に向けて、サッシや断熱部材、気密部材などを販売しています。施工や検査も行っており、網戸仕上げ及び取り付け、気密検査なども強みとしています。
──現在取り扱っている商材はどのようなものが多いのでしょうか?
大澤さん: 高断熱化のアイテムがメインの商材になります。高性能樹脂サッシをはじめとした各種断熱サッシや、現場発泡断熱材などの断熱材・気密材も扱いますし、部材だけでなく換気システムや給湯設備、空調設備、太陽光システムなども取り扱っています。そのうえで、気密測定や全館空調導入サービスといったサービスも提供している形です。
社員の働きやすさを後押しするユニークな取り組み
──今回受賞された稲丸さんは、請求業務を担当されていると伺いました。稲丸さんのご経歴について教えてください。
稲丸さん: 入社前はもともと塾講師をしていました。15年以上前のことですが、当時営業本部があるこのビルの3階フロアのスペースが余っていて、小・中学生向けの塾を弊社が経営していたんですね。
そこの塾講師として入ったものの、しばらくして塾をたたむことになって。そこで声をかけていただいたのがきっかけです。2009年に経理と総務の部門にパートとして入社しました。その後、2014年に現在の所属部署である住宅資材部へ異動になり、営業事務として正社員になりました。

小倉サンダイン株式会社 営業本部 住宅資材部 稲丸 磨岐さん
──ご入社されてから10年以上。長きにわたり小倉サンダイン様でご活躍されてきた稲丸さんにとって、小倉サンダイン様の魅力とはなんでしょうか。
稲丸さん: 社員一人ひとりが気持ちよく働ける環境が整っているところですね。例えば、有休は1日単位ではなく、4分の1日(2時間)単位で取得できる制度があります。子どもが幼かった頃は、この制度のおかげで仕事と子育ての両立で助かりました。夕方に子どもを病院へ連れて行く必要がある際、2時間有休を取得し、16時に退社する、ということができるんです。子どもの授業参観や家庭訪問等のちょっとした用事がある場合は、午後の数時間を調整するだけで済むため、半日休を取得するには及ばず、とても助かりました。
あとは、社員が日々の業務で感じたことやアイデアを自由に提案できる「提案制度」というものもあります。提案と言っても堅苦しいものではなく、「浄水器をつけてほしい」「禁煙にしてほしい」といった、普段の気づきが主なものです。採用の可否に関わらず提案すると1,000円、効果の大きい提案には優秀提案として1万円がもらえます。こういう制度があるというだけで会社に意見を言いやすいですし、実際に実現したものもあるのでうれしいですね。
──それはユニークな制度ですね。社内の雰囲気も良くなりそうです。
大澤さん: 社員は41名いますが、名前と顔がわからない人はいませんね。2年に1回、2泊3日の社員旅行もあって、親睦を深められるいい機会になっています。
──今回の受賞について、社員の皆さんの反応はいかがでしたか?
稲丸さん: 受賞の報せを受けた1月10日は、ちょうど十日戎(とおかえびす)の日だったんです。その日は毎年、会社の営業時間後にみんなでえびす神社にお参りして、商売繁盛を祈り、そのあと食事をするのが恒例。神社の境内で屋台に並んでいたら、大澤さんから「稲丸さん!受賞しました!」と教えていただいて、うれしかったですね。そのあとの食事会で、みんなで乾杯しました(笑)
月800件の受発注を支える戦略的な分業と品質への徹底したこだわり
──貴社はANDPAD受発注における発注件数・納品完了数がいずれもトップであり、1年を通して非常に忙しくされている様子がうかがえます。
稲丸さん: 毎月800件ほど、多いときは1,000件を超えることもあります。弊社では、サッシ・断熱部材・気密部材の納品だけでなく施工や検査も行う場合もありますし、それぞれの工種ごとに発注や検収が発生するので、トータルで相当な件数になるかと思います。
なので、取引先からの注文書に記載された内容すべてが、一日で納品することはまずありません。一つの物件には、少なくても5、6品目、多いときで10品目が注文書に含まれます。これを工程の初期に一部を納品し、中頃にさらに一部を納品、最後の仕上げで残りすべてを納品、というように分けて納品作業をしているので、納品完了数が多い理由かもしれませんね。
──ありがとうございます。稲丸さんの場合、データとして差し戻しの件数が少ない点も印象的でした。一連の業務フローはどのように行っているのでしょうか?
稲丸さん: 住宅建材部門では、営業事務が「積算部門」「発注部門」「入力部門」の3つの部門に分かれています。積算部門が見積もりを行い、現場がスタートしたら発注部門が発注をかけ、入力部門は発注書の内容に基づいて基幹システムなどへの入力作業を行う、というように、分業体制が敷かれているのです。
私は入力部門に所属しており、2名体制で業務に当たっています。弊社の基幹システムとの整合性を取らねばならないため、納品作業では売上管理システムに売上を計上したあと、それに合わせてANDPADで納品処理を行います。売上管理システムの金額をチェックして、その金額で正しければ、ANDPAD受発注の「納品完了」をクリックする。これが月800回あるイメージです。
──膨大なオペレーションを支えるために業務フローを分けた、ということでしょうか。
大澤さん: そうですね。以前は、営業が一人で見積もり提出、受発注処理に至るまで、一気通貫で行っていました。大変ありがたいことに、ヤマト住建様との取引が増え、一人で対応するのが難しくなってきたのです。また、受け持つエリアや得意先によって業務量が増減してしまうことから、担当セクションを分けることで業務量を平準化する狙いもありました。
現在、営業担当は見積もりと受発注の業務に人的リソースを割いています。この二つの部門がきちんと機能すれば、その後の金額の入力作業も楽になります。そしてなにより、見積もりと受発注の精度を向上させることで、現場のお客様、特に現場監督さんに対する品質も向上することができるんです。
──見積もり・受発注と品質の関係について、詳しく教えていただけますか?
大澤さん: 弊社で扱う商品の中には、特性上「図面上では納まるけど実際には納まらない」という特殊なケースもあります。これを防ぐために、積算部門では図面を確認して「このままだと商品が付きませんよ」といった情報提供も行っているんですね。
大澤さん: 仮に、そのまま納品が進んでしまうと、現場でサイズ違いが判明し、代替品を手配し直すことになります。工期が遅れることになりますから、現場監督には負担がかかりますし、大工さんは一部手持ちになる可能性もある。小倉サンダインとしても、再び注文をかけて納期を管理して、追加見積もりや発注の手間もかかる。さまざまなところに、しわ寄せが来てしまうわけです。
──なるほど。こうしたトラブルを未然に防ぐために、見積もりや受発注に重点的にリソースを投入しているわけですね。その結果として、品質向上につながると。
大澤さん: その通りです。ヤマト住建様は注文住宅を建てておられますので、お客様のご希望に耳を傾けるなかで、多少無理なお願いも聞かねばならない場面も多いと思います。また、小倉サンダインが提供する商品の特性も、すべて把握されているとは限りません。そこで、商材の知識がある私たちが、お客様をサポートできればと考えています。
大澤さん: 最近は、さらなる品質向上に向けて新たに採用も行い、見積もりと受発注の人員を厚くしています。業務の精度を上げるために、教育にも力を入れていますね。
稲丸さん: 分業体制はもちろん、ANDPAD受発注に切り替わったおかげで、より効率的に、よりプロフェッショナルな業務になったと感じます。ヤマト住建様をはじめ、多くの取引先様に「小倉サンダインに頼んだら安心」と思っていただけるとうれしいですね。
大澤さん: 住宅建材部門の伝票は、すべて稲丸さんのところに集まってきますから。納材から施工まで、一連の業務が滞りなく進められるように、小倉サンダインの「潤滑油」として頑張ってくれていますね。
分業体制を整えることで業務効率化と品質向上を図り、ANDPAD受発注への対応でそれらをさらに加速させた小倉サンダイン株式会社。後編では、具体的なANDPADの活用法や、導入時の工夫についてさらにお話を伺っていく。
URL | http://www.ogura-sundine.com |
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代表者 | 代表取締役社長 髙﨑英樹 |
設立 | 1941年10月 |
所在地 | 神戸本社 兵庫県神戸市中央区浪花町59 神戸朝日ビル10F |