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ANDPAD AWARD 2025 授賞式 開催レポート

建設DXの最前線を走るトップランナーたちが全国から集結! 知見と情熱を分かち合う一日

目次

  1. DXを推進する先駆者たちの祭典がスタート!
  2. 「ユーザー部門」10部門30名の受賞者を発表
  3. 「DXカンパニー部門」受賞企業の発表
  4. DXカンパニー部門 カテゴリ大賞6社による決勝プレゼン
  5. 特別講演 1「ANDPADのデータを企業価値にかえる」
  6. 特別講演 2「地域イノベーションを起こす職人工務店の挑戦」
  7. ユーザー投票によるONE賞の発表。最優秀賞の結果に会場が沸いた!
  8. アンドパッドは建設DXの最前線を走る皆様を応援しています

2025年6月13日、ANDPADのユーザーコミュニティの祭典「ANDPAD AWARD 2025」の授賞式が開催されました。ANDPAD AWARDは、ANDPADをご利用になる企業やユーザーの中から、特に優れたDX推進を実現した企業や個人を表彰するイベントです。

会場には、総勢300名を超える受賞企業とユーザー、アンドパッドの社員など関係者が集合。加えて、ライブ配信には200名を超える方々が参加。アンドパッドの東京オフィス・大阪オフィスではパブリックビューイングも行われ、建設業界の最前線に生まれる熱気を分かち合いました。

今年で4年目を迎えた、ANDPAD AWARD。昨年からさらにアップデートし、「DXカンパニー部門」は1カテゴリ増え、6カテゴリに。「ユーザー部門」は全10賞の受賞者全員に楯が用意されました。ANDPADユーザーの皆様による投票で選ばれる「ONE賞」への投票も盛り上がりをみせ、571票が集まり、その約4割には熱い共感・応援メッセージが寄せられました。ANDPADのトップユーザーたちによる卓越したDXを讃え、学び合う場から、授賞式当日の様子をお届けします。

DXを推進する先駆者たちの祭典がスタート!

受賞者たちの写真とAWARDに込めたメッセージを交えたオープニングムービーの後、司会者2人による進行がスタート。8名の特別審査員の紹介に続いて、アンドパッド代表の稲田武夫が登壇し、AWARD開催への意気込みを語りました。

「ANDPAD AWARDを通じて、働き方や経営をANDPADで進化させる皆様にスポットライトを当てる。そのストーリーに勇気をもらいDXに踏み切る企業が増えていく、そんな好循環が生まれることが理想です」(稲田)

続いて、昨年の最優秀賞を受賞された株式会社宗重商店様をはじめとする歴代の受賞企業、受賞ユーザーがメディアで取り上げられてきた実績、また、ANDPAD AWARDでのユーザー同士の出会いから生まれた新しい動きについてご紹介。そして、アンドパッドの活動報告と建設業界の未来へ向けての提言が続きます。

「建設業は今、人手不足などの深刻な課題を抱える一方で、頻発する災害への対応、老朽化したインフラの整備が求められています。我々はANDPADの提供にとどまらず、業界全体を巻き込んでDXを推進する会社でありたい。そして、建設業を維持していかないといけない。行政への政策提言も継続的に行なっています。

AIの進化は著しく、アンドパッドでもAI技術の強化を目指しています。ただし技術がどれだけ進化しても、建設業は『人の手によって生み出される創造的な仕事』であることは変わりません。社会を守るエッセンシャルワーカーである技能者・技術者を支えるDXサービスをつくることこそが、我々の使命だと痛感しています。ご参加の皆様が、他社の事例から学び合い、称賛し、温かい気持ちで楽しんでいただければ幸いです」(稲田)

 

「ユーザー部門」10部門30名の受賞者を発表

さあ、授賞式のはじまりです。まずは「ユーザー部門」の発表から。ユーザー部門は、ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も活用しているユーザーにお贈りする賞です。 ANDPADの活用を通じ、現場監督や職人、事務、経営者など様々なかたちで建設現場を支えるユーザーの皆様を讃えるべく、全10種の部門を用意しました。

まずは、施主とのコミュニケーションを積極的に行い、家づくりのプロセスで安心と喜びを届け続けた「ベストおうちノートユーザー賞」の発表から。1位は、株式会社建築工房小越の清水万喜さん、2位は近藤建設株式会社の大塚葵さん、3位は株式会社atelier SUBACOの玉岡鳩子さんです。

(写真左)株式会社建築工房小越 清水さん、(写真中央)近藤建設株式会社 大塚さん、(写真右)株式会社atelier SUBACO 玉岡さん

ANDPADの工程表を日々活用し、ホスピタリティ溢れる工程情報を届け続けた「ベスト工程表ユーザー賞」は、1位がグランディハウス株式会社の板子隼人さん、2位はアーキテックス株式会社の岩原基樹さん、3位は大東ガス株式会社の町田直樹さん。

(写真左)グランディハウス株式会社 板子さん、(写真中央)アーキテックス株式会社 岩原さん、(写真右)大東ガス株式会社 町田さん

ANDPAD黒板を最も活用し、スムーズな報告業務と顧客体験に貢献した「ベスト黒板ユーザー賞」は、1位が株式会社未来図建設の西村健さん、2位はライフデザイン・カバヤ株式会社の黒木稜太さん、3位は風越建設株式会社の渡部連太朗さん。

(写真左)株式会社未来図建設 西村さん、(写真中央)ライフデザイン・カバヤ株式会社 黒木さん、(写真右)風越建設株式会社 渡部さん

ANDPAD図面を総合的に活用し、紙・場所・人の制約を超え、働き方の変容を実現する「ベスト図面ユーザー賞」は、1位が株式会社仲本工業の長田幸さん、2位は新和建設株式会社の田中康征さん、3位は株式会社青電社の野々田統伍さん。

(写真左)株式会社仲本工業 長田さん、(写真中央)新和建設株式会社 田中さん、(写真右)株式会社青電社 野々田さん

ANDPAD検査を活用し、最も現場の品質向上に向けて取り組んだ「ベスト検査ユーザー賞」は、1位が株式会社Balboaの宮本徳洙さん、2位は株式会社奥松建設の森田幸博さん、3位は株式会社ダブルシステムの木村弘志さん。

(写真左)株式会社Balboa 宮本さん、(写真中央)株式会社奥松建設 森田さん、(写真右)株式会社ダブルシステム 木村さん

工事日程表などを管理するANDPADボードを総合的に最も使った「ベストボードユーザー賞」は、1位がテックジャパン株式会社の大迫健太さん、2位は株式会社catalystの天野佑介さん、3位は株式会社小川防災の岡部大喜さん。

(写真左)テックジャパン株式会社 大迫さん、(写真中央)株式会社catalyst 天野さん、(写真右)株式会社小川防災 岡部さん

ANDPADの報告機能を利用して、最も多く現場の “今” を報告した「ベスト報告ユーザー賞」は、1位が株式会社山田商会の山口正徳さん、2位はカトウコーポレーション株式会社の渋田賢一さん、3位は第一企業中央株式会社の佐々木道さん。

(写真左)株式会社山田商会 山口さん、(写真中央)カトウコーポレーション株式会社 渋田さん、(写真右)第一企業中央株式会社 佐々木さん

ANDPAD受発注を通じて発注側の業務を行い、最も納品検収のアクションを行った「ベスト受発注ユーザー賞〜発注〜」は、1位がヤマト住建株式会社の田島みさとさん、2位は坂井建設株式会社の永島友子さん(※当日は代理のご出席)、3位は株式会社Lib Workの永野五月さん。

(写真左)ヤマト住建株式会社 田島さん、(写真中央)坂井建設株式会社 永野さんの代理でご出席された須佐さん、(写真右)株式会社Lib Work 永野さん

ANDPAD受発注を通じて請負側の業務を行い、受注請求業務にスピーディーに対応し続けた「ベスト受発注ユーザー賞〜請負〜」は、1位が小倉サンダイン株式会社の稲丸磨岐さん、2位は岩倉建材株式会社の松木勝洋さん、3位は関東住宅サービス株式会社の大河原侯夫さん。

(写真左)小倉サンダイン株式会社 稲丸さん、(写真中央)岩倉建材株式会社 松木さん、(写真右)関東住宅サービス株式会社 大河原さん

最後は、1年間を通してANDPADを総合的に、そして最も使ったユーザーに贈られる「総合賞」。1位はグリーンライフ産業株式会社の西原健さん、2位は石井瓦工業株式会社の竹内博巳さん、3位は株式会社原田瓦工業の原田誠さんです。

(写真左)グリーンライフ産業株式会社 西原さん、(写真中央)石井瓦工業株式会社 竹内さん、(写真右)株式会社原田瓦工業 原田さん

受賞者を代表して、ベストおうちノートユーザー賞1位の清水さんと、ベスト図面ユーザー賞2位の田中さんが登壇し、スピーチを行いました。

「今回大変誉ある受賞を頂きありがとうございます。昨年の実績ということで確かに『仕事をやりすぎた』なと思います(笑)。実際に、昨年は法改正もあり、ZEH+など、各種対応も業務に加わり煩雑で複雑性も高かった一年でした。ただおうちノートがなかったら、たとえ休日を仕事にあてていたとしても回っていませんでしたから、おうちノートがあって本当に良かったです。

おうちノートに残るのは、お施主様の家づくりに関しての私たちとのやり取りの記録です。たとえば10年後、その住宅で育ったお子様たちは、その記録を通じて当時を振り返り、自分の両親がどのような気持ちで自宅を建てたのかに触れることができます。

『おうちノート』は、人生の大イベントである“家づくり”というドラマを記録していくツールです。導入当初は新しい挑戦に不安もありましたが、お客様の満足度につながっていることを実感し、新しいことに取り組むことへの社員の意識も変わっていきました。小さな変化が大きな変革につながっている、と感じます。これからもお客様のために、『おうちノート』を業務の中心にして頑張り続けたいと思います」(清水さん)

株式会社建築工房小越 清水万喜さんと、同社の担当カスタマーサクセス 萱島唯

「私たちはANDPADを単なるツールとしてではなく、“仲間の一人”として受け入れました。結果、大量のデータをスムーズに処理できるようになり、工務部全体のレベルを1段階引き上げることができました。これからも、建設業の未来のために。また月曜日から汗をかきながら、挑戦し続けていきます」(田中さん)

新和建設株式会社 工務部 工務課 課長 田中康征さん

「DXカンパニー部門」受賞企業の発表

休憩を挟み、「DXカンパニー部門」の発表に入ります。DXカンパニー部門は、ANDPADの活用を通じて大きな変革を遂げた企業に贈られる賞です。「専門工事 ✕ SMB」「専門工事 ✕ Mid-Enterprise」「ゼネコン ✕ Mid-Enterprise & SMB」「全セクター ✕ Enterprise」「住宅 ✕ SMB」「住宅 ✕ Mid-Enterprise」の6つのカテゴリ(※)で合計16社が入賞し、、そのうちの各1社が、それぞれの部門の大賞に選ばれました。

(※)以下の条件をもとに、企業規模(Enterprise・Mid-Enterprise・SMB)を定義しております。

売上500億円以上の企業様: Enterprise 
売上10億円以上〜500億円未満の企業様:Mid-Enterprise
売上10億円未満の企業様 :SMB

まずは、「専門工事 ✕ SMB」カテゴリから。入賞は、ANDPADを活用した大胆なデジタルシフトで、増収増益を達成しながら完全週休二日制を実現した株式会社五日市塗装工業様、全国の発電所の運営・保守を担う企業として、ANDPADによるコミュニケーション改革を行い効率的な遠隔管理体制を構築した自然オペレーションズ株式会社様。大賞は、株式会社山崎工業様です。

審査員を代表して、株式会社桐井製作所 代表取締役/公益財団法人KIRII財団 代表理事の桐井隆氏に、選出の経緯をお話しいただきました。

「山崎工業様は、生産性向上や残業時間削減のみならず、そこで創出された時間を有効活用してBtoBからBtoCへの事業拡大を遂げた点を高く評価しました。とくに、社員の方々が自発的にSNS発信などの活動に取り組まれていたことが印象的で、審査の最後の一押しとなりました」(桐井氏)

続いて、「専門工事 ✕ Mid-Enterprise」カテゴリの発表。入賞は、人材育成と技術継承を叶えるべく、組織全体で情報を一元管理する体制づくりに奮闘した株式会社グンエイ様、ANDPADによる情報共有で組織の”壁”を乗り越え、「誰でも・どこでも・引継ぎなしで現場管理ができる」体制を構築した不二鉱材株式会社様。大賞は、中電エナジーサービス株式会社様です。

芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授の蟹澤宏剛氏は、「受賞された皆さんは共通して、ANDPAD導入の手前の段階で、既存の業務を見直すところから着手されており、素晴らしい試みだと思いました」と話します。

「そんな業務見直しのなかでも、中電エナジーサービス様が構築された『棚卸し表』という独創的なシステム、これはぜひ業界に広げていただきたいと感じました。さらに、協力会社を含めた生産性の向上を目指し、二人三脚でDXを推進していく体制づくり。全体として非常に良いシステムを構築されていた点から、大賞に選ばせていただきました」(蟹澤氏)

そして続くは「ゼネコン ✕ Mid-Enterprise & SMB」カテゴリの発表。入賞は、ANDPADによる情報共有とバックオフィス体制の構築で現場監督の業務を分業化し、残業ほぼゼロを実現したエバーストラクション株式会社様、若手社員が牽引したDXで検査業務の効率化を叶えた白石建設株式会社様。大賞は、ファーストコーポレーション株式会社様です。


一般社団法人 建設ディレクター協会 理事長の新井恭子氏は「3社に共通して、会社を、そして業界を良くしていきたいという熱い思いを感じ、胸を打たれました」と審査を振り返ります。

「ファーストコーポレーション様は、 生産性向上や効率化だけでなく、人の成長や働きがいに着目して取り組まれていることが印象的でした。若手社員の声に耳を傾け、現場目線で業務改善を繰り返す。小さな積み重ねが大きな改革となり、現場に浸透していく様子が見て取れました」(新井氏)

続いて、「全セクター ✕ Enterprise」カテゴリの発表。大賞は、東邦ガスネットワーク株式会社様です。

審査の経緯を話すのは、一般財団法人不動産適正取引推進機構 理事長の青木由行氏です。

「協力会社を巻き込んだ推進体制として『ANDPAD推進委員会』を立ち上げ、広範囲への普及を実現されたことが素晴らしかったです。インフラの管理・維持という、今後の日本の大きな課題に対して先駆けとなる、シンボリックな取り組みであると感じた点からも、高く評価させていただきました」(青木氏)

続いて、「住宅 ✕ SMB」カテゴリの発表。入賞は、現場の利益やコストの“見える化”を通じ、効率化と社員大工の意識改革を推し進めた株式会社なんば建築工房様、ANDPADによる業務体制の再構築で新卒を早期戦力化、組織の危機から売上V字回復を成し遂げたリブウェル株式会社様。大賞は、株式会社大一建設様です。

株式会社新建新聞社 代表取締役社長/新建ハウジング発行人の三浦祐成氏は、大賞の決め手について「『能数』に注目しました」とコメントします。

「『能数』つまり、能力の数のこと。一人あたりの能数を増やせば、新しいことを始める際に人を増やさずに済むため、とくに中小企業において大切なことだと思います。大一建設様は業務体制を再構築していくなかで、総務の方が『おうちノート』を活用し、お客様とコミュニケーションを取るという“新しい能力”を身につけられています。家づくりに関する理解も深まりますし、今後の仕事全体に良い影響を与え続けていくだろうと感じました。DXとはそんな『能数』を増やすものであると気づかされた、素晴らしい事例でした」(三浦氏)

最後は、「住宅 ✕ Mid-Enterprise」カテゴリです。入賞は、ANDPAD活用による業務改革で工事の「悪循環」を断ち切り、現場監督の自尊心と組織の信頼を回復させた正栄産業株式会社様、工務担当者が率先するANDPADおうちノートの活用で、施主との関係性を強化したダイエープロビス株式会社様。大賞は、株式会社又助組様です。

一般社団法人リノベーション協議会 会長/u.company株式会社 代表取締役の内山博文氏は、「人口減少の影響をダイレクトに受ける住宅業界においては、品質を維持しながら売り上げを伸ばすこと、いかに顧客満足度を高めていくか、ということが重要な視点です」と、話します。

「又助組さんは、DXを推進しながら、社内満足度向上(働き方改革)、顧客満足度向上、そして職人不足による技術低下への対処、という3つのポイントをバランス良く手がけられた点が、今回の受賞の理由です。何よりも、DXによって生まれた時間を『職人打ち合わせ』に活用されていること。技術の伝承にもつながり、バランスの取れた取り組みだと感じました」(内山氏)

 

DXカンパニー部門 カテゴリ大賞6社による決勝プレゼン

入賞企業と大賞の発表が終わり、いよいよ大賞を受賞した6社による「決勝プレゼン」が始まります。このプレゼンテーションは、カテゴリ大賞を受賞した企業6社が約10分間、自社の取り組みと成果を発表し、最優秀賞を決めるものです。

トップバッターは、株式会社山崎工業様(「専門工事✕ SMB」カテゴリ)のプレゼンテーション。同社代表取締役の山崎建見さんが登壇し、ANDPADの活用による紙の日報と稼働管理のデジタル化の取り組み、そしてDXによって生まれた時間の多岐にわたる活用事例を紹介。成果とともに、今後の計画についても語りました。

「今回行った業務改善の考え方を社内に浸透させ、データに基づいた作業マニュアル作成や、社員が成長を実感できる職場環境をさらに整備していきたいと思います。私たちは人材を育成できる企業を目指して挑戦を続けていきます」(山崎さん)

続いては、中電エナジーサービス株式会社様(「専門工事 ✕ Mid-Enterprise」カテゴリ)のプレゼンテーション。全業務フローをANDPADに合わせて再構築し、残業時間を削減しながら売上倍増を成し遂げた同社。DX推進を担った浅野正己さんが登壇し、改革のプロセスを5つのステップに分けて説明。最後には、改革を経た実感を振り返りました。

「個人的に最も実感したのは『DXは人のためにある』ということです。目的が単に業績や効率化のためだったら、ついて来られなかった人もいたかもしれません。働き方がより良くなる、お客様により良いサービスを提供できるんだという思いがあったからこそ、全員が前向きに取り組めたのだと思います」(浅野さん)

3社目は、ファーストコーポレーション株式会社様(「ゼネコン ✕ Mid-Enterprise & SMB」カテゴリ)。ANDPAD × 建設ディレクターという体制で推し進めたDXについて発表します。現場の一元管理により、効率化だけでなく、人材育成のための体制構築も叶えた同社。建設ディレクターグループの宗悠紀子さんと和田夏実さんの2名が登壇しました。

「残業時間が減ったことで、若手社員は資格取得に意識を向けるようになりました。私たち建設ディレクターは資格取得の面からも応援していますが、それが将来、女性の現場所長の輩出に繋がれば嬉しいです。そして、建設業界における女性の働き方の選択肢として『建設ディレクター』を浸透させていきたいと思っています」(宗さん)

4社目は、東邦ガスネットワーク株式会社様(「全セクター ✕ Enterprise」カテゴリ)です。

インフラの維持管理という使命を持つ同社は、協力会社を巻き込んだ推進体制を構築し、報告業務と図面作成業務のDXに取り組みました。改革を牽引したメンバーである彦坂晃伸さんと長谷川友里さんの2名が登壇し、注目の集まる「ANDPAD 3Dスキャン」の活用について、実際の操作画面を映しながら説明しました。

「今回のプロジェクトの成功の鍵となったのは、実務担当者を巻き込んだ推進体制でした。ガス管の保安向上に向けて、全員が自分事として取り組めたことが功を奏しました。改めて、協力会社の皆様の保安品質にかける意識の高さに感謝しています」(彦坂さん)

5社目は、株式会社大一建設様(「住宅 ✕ SMB」カテゴリ)。“現場監督の訪問ありき”という現場管理の体制からの脱却を目指した同社。新卒やバックオフィスでも現場管理を担える体制を構築した取り組みについて、DX推進の中心を担った田島かすみさんは「施工管理は人だけではなく、仕組みづくりで変えていく時代です」と振り返ります。

「“行かない”ことをネガティブに捉えるのではなく、仕組みを変えることによって強くなる。今回の取り組みは、会社の空気そのものを変えていきました。部署を越えて協力し、改善する文化が根付いています」(田島さん)

最後は、株式会社又助組様(「住宅 ✕ Mid-Enterprise」カテゴリ)の発表です。社員一丸となってDXに挑戦できる土壌を醸成し、協力会社も巻き込みながら業務効率化を実現した歩みを紹介します。代表取締役の齋藤卓弥さんは、新たな品質向上施策「職人打ち合わせ」を一番の成果として挙げました。

「品質向上と社員の負担軽減を通じて顧客満足度を高める。まさにアンドパッドさんのミッション『幸せを築く人を、幸せに。』を体現させてもらっているように思います。お客様のため、そして何より社員のために、今後も一層邁進していきます」(齋藤さん)

DX推進への熱意あふれる6社のプレゼンテーションが終了。プレゼンの内容をもとに審査員の方々が、最優秀賞を決める審査に移ります。

 

特別講演 1「ANDPADのデータを企業価値にかえる」

プログラムは2本の特別講演に移ります。

ひとつ目の特別講演は、アンドパッドの新規事業開発室とBPO事業グループに所属する町田浩三から、「ANDPAD AI」の最新動向です。あらゆる業界でAIの活用が進み、私たちの生活に溶け込み始めています。アンドパッドでもAIプロダクトをすでにリリースしていますが、その最新事例として「ANDPAD BPO」があります。

「AIというテクノロジーだけでなく『人』の技術力を活用したサービスです。『今すぐ残業を減らしたい』『AIを使う時間がない』という企業様向けに、現場業務を代行するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス。私たちがAIを駆使して精度を高めていくことで、即効性高く現場業務を減らすことが可能となります」(町田)

 

特別講演 2「地域イノベーションを起こす職人工務店の挑戦」

続いて、株式会社なんば建築工房様による講演です。創業138年を迎える「なんば建築工房」を、義理の息子として引き継いだ代表取締役社長の正田順也さん。「地域イノベーションを起こす職人工務店の挑戦」と題して、幾度かの経営困難に立ち向かいながらも進んできた歩みについて語ります。

「会社風土の改革が困難だったからこそ『劇的ではない改革』を選び、今の会社のあり方を維持しながら改革することにしました。とはいえ、拠点である岡山県の瀬戸内海のほとりに位置する倉敷市下津井地区は、人口減と高齢化で活発とは言えない状況。そこで我々が決めたのは、建築技術を活かした古民家再生、空き家活用のプロジェクト。受け入れ体制を整え、地域に根ざしたまちづくり事業にも力を入れています」(正田さん)

そうした過程で職人が辞めてしまうなどの危機もありましたが、会社も事業も徐々に軌道に乗っていき、結果的に東京からの移住者も増えて、採用にも好影響となっているそうです。そんな結果につながったのは、同社の「DX ✕ 古民家再生 ✕ 町おこし」の掛け算によるもの。

「『お金はなくてもコツコツ手間をかける』ことで、誰も真似できない仕組みを作り上げていけると感じています。これは、地域の活性化や地域課題の解決にもつながり、日本の文化継承にも貢献できると信じています。私たちはまだ道半ばですが、創業138年の歴史をさらに未来へとつないでいけるよう、ANDPADと共に事業の好循環をつくっていきたいと思います」(正田さん)

 

ユーザー投票によるONE賞の発表。最優秀賞の結果に会場が沸いた!

残るは「特別賞」の発表です。まずは、DXカンパニー部門に入賞を果たした16社の中から、ANDPADユーザーの皆様の投票によって選ばれる「ONE賞」。多くのユーザーからの支持を集めたのは、カテゴリ大賞としても選ばれた株式会社大一建設様です。大きな拍手のなか、株式会社大一建設様へ賞状とトロフィーが授与されました。

続いて、「最優秀賞」の発表へと移ります。司会の手元には決勝プレゼンの審査結果が書かれた封筒が届きます。最優秀賞を手にしたのは、株式会社大一建設様!ANDPAD AWARD初のW受賞に、ひときわ大きな驚きの声と歓声が響きます。

鳴り止まない拍手のなか、同社代表取締役の松嶋直紀さんが再び登壇し、驚きを隠せない様子で受賞の喜びを述べました。

「正直、賞をいただいてかなりびっくりしています。そして本当に嬉しく思います。

当社の取り組みは、6年前から始まりました。私自身、もともと現場監督として現場管理を行っていた人間です。だからこそ、現場に毎日行かなくても良いのではないか、という思いが生まれ、『御用聞きの現場監督はいらない』宣言をしました。もちろん、この宣言が最初から受け入れられたわけではありません。しかし、田島を含めたスタッフ、協力会社さん、そしてアンドパッドさんのご協力など、全ての関わる方々が、私の目指した方向についてきてくれ、一生懸命取り組んでくれた結果が、本日このような素晴らしい賞につながったと、心から感謝しています。本日は誠にありがとうございました!」(松嶋さん)

すべての表彰が終了し、最後は審査員を代表して東京大学建築情報学研究室 特任教授の池田靖史氏による審査総評が行われました。

「『ONE賞』と同じ結果となったことには、驚きとともに、喜びを感じています。ANDPAD AWARDの意義は、単に良い事例を選ぶだけでなく、『これから建設業界に起きてほしいDXのモデルを示すこと』にあると考えています。それは、大手企業のような大規模なDXだけでなく、規模もさまざまな現場で働く皆さんが、できるところから始めるDX。アンドパッドさんが推進しているのは、そんな『草の根DX』ではないでしょうか。

今回の受賞企業、とくに大一建設さんの取り組みは、まさに『草の根DX』と相通じるものでした。お客様の立場に立ち、『報告とは何のためにあるのか?』『お客様に状況を分かって安心してもらうためだ』という本質的な問いからDXを始め、それが結果的にお客様に喜ばれ、働く人すべての誇りになるという好循環を生み出していることに、私は心を打たれました。DXがこの好循環を生み出すことに使われる。これこそが素晴らしいのです。

もしかすると、『なぜ今日集まった中で一番小さな会社に賞をあげるんだ?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、重要なのは会社の規模や工事の種類ではありません。DXというものが、これからの働き方や様々な社会のあり方にどういう一石を投じていくのか。本日の授賞式は、まさにその問いを投げかける場だったのだと思います。本日受賞された皆様、そしてご参加の皆様も、ぜひ新しい挑戦を続け、来年もこの場で素晴らしい成果を分かち合えることを期待しています」(池田氏)

 

アンドパッドは建設DXの最前線を走る皆様を応援しています

大きな拍手のなか、アンドパッド上級執行役員の藤井哲嗣が、閉会の挨拶を行います。

「本日は、DXカンパニー部門16社、ユーザー部門30名の皆様を表彰させていただくことができ、心より光栄に思っております。皆様の取り組みは、まさに業界にとっての象徴であり、希望の光だと感じています。改めて強く思ったのは、私たちアンドパッドは、単独ではこの業界のDXを実現することはできないということです。これほど大きな業界のDXには、現場を知り尽くした皆様の知見と熱量が不可欠であり、皆様の力がなければ真の建設DXは実現できないと、強く感じています。アンドパッドは今後も、皆様と同じ視線で、同じ歩幅で、共に業界を良くしていく立場として、役割を果たしてまいります。至らない点もございますが、引き続きよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました」(藤井)

そして、受賞者の皆様の交流を深める毎年恒例の懇親会がスタートです。皆様のお手元にはAWARDオリジナルの特製ビール「ANDPAD AWARD BEER」が配られました。司会を務めたコミュニティマネージャーの平賀の音頭で一斉に、乾杯!

受賞ユーザー同士や、審査員の方々と。アンドパッドの担当者や、同じプロダクトを使うユーザー同士と……各テーブルで話に花が咲きます。

 

昨年のDXカンパニー部門 入賞企業の方々も、授賞式の場に駆けつけてくださいました。写真は昨年最優秀賞を受賞した株式会社宗重商店の瀬戸さん(左)と、株式会社IPSの成瀬さん(右)。昨年会場を沸かせた株式会社マルコの丸山さんもいらっしゃり、プチ同窓会状態に。

話の合間に記念撮影も。

参加者の皆様からアンドパッドへのメッセージをいただく寄せ書きコーナーも盛況!いただいたメッセージは大切に保管し、新しいオフィスに設置予定です。

締めの挨拶は、中電エナジーサービス株式会社の浅野さんよりいただきました。

「今日は1日中感情が溢れていました。各受賞者のプレゼンやスピーチから、皆様の取り組みの背景や思いが想像でき、終始熱い思いが込み上げていて、実際ずっと泣いていました(笑)。

『人のためのDX』。自分たちのためだけではない。誰かのために良くしていく。そうした流れがANDPAD AWARD全体でありました。みなさんで建設業をより良くしていくことが必ずできると感じています。今日はありがとうございました!」(浅野さん)

会の最後には、一日の様子をぎゅっと詰め込んだエンドロールムービーを。笑いあり、感動ありの時間をしみじみと噛み締めます。

オフラインでの開催は、今回が3回目。歴代の受賞企業・ユーザーの方々のなかにはお互いに顔なじみの方も増え、そんな人たちがまた新たな方々とつながっていく――そうした光景を多く目にすることができました。

昨年、専門工事事業者の方々向けに開催した「DX推進者Meet UP」。昨年の受賞企業である株式会社IPSの成瀬さんが登壇され、同じくその場に参加されたのが山崎工業の山崎さんでした。自社のDX推進のさらなる奮起を、と心に決めた同社が、この度見事DXカンパニーとしてカテゴリ大賞を受賞。授賞式会場でその功績をお二人が互いに称え合う景色は、ANDPADコミュニティならではの建設DXを通じた友情をあらわしていました。

このようにANDPADコミュニティは、おかげさまでより強固に、さらに密度濃く実りあるものへと進化しています。ANDPADを、そしてコミュニティを共に育んでくださる皆様へ、改めて御礼申し上げます。

今回生まれたつながりをきっかけに、失敗や苦労、成功の秘訣、地道な取り組みとその工夫まで、分かち合い、学び合える関係が続いていくことを切に願っています。アンドパッドは引き続き、建設業界がより良くなるために、皆様のお力をお借りしながら進んでまいります。

執筆・編集: 浅利ムーラン(BAKERU)、大澤景
編集:平賀豊麻、原澤香織
デザイン: 岩佐謙太朗
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