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ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。本記事では「ベスト検査ユーザー賞」全国3位を受賞した、若尾組建築 若尾陵一さんと若尾絵理さんにお話を伺った。

愛知県や岐阜県を拠点に、木造軸組工法の注文住宅をメインに手掛ける若尾組建築。代表の若尾陵一さんが大工として25年以上のキャリアを積み重ねる中、現在は妻の絵理さんと二人三脚で日々の現場を守り続けている。
同社の最大の強みは、他の協力会社からもお褒めの言葉をいただくほどの徹底した「現場美化」と、30坪程度の住宅であればわずか1カ月半で仕上げる施工スピードにある。デジタルツールへの苦手意識を乗り越え、なぜ全国トップクラスの活用度を誇るに至ったのか。
本稿では、大工としての原点にある現場環境へのこだわりや、夫婦の緊密な連携が生み出す独自の価値、そしてお施主様の想いに寄り添う家づくりへの情熱について詳しく紐解いていく。

きれいな現場が安全な施工と確かな品質をつくり出す
──この度はANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「ベスト検査ユーザー賞」全国3位のご受賞、誠におめでとうございます!トップユーザーとして日々の取り組みが実を結び、今回の素晴らしい受賞へとつながったかと存じますが、まずは陵一さんの大工としての歩みや、独立されるまでの経緯について詳しくお聞かせください。
若尾陵一さん(以下、陵一さん): ありがとうございます!私は中学校を卒業したあとに愛知県内にある大工の専門学校に入学しました。そこで3年間、大工としての基礎的な知識や木工の技術を学びまして、卒業してからはずっと大工一筋でやってきました。2026年現在で大工歴としては25年以上になりますね。
専門学校を卒業した後は、愛知県内の親方のもとへ弟子入りをして、本格的な修行の期間に入りました。最初の親方のもとで約7年ほどお世話になって修行をし、その後は別の親方につかせていただいて、さらに3年ほど、合わせて約10年間は親方のもとで大工としての現場経験や技術を徹底的に磨き込みました。その後、独立して2003年に若尾組建築を設立しました。

若尾組建築 若尾陵一さん
──大工の道へ進まれたのは、やはり幼少期からの憧れや夢があったからなのでしょうか?
陵一さん: いや、実はそのような大層なきっかけがあったわけではないんですよ。進学を検討する際、たまたま友人が大工の専門学校のパンフレットを持ってきて、それを見せてもらったんです。その時に「じゃあここに行ってみようかな」と思ったのが、この世界に入った最初のきっかけでした。当時は自分が一人前の大工になって独立するなんて想像もしていませんでしたが、実際に仕事を始めてみたら、自分の性格にもの凄く合っていたなと今になって感じています。

若尾組建築 若尾絵理さん。陵一さんの担当する現場のサポートや施工のダブルチェックなどを担っている。
若尾絵理さん(以下、絵理さん): 夫はプライベートでも普段から車を触ったりバイクの整備をしたりするのが好きなのですが、仕事に関しても、すごく細かいところにまで自然と目が届く性質なんですよね。傍で見ていて、細やかな気配りや丁寧さが求められる今の注文住宅の仕事には本当に向いているなと感じます。たまたま選んだ選択肢が結果として良い方向に進んだなと思いますね。
──若尾組建築様の大きな特徴として、ANDPADの招待元の元請企業様や他の協力会社様からも絶賛される「徹底した現場美化」の意識が挙げられます。ここまで現場の整理整頓にこだわりを持つようになったのには、どのような原点があるのでしょうか。
陵一さん: それは、大工の修行時代に一番最初につかせていただいた親方の現場での経験が大きな原点になっています。木材の端材、梱包資材などが現場の床に散乱し、足の踏み場もないような状態で作業をしていたことがありました。そうなると、現場を歩いているだけでどうしても資材につまずいたり、端材の角に足をぶつけたりしてしまいます。
不慮の負傷だけでなく結果的に現場の作業を明らかに遅らせてしまう原因になることを身を以て痛感しました。だから、自分が独立して一本立ちし、自分の責任で現場を管理するようになったら、誰もが快適に動けるきれいな現場を絶対に作ろうと心に誓いました。

──修行時代の苦い経験を反面教師として、現在の美しい現場環境が作られているのですね。現場の美化を徹底することは、安全の確保以外にも具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
陵一さん: 安全に作業ができるのは大前提として、現場が常に整理整頓されていると、作業の能率が圧倒的に向上します。床に余計なものが一切落ちていなければ単純に歩きやすいですし、次にどの資材をどこに運んでどう組み立てるか、という段取りを組む際にも無駄な動きが全くなくなります。現場に他の業種の職人さんが入ってこられた際にも、現場がきれいであればすぐに自分の作業に取り掛かれますよね。たまに別の職人さんから「若尾さんはいつもこまめに掃除ばかりしているけれど、そんなことに時間を使っていて仕事が遅くならないの?」と言われることもあります。
確かに、一日のうちに掃除の時間を合計すれば数分から数十分の時間は使っているかもしれませんが、結局のところ、現場をきれいに維持している方が、全体の施工スピードは圧倒的に速くなるという確信を持っています。通りやすい現場、作業しやすい環境を作ることが、プロとしての最低限の段取りであり準備だと思っています。

整理整頓された道具が並ぶ若尾さんの現場
絵理さん: 元請企業様からも、弊社の現場に入られた他の協力会社の職人さんたちを通じて「若尾さんの現場はいつ行っても本当に整理整頓されていて気持ちよく仕事ができる」と褒めていただいているという話を伺う機会が多くて、そうやって周囲の方々に喜んでいただけるのは何より嬉しいですし、誇らしいですね。
役割分担で実現する工期2週間の短縮
──現在は絵理さんとお二人で現場に入り、二人三脚で数多くの施工を手掛けられていると伺いました。ご夫婦でご一緒に仕事をするようになったのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
絵理さん: 今から13年前の2013年頃から、本格的に夫の現場を手伝うようになりました。当時、上の子が11歳、下の子が8歳くらいになって、小学校に上がって少しずつ子育ての手が離れてきたタイミングだったんです。夫が一人で現場を回している姿を見ていて、夏場などは本当に大変そうに仕事をして帰ってくるので、「これだけ現場で汗をかけば、一緒に手伝ったら運動になるかな」という気持ちも少しあったのですが(笑)。少しでも現場の仕事が前に進んで夫の負担が減ればいいなという思いから参加し始めました。最初は事務作業や経理のサポートだけのつもりだったのですが、毎日現場に足を運んでいるうちに大工の仕事に興味が湧いてきて、自分にできる範囲の仕事を少しずつレクチャーしてもらいながら技術を身につけていきました。

──絵理さんは、現在は現場で具体的にどのような作業や役割を分担されているのでしょうか。
絵理さん: 実作業としては、石膏ボードのビス打ちをしたり、上棟した後の構造金物の取り付け作業などを担当しています。夫は大工としての専門的な加工や造作、建て方などに集中してもらい、私はその周辺の補助的な作業を担当するようにしています。そして、私の一番重要な役割だと思っているのが、施工における「間違いがないかの現場チェック」です。夫が作業した箇所に対して、図面を見ながら寸法が正確に出ているか、下地が指定の場所にきちんと入っているかなどを、お施主様の目線に立って一つひとつ徹底的にダブルチェックしています。

陵一さん: 私が現場で作業に集中しすぎると、たまに細かい部分でうっかり思い違いをしたり間違えそうになったりすることがあるのですが、しっかりとチェックして「ここ、ちょっとずれてない?」と見つけてくれるので本当に助かっています。一人で黙々と作業をしているとどうしても主観的になってしまいますが、客観的な視点で下地の有無や寸法を確認してくれるおかげで、手戻りのないより確実な品質が担保できています。
──お二人で連携してお仕事をされるようになってから、施工のスピードや全体の工期にはどのような具体的な変化がありましたか。
陵一さん: 工期の短縮という意味では、もの凄く大きな変化がありましたね。現在、私たちは年間約8棟の新築注文住宅を手掛けさせていただいているのですが、私が一人で大工仕事を抱えて現場に入っていた頃は、30坪程度の住宅だと建て方から木工事完了まで大体2カ月かかっていました。それが、今の体制になって二人で作業を分担し、次の工程を前後でお互いに意識し合いながら段取りを組んで動くようになってからは、わずか1カ月半で全ての木工事を仕上げられるようになったんです。期間にして約2週間、半月分もの工期を安定して短縮できるようになりました。

──一人で2カ月かかる現場をお二人で1カ月半で仕上げるというのは、生産性が約33%向上し、年間のキャパシティが大きく拡大する素晴らしい変化ですね。それほど迅速に対応しながらも、高い品質を維持し続けられる理由を教えてください。
絵理さん: お互いにその日その日の作業目標を明確にして、ANDPADでお互いの進捗や工程表を確認しながら「次の協力会社さんが入るまでに必ずここまで終わらせよう」と全体を把握して動いていることが大きいと思います。手戻りや無駄な待ち時間を一切なくすことが、結果としてこのスピード感に繋がっています。
陵一さん: もちろん、スピードを出すからといって、作業を雑にしたり手を抜いたりするようなことは絶対にしません。私たち職人が変な手抜きや誤魔化しをしても、お施主様にとっても協力会社様にとっても、良い結果を生まないじゃないですか。一つひとつの工程を徹底的に丁寧に行いながら、無駄なプロセスを削ぎ落としていく。スピードと丁寧さを高いレベルで両立させることが、職人としてのプライドであり、誠実な住まいづくりのあり方だと思っています。

こだわりを形にする面白さとお施主様への誠実さ
──若尾組建築様では、新築の注文住宅をメインに手掛けられているそうですね。大工職人の目線から見て、注文住宅の施工にはどのような魅力ややりがいを感じていますか。
陵一さん: 注文住宅は、お施主様それぞれの「こだわり」や理想が細部までぎっしりと詰まっているので、大工として頭を使って考えて仕事ができる点が本当に面白いですし、やりがいがありますね。過去に建売の現場に入ったこともあったのですが、すべての規格が最初から決まっていて同じ作業を繰り返す流れ作業は、私には少し退屈に感じられてあまり向いていなかったんです。毎回異なる図面と向き合いながら、「この複雑な納まりをどうやって一番きれいに仕上げようか」と知恵を絞りながら、自分の手で空間を形にしていくのが何よりの楽しみです。
──最近手掛けられた注文住宅の現場で、特に職人として腕の見せ所だった、あるいは面白かったと感じるエピソードがあれば教えてください。
陵一さん: 担当した現場の1つに、部屋の垂れ壁をアーチ型の開口にするデザインがありました。一般的な住宅のアーチ開口というのはきれいな真円や半円でアールを出すことが多いのですが、お施主様のご要望で、直線のラインを残しつつ、角の丸みだけをほんの少し微妙なニュアンスで仕上げるという非常に繊細な仕様でした。「なるほど、今回の図面を見ると、ここはいつものパターンとは違うな。お施主様が一番こだわっていらっしゃる特別なポイントなんだな」と意図を推測しながら、手作業でミリ単位で微調整していく作業は、大変ではありますが職人冥利に尽きる面白さがありますね。そうやって、毎回異なる要望に対して試行錯誤しながらつくり上げていくのが注文住宅ならではの醍醐味だと思います。

──お施主様の想いを技術力で具現化していくわけですね。その真摯な姿勢がお施主様の高い満足度に直結しているのだと感じます。
絵理さん: 家が完成して引き渡されてしまうと、壁の内部に配置した下地や構造金物などは、お施主様の目からは完全に見えなくなってしまいますよね。でも、そうした見えなくなる部分の施工品質こそが、何十年と安心して暮らせる家を支える最も重要な土台なんです。だからこそ私たちは、壁を閉じてしまう前の段階で、必要な箇所にしっかりと下地を入れた様子を写真に収めて記録として残すようにしています。自分たちの仕事の品質に誇りを持っていますし、お施主様に「見えない裏側まで、これだけ誠実にきっちりとつくっていますよ」という確かな安心をご提供したいんです。
陵一さん: お施主様がいてこその住宅ですし、元請企業様がいてこその私たちです。現場に関わる全員が信頼で繋がり、みんなが笑顔になれる関係を築くためには、どんなに細かい作業であっても、誰に対しても絶対に誤魔化しをせず誠実に向き合うこと。それこそが、職人として最も大切にすべき規範だと思っています。
デジタルへの苦手意識を克服した「まず触ってみる」精神
──ここからは、若尾組建築様がANDPADをどのように現場に落とし込み、活用されているのかについて詳しく伺っていきます。お取引の多い元請企業様がANDPADを全社的に導入されたのは2020年とのことですが、陵一さんはそれよりもかなり前からツールに触れる機会があったそうですね。
陵一さん: はい、そうなんです。元請企業様が本格的に導入される以前にお付き合いのあった別の会社でもANDPADを使っていた時期がありまして、なんだかんだで10年近くは数ある機能の何かしらに触れ続けていると思います。だから、ツールの名前自体は私にとってもかなり昔から馴染みのあるものでした。

──10年近くお使いになられているのですね!最初に活用された当時は、デジタルツールに対してすんなりと馴染むことができたのでしょうか?
陵一さん: 最初は苦手意識がありました。私はもともと、パソコンやスマートフォンをスマートに使いこなせるようなデジタルに強い人間では全くないですから。それこそ、昔は元請企業様からの業務連絡や図面の送付といえばFAXや紙の書類、急ぎの用事は電話での直接指示というのが当たり前の世界でずっと育ってきましたからね。
そんな中で、ある日突然「新しくアプリを導入するから、現場でこれを使ってください」と言われても、最初はアプリの画面のどこをどう操作すればいいのかすら全く分からなくて、本当に困惑しました。当時、周りの協力会社の方も私よりさらに年上のベテランばかりの環境だったので。だから、私にとっても最初のハードルは決して低いものではありませんでした。

──そのような強い苦手意識や心理的なハードルを、どのようにして乗り越えていかれたのですか?
陵一さん: こればかりは、特別な近道はなく、「操作に慣れていないからこそ、毎日とりあえずアプリを触ってみる」ということに尽きますね。どれだけ苦手意識があっても、自分でやると決めたら、毎日現場に入ったタイミングで必ずANDPADを開くことを自分の中のルーティンにしました。
今日はどんな工程になっているか、チャットに新しい連絡や変更のメッセージが届いていないか、最新の図面データはどうなっているかなど、暇を見つけてはスマートフォンで画面をポチポチと触って確認することを徹底的に継続したんです。やれないことや分からない操作があれば、現場から家に帰ってきてから妻に聞いて「ここはどうやったらアップできるの?」と一緒に確認しながら、少しずつ操作を覚えていきました。どんなにデジタルに苦手意識がある職人であっても、毎日欠かさず触り続けていれば、自然と頭ではなく体が操作のやり方を覚えていくものなんですよね。
今となっては、慣れてしまえばこれほど現場仕事において便利なツールはないなと心から実感しています。

──日々の地道な積み重ねが、苦手意識の克服に繋がったわけですね。実際にANDPADを使いこなすようになってから、以前のアナログな仕事の進め方と比べて、現場の効率にはどのような変化を実感されていますか。
陵一さん: 一番変化を実感しているのは、元請企業の設計さんや監督さんたちとのコミュニケーションのスピード感と、情報のリアルタイムな共有ですね。昔であれば設計の変更や図面の修正があった場合、監督さんが新しい紙の図面を自分の車に乗せて現場まで直接届けてくれるのを待つしかありませんでした。
でも、監督さんも設計さんも毎日何現場も抱えてあちこち走り回っていてもの凄く忙しいですから、どうしても新しい情報が現場の私たちの手元に届くまでに、数日から1週間近いタイムラグが発生してしまうことがあったんです。
現場の作業は毎日どんどん動いて進んでいきますから、そうすると「図面の変更内容が現場に届いた時には、もうその場所の大工工事はきれいに終わっちゃったよ……」という事態が起きていたんですよ。後から「実はここ、変更になったんです」と言われても、一度きれいに張ったボードや下地をもう一度全部解体して作り直さなければならなくなりますよね。これは大きな損失でした。

──確かに、せっかくきれいに仕上げた施工をもう一度やり直すのは、精神的にも体力的にも非常に厳しいものがありますね。
陵一さん: そうなんですよ。それが、今はANDPADのおかげで、設計変更があればその瞬間にチャット機能を通じて最新の図面データが現場のスマートフォンにダイレクトに届きます。監督さんがわざわざ図面を届けてくれるのを現場で待つ必要が完全にゼロになりましたし、情報がリアルタイムに共有されるので、図面の行き違いによる手戻りの作業というものが現場からほぼ完全に消え去りました。この無駄な手戻りがなくなったことこそが、私たちの高い品質と圧倒的な施工スピードをさらに確固たるものにしてくれている一番の要因だと強く感じています。

ベスト検査ユーザー3位の真髄「是正はその日のうちに完了させる」
──今回、若尾組建築様が全国3位を受賞された最大の要因は、品質検査における「是正依頼に対する対応速度の圧倒的な速さ」にあります。日々数多くの現場を担当される中で、是正対応をスピーディーに行うための具体的な行動指針やマイルールがあればぜひ教えてください。
陵一さん: 「指摘された箇所は、その場ですぐに直す」ということを徹底しているだけです。大工の仕事をしていると、1カ月の間に何棟もの現場のスケジュールが頭の中で動いています。そんな中で、元請企業様の品質管理の担当者から「若尾さん、ここの部分に少し手直しが必要なので是正をお願いします」とANDPADで指摘をいただいた内容に対して、「よし、これはまた後で時間が空いた時にまとめてやろう」と後回しにしてしまうと、他の大工仕事に追われているうちに頭の中からうっかり忘れてしまうんですよ。一度忘れてしまうと、対応が遅れてしまって、元請企業様にも余計な確認の手間を増やしてしまいますよね。

──「忘れないため」の最も確実な対策が、その場での即時対応なのですね。
陵一さん: その通りです。だから、品質検査の是正依頼を確認したら、可能な限りその日のうちに、遅くとも次の日の朝一番には必ず手直しの施工を完了させるように動いています。直せるものはその場ですぐに直して、報告を上げてしまうのが、自分自身の頭のタスクを整理するためにも一番確実で効率的だと感じています。それに、私たち大工の是正作業がいつまでも現場に残ったまま未完了の状態になっていると、その後に現場に入ることになっているクロス屋さんや塗装屋さんといった他の多くの業種の職人さんたちの工事に支障をきたして、全体の工程を遅らせてしまう原因になってしまいます。次の工程を担当する方たちに迷惑をかけないためにも、可能な限りその日のうちに是正を終わらせることが、重要だと思っています。
──是正の施工が完了した後の完了報告に関しても、事務所に戻ってからまとめて行うのではなく、やはり現場でその場で行っていらっしゃるのでしょうか?
陵一さん: はい。その場でスマートフォンのアプリを使ってアップロードしています。現場で手直しが終わったら、その瞬間に手元のスマートフォンで「是正後の完了写真」を撮影して、その場ですぐにANDPAD検査アプリに画像を登録して送信ボタンを押します。一旦作業を終えてから事務所や自宅に戻って、パソコンを開いて、デジタルカメラのデータを移行して指示内容と照らし合わせてメールを送る……となるとそれだけで毎日何時間もの時間がかかってしまいますし、それこそ完了写真を撮り忘れたり報告を忘れてしまったりというミスの原因になります。現場作業の中で、片手で撮影から報告までを1分足らずで完結できるスマートフォンの利便性の高さには、本当に日々助けられていますね。

──若尾組建築様のデータを確認させていただくと、「是正への写真登録数」が全国のユーザー様の中でも際立って多い数字を記録されています。1件の是正のタスクに対して、平均して2枚以上の完了写真を欠かさず登録されている計算になりますが、この写真撮影におけるこだわりや工夫について教えてください。
陵一さん: 写真の登録数に関して、元請企業様から「必ず1箇所につき2枚以上のアングルで撮影して報告してください」といったルールを課されているわけではないんです。ただ、是正依頼の指示書に添付されている写真に対して、補修が終わった後に私が完了報告の写真を撮影する際、言われた通りのアングルから1枚だけパシャリと撮っただけでは、画面を受け取る品質管理の担当者様にとって「これ、本当に細かい隙間や傷まで綺麗に処理されているのかな?」という確認の判断が、写真の影や角度のせいで分かりにくい場合がどうしてもあるなと感じていて。元請企業の担当者様が、写真を見ただけで一発で「よし、完璧に直っているね!」と自信を持って次の工程へGOを出せるようにするために、分かりにくい箇所については自ら自発的に少し角度や距離を変えて、複数枚撮影してアップロードするような配慮を心がけています。

──報告を受け取る相手の立場や心情を徹底的に想像した上での、素晴らしいホスピタリティですね。そこまで元請企業の管理スタッフの方々に真摯に向き合える陵一さんのモチベーションは、一体どこにあるのでしょうか。
陵一さん: 現場に検査に来てくださる元請企業様の品質管理課の社員さんたちが、本当に皆様ものすごく一生懸命に仕事に取り組んでいるからなんですよ。社員の皆様の仕事に対するひたむきな様子を見ていると、「よし、熱意に大工として120%応えたい」というモチベーションが自然と湧いてくるんです。検査に来てくれるスタッフのメンバーって、若い世代の方たちで、年齢で言うと私たちの子どもと全く同じくらいの年なんですよね。現場の品質を少しでも高めようと、一生懸命に専門知識を勉強して、現場を回って細かいところまで必死にチェックしてくれているんです。そのような方たちが「若尾さん、ここだけもう少し手直しをお願いします」と伝えてきてくれているのに、ベテランの大工である私が対応を遅らせたり、いい加減な報告を上げたりすることはできません。
──若いスタッフの方々のひたむきなプロ意識に対して、陵一さんもベテラン職人としてのプロのスピードと誠実さで応えていらっしゃるのですね。
陵一さん: そう思っていただけると嬉しいですね。社員の皆様も私と同じくらいの年齢の職人に手直しの指示を出すのって、最初はきっと少し緊張したり、気を遣ったりして大変だと思うんです。だからこそ、私は親身に接したいですし、一生懸命やってくれている仕事のプロセスを、私の対応の遅れのせいで停滞させたくないです。お互いに気持ちよく現場を進められるような環境を作ることこそが、元請企業と協力会社とのあるべき心地よい関係性だと思っています。

絵理さん: 現場の若い担当者の方々と直接顔を合わせてお話しする中で、「若尾さん、実はこういう角度の完了写真があると、品質管理の部署でも一発でビフォーアフターの確認ができて、手戻りなく次の承認に回せるんです」という具体的な声を直接教えてもらう機会があったんです。それなら、次からはそのお互いに納得した見やすいアングルのお手本に沿うような形で写真を撮って登録しよう、という風に現場発信でやり取りを積み重ねてきました。デジタルツールを単なる報告の義務として使うのではなく、お互いの信頼関係を深めて現場をより良くするための道具として活用できているのが、全国3位という結果に繋がったポイントかもしれません。
次世代に繋ぐ「開かれた現場」の重要性
──若尾組建築様が、日常の業務の中で自然体でANDPADを活用し、元請企業様との信頼関係のもとで高い成果を残されている素晴らしい実態がよく分かりました。それでは最後に、若尾組建築様の今後の目標や、これからの大工業界全体が取り組むべき人手不足といった大きな課題に対して、感じられていることがあればぜひお聞かせください。
陵一さん: 私たちとしては、毎日現場でやるべき当たり前の仕事を当たり前にやっていただけですからね。でも、こうしてデータとして自分たちの日常の頑張りを全国3位という形できちんと評価していただけたことは、本当に大きな自信になりましたし、これまでの取り組みが間違っていなかったんだなと実感できて何より嬉しかったです。今後の目標としては、今回の受賞の喜びを大きな糧にして、お施主様のために誠実な住まいづくりを継続していくこと、これに尽きますね。
──現在の建設業界における深刻な大工不足や若手のなり手減少が叫ばれている課題に対して、ベテランの視点からどのようなアプローチが必要だと感じますか。
陵一さん: 今の若い世代の方たちが「大工の世界って、マニュアルもなくて背中を見て覚えろと言われそうで不安だ」と感じて一歩を踏み出せない現状は、業界全体として真摯に変えていかなければならないと感じています。昔ながらの職人気質な教育に頼るのではなく、作業の手順をしっかりとレベル別にマニュアル化して、育成の段階をしっかりと可視化してあげることが、今の若い方たちに安心感を持ってもらい、確実に技術を継承していくために必要不可欠だと思いますね。もちろん、それに見合った待遇の改善や、安心して働き続けられる環境づくりも大前提として取り組んでいくべき課題だと思います。

絵理さん: 私は、大工という素晴らしい職業を子どもたちの憧れの対象にするために、現場を「地域に開かれた場所」にしていくことがすごく重要なんじゃないかなと思っています。今はどうしても安全面や防犯の都合上、工事現場の周りを高いフェンスやシートで囲ってしまって、外部からは中が全く見えない閉ざされた空間になりがちですよね。もちろん危ない場所ではあるので安全第一ですが、例えばお施主様のご家族が子ども連れで頻繁に現場に遊びに来てくれたり、地域の子どもたちが学校帰りに大工さんが格好よく作業している姿を間近で見学できたりするような、もっとオープンで開かれた現場づくりの仕組みを模索していくべきだと思うんです。
陵一さん: 子どもの頃に現場で大工さんが木を削るいい匂いを感じたり、職人さんのかっこいい背中を見たりした体験って、大人になっても心に残り続けますからね。そうやって、消防士さんや警察官のように、子どもたちの誰もが「大きくなったら大工さんになりたい!」と自然に憧れを抱いてくれるような身近な存在を目指していきたいです。
ANDPADのようなデジタルツールを最大限に使いこなすことで、現場の無駄な時間や事務処理の工数を徹底的に削減し、そこで新しく生まれた時間と心の余裕を使って、そうした次世代の育成や、お施主様とのより深いコミュニケーション、並びに家を建てた後の維持メンテナンスといった、本当に価値のある未来のための活動に力を注いでいきたいと考えています。今後も、お施主様の最高の笑顔のために、一歩一歩ひたむきに住まいづくりに向き合い続けていきます。

(左から)アンドパッド齋藤、陵一さん、絵理さん

若尾組建築の若尾陵一さんと絵理さんのお話から深く伝わってきたのは、ANDPADを使いこなす操作の技術以上に、その根底にある「目の前の相手を徹底して想う誠実さ」だ。
現場を美しく、安全に保つのもお施主様のため。指摘された是正箇所を即座に施工し、複数角度からの分かりやすい完了写真をアップロードするのも、ひとえに元請企業の一生懸命な若い社員たちを思い、お施主様のためにともにより良い仕事をしたいという、ベテラン職人ならではの温かなプロ意識と信頼関係の表れである。
デジタルのリアルタイムなスピード感と、大工職人としての確かな誇りを融合させながら、夫婦で歩みを進める若尾組建築のスタイル。この真摯な住まいづくりのあり方は、人手不足や若手減少に直面するこれからの建築業界において、次世代へ技術と想いを繋ぐための大きな道標となるだろう。

ANDPAD AWARD 2026「ベスト検査ユーザー賞」のご受賞、誠におめでとうございます! 徹底した現場美化や、元請企業様を気遣った是正写真を送るホスピタリティ。そして、苦手だったデジタルに毎日実直に向き合い、ご夫婦の素晴らしい連携で圧倒的な施工スピードと品質を両立されている姿勢は本当に見事の一言です。 これからも、若尾組建築様のご発展に寄与させていただきたいです。

| URL | https://web.suke-dachi.jp/u/d23f2ed27bd8493590f2bfd51cf39022 |
|---|---|
| 代表者 | 若尾陵一 |
| 設立 | 2003年 |














