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アーキテックス|多視点からより良い顧客体験を築く!工程表の多角的運用〜前編〜

学びとリスク管理能力から生まれた、お客様に寄り添う現場管理

目次

  1. 「成長性」と「人」に魅力を感じ、全くの異業種からの転職を決意
  2. チームメンバーと互いに助け合いながら、お客様の要望を叶えていく
  3. お客様と密にコミュニケーションを取り、ご安心いただく

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、日々ANDPADの工程表を更新・活用し、常に最新の工程情報を関係者全員に届けることで、現場の円滑進行に寄与したユーザーに贈呈する「ベスト工程表ユーザー賞」2位を受賞した、アーキテックス株式会社 リフォーム事業部 工務の岩原基樹さんにお話を伺った。

アーキテックス株式会社は、愛知県岡崎市に本社を置く「住まい方の総合デベロッパー企業」だ。ライフステージの変化によって変わる「住まい」についてワンストップで対応するために新築事業・リフォーム事業・不動産事業を幅広く展開し、地域で暮らす人々のニーズに応え続けている。1998年の設立以来、西三河エリアを中心に、愛知県全域・静岡県に続々と拠点を開設し、右肩上がりの成長を続けている。

今回、「ベスト工程表ユーザー賞」2位を受賞した岩原さんは、水回りリフォーム、間取り改修・増改築などに幅広く対応している、同社のリフォーム事業部に所属する1人だ。お客様目線での現場管理を第一に、緻密なスケジュール管理と丁寧な仕事で多くのお客様から信頼を得ている。

そんな岩原さんは、もともとは名古屋音楽シーン最大級のクラブで店舗運営全般に携わっていた経歴を持つ。全くの異業種からの転職で、入社当初は苦労もあったが、入社のタイミングから導入がスタートしていたANDPADを活用してお客様・社内・協力会社とコミュニケーションを重ねながら経験を積んでいった。

また、実行予算と完工粗利のギャップを1件ずつ検証し、粗利を下げるリスクを洗い出し、改善を重ねながら独自のノウハウを確立させ、完工粗利の安定化を実現。完工粗利率の高い工務担当として社内でも一目置かれる存在となり、現在は自らの経験を活かして未経験者・新卒社員のフォローも担当する。

「お客様のため」「協力会社のため」にスケジュール管理を徹底する岩原さんは、ANDPADの工程表機能への理解が深く、活用度が非常に高い。誰もが見やすく、工事の進行をスムーズに把握できる岩原さんの工程表活用術には、リフォーム事業に関わる方々にとってたくさんのヒントが詰まっている。


「成長性」と「人」に魅力を感じ、全くの異業種からの転職を決意

──ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベスト工程表ユーザー賞」2位の受賞、おめでとうございます!最初に、受賞の知らせをお聞きになったときの率直な感想をお聞かせください。

 岩原さん: 受賞の知らせを聞いたときは驚きました。日々当たり前のようにANDPADを利用していたので、「賞をいただくような特別なことはしていないのに…」と感じたのが正直なところです(笑)。

アーキテックス株式会社 リフォーム事業部 工務 岩原基樹さん

──今回はぜひトップユーザーである岩原さんの「当たり前」の活用方法をお聞かせいただきたいと思います。まずは、貴社に入社してから、岩原さんがどんな業務を担当してきたか教えていただけますか?

岩原さん: 私は2018年に中途で入社して以来、リフォーム事業部で勤務しています。入社当時は営業兼工務として、お客様への提案から現場管理まで一貫して携わり、2021年からは同じ部署のメンバーのフォローも担当しています。プライベートでは、2022年から1年間、第二子の誕生にあわせて育児休業を取得しました。現在は、施工管理をメインで手がけるチームの一員として、実行予算・工程表の作成、発注業務、現場管理まで担当しています。

──岩原さんは、建築業界からの転職なのでしょうか?

岩原さん: いいえ、異業種からの転職です。アメリカの大学でサウンド・エンジニアリングを学び、卒業後は音楽業界に携わりたいと思い、大型クラブの社員として店舗運営全般に従事していました。人事・経理といったバックオフィス業務からイベント企画・運営、仕入れまで、業務の幅は広かったです。名古屋でも最大級のクラブだったため、ハロウィンイベントには5,000人ほどのお客様がいらっしゃいましたね。

──学生時代の専攻から音楽産業に身を置いていた岩原さんがなぜ貴社に転職を決められたのでしょうか?

岩原さん: 妻との婚約がきっかけです。新生活をスタートするにあたって、将来的には子どもの行事にも参加できる環境で働きたいと考え、夜型から昼型の勤務に切り替えるために転職活動をはじめました。

当社に出会ったのは、転職アドバイザーからの紹介です。「これから急成長しそうな会社」と聞いて興味を持って面接を受けたところ、社長の近藤に出会い、「この人のもとで働きたい!」と感じました。ですから、業界というよりは「人」に惹かれて入社を決めた感覚です。

──近藤社長の魅力的な人柄に加え、貴社の成長性にも興味を持たれたとのことですが、2018年の入社から現在までで、岩原さんも自社の成長は感じていらっしゃいますか?

岩原さん: 入社当時から拠点は増え続けていますし、現在も社員一丸となって店舗の新規出店・エリア拡大に取り組んでいるので、まだまだ成長過程にある会社だと感じています。

──リフォーム事業部の体制、担当棟数についても教えていただけますか?

岩原さん: リフォーム事業部には約60名が所属しています。そのうち工務に特化した担当は6名で、これから配属予定の新卒社員が1名います。2023年から2024年にかけての、私たち工務担当7名が対応したリフォーム棟数は546件でしたが、今後もさらに増やしていきたいと考えています。

──入社当時は、営業兼工務でスタートされたとのことですが、今は営工分離体制を取られているのでしょうか?

岩原さん: 案件の規模や内容によって体制を変えています。トイレの取替え工事といった1週間程度で工事が完了する小規模案件は、お客様への提案から現場管理まで営工一貫で担当します。ただ、大規模案件や複合工事の場合は見積もり作成が複雑になるため、その際はリフォーム事業部内の「営業に長けている人」と「工務に長けている人」がタッグを組み、それぞれの業務に集中して対応しています。

──岡崎市は人口増加が続く街としても注目されていますが、現在はどんなリフォームのニーズが多いでしょうか?

岩原さん: 既にお住まいになっている物件をリフォームするお客様は減少傾向にあると思います。ただ、1件ごとのリフォームの規模は大きくなっています。数年前までは小規模リフォームの件数が多かったのですが、コロナ禍でのステイホーム期間を経て自宅を見直す動きが高まり、気になる箇所をまとめてリフォームするお客様や、単価の高いシステムキッチンに変えられたりするお客様が増えていると感じています。中古物件の購入にあたってリノベーションをするお客様の数は以前とあまり変わりませんが、これから増えていくと見込んでいます。


チームメンバーと互いに助け合いながら、お客様の要望を叶えていく

──現在は、メンバーのフォローも担当されているとのことでしたが、部下は何名くらいいらっしゃるのでしょうか?

岩原さん: 当社のリフォーム事業部では、上司が直属の部下を持って管理する体制は採用していないんです。その代わり、チームメンバー全員で情報共有をし、お互いに助け合って現場管理を進めています。ひとりでは完結できない業務も多くありますから、先輩・後輩関係なく、チームで困っている人がいたら手を差し伸べるような雰囲気が自然と生まれています。

ただ、未経験で入社してくる新卒社員、中途社員には直接私がフォローに入ったり、場合によってはすでに関わっているメンバーのサブとして間接的にサポートしています。この時、ANDPADでその案件に私自身も参加しているため、最新の情報をベースに相談に乗ることができ、スムーズなサポートにつながっています。

──前職で培ったスキルが活きていると感じることはありますか?

岩原さん: 先の状況を予測し、仮説を立てながら行動するのは、前職も施工管理も変わらないですね。突発的な事態が起きたときの判断や対応にも、前職の経験が活きていると感じます。

──岩原さんは、どんなときに仕事のやりがいを実感しますか?

岩原さん: リフォームは、構造や予算、工期など、さまざまな制約があるなかで、お客様のご要望を形にしていく仕事です一筋縄ではいかない難しい案件もありますが、自分の頭をフル回転して対応したり、チームのメンバーの助けを借りたりして、最終的にお客様の要望を叶えられたときにはやりがいを感じます。お引き渡しをしたときに、お客様から「ありがとう」「満足したリフォームができた」といった言葉をいただくと、頑張って良かったと思いますし、次の仕事へのモチベーションになります。

最近、私が営業兼工務として働いていた当時のお客様から「岩原さんはいますか?」と3〜4件ほどお問い合わせがあったんです。名前を覚えてくださって指名でご連絡をいただいたのは嬉しかったですね。

──お客様からの感謝の言葉や、指名での問い合わせは、岩原さんのきめ細やかな対応と、お客様に寄り添う姿勢が実を結んだ証ですね。素晴らしい信頼関係を築かれていることが伝わってきます!貴社に入社されてから、岩原さんのターニングポイントになった出来事があれば教えてください。

岩原さん: 私は、比較的早い段階で現場の第一線に出させてもらったのですが、未経験での入社だったため、やはり1年目は苦労の連続でした。印象的なのは、入社3カ月のころに担当したお風呂リフォームの案件です。当社では、未経験入社の社員は、まずトイレリフォームからスタートし、徐々に洗面所、お風呂、キッチンへと対応領域を広げ、複合工事へとステップアップしていきます。入社3カ月ごろの私は、まだトイレリフォームを勉強しているような段階でしたが、「お風呂リフォームの現場管理を任せる」と言っていただいたときは、「本当に自分にできるのだろうか」と不安になったことを覚えています。

そのお風呂リフォームの案件は、当時のリーダーがしっかりフォローしてくださったおかげで、何とか無事に現場を納めることができました。大変ではありましたが、新しい案件にチャレンジすることで、徐々に知識も身につき、現場を見る目も養うことができたと感じています。

──未経験者ならではの苦労を今は周囲のフォローに活かしていらっしゃいますか?

岩原さん: そうですね。未経験で入社する不安や苦労は身に染みて感じているので、新しく入社するメンバーには、「わからなくて当たり前」「不安で当たり前」を大前提に指導やフォローにあたるようにしています。




お客様と密にコミュニケーションを取り、ご安心いただく

──では、岩原さんが現場管理において徹底していることを3つ挙げるとしたら、何を挙げるか教えていただけますか?

岩原さん: 私の現場管理の特徴を一言で表すと「リスクヘッジ」だと思っています。ですから、徹底していることを3つを挙げるとしたら、すべてリスクヘッジに関わるポイントになります。

1つ目は、着工前の現場確認です。必ず現場を自分の目で見て、問題になりそうな部分、解体したら想定外の事態が起きそうな箇所を予測的に洗い出し、数パターンの対策を練っておきます。その箇所に協力会社さんの工事が絡む場合は、事前にリスクと対策を協力会社さんにも共有し、何か起きることを前提にした工程を仮で組んでおきます。

当社の契約約款には、「解体後に判明した損傷・構造などに対応する工事が発生した場合、追加請求をさせていただく」と明記してはいます。ただ、現場で見落としてしまったケースは請求をさせていただくことが難しいので、コストがかさむリスクを避けるためにも現地調査での確認は徹底するようにしています。

2つ目は、着工前にお客様とお話をし、リスクを抑えることです。着工前の立ち会いでは、1時間半〜2時間程度かけてしっかりお話を伺い、営業担当とお客様の間の認識に齟齬がないかを確認します。同時に、私たち工務担当の目線から、お客様の生活がもっと便利になるような提案もさせていただきます。着工中や引き渡し後にお客様が「やっぱりこうすれば良かった…」と後悔しないようにするための取り組みです。

3つ目は、工事期間中もお客様とお話をし、ご意向の確認をしていくことです。着工前だけではなく、工事中にもリスクの芽を摘んでおかないと、引き渡し日までの期間に急ピッチで修正工事や追加工事に対応しなければならなくなりますから。

岩原さん: 特にお客様がご在宅で工事を行う場合は、お客様のすぐ近くで工事が進行していきますので、お客様の様子をしっかり把握した上で、コミュニケーションを取る機会をどの程度設けるかを検討しています。お客様が詳細な報告を望んでいる場合は、こまめに顔を出すこともありますし、信頼して「お任せするよ」と言ってくださる場合は要所要所で顔を出してお話をしています。

お客様がご不在の状態で工事を進める場合は、解体であったり、間取りであったり、お客様がこだわっている工事に合わせて現場へ来ていただき、立ち会いをお願いします。工事品質と完工粗利を高い水準でキープするためにも、お客様とのコミュニケーションは欠かせないですね。

全くの未経験から同社に飛び込み、仲間の助けを借りながら、実直に成長を続けてきた岩原さん。未経験者だからこそ気づけるフォローや、営業を経験したからこそ備わったお客様目線を強みに、社内外の関係者から厚い信頼を得ている。着工前から引き渡しまで、お客様の満足度に関わるリスクを最大限抑えているのも注目すべきポイントだ。

後編では、岩原さんが編み出した誰が見ても「わかりやすい」工程表の作成方法をはじめ、同社の評価制度、業務フローに焦点を当てながら、完工粗利を高い水準でキープする岩原さんの現場管理術を深掘りしていく。

アーキテックス株式会社
URLhttps://architex.jp/
代表者代表取締役 近藤 剛
創立1998年1月
本社愛知県岡崎市柱町折戸20番地
取材・編集: 平賀豊麻
編集: 原澤香織、齋藤夏美
執筆:保科美里
デザイン: 森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当:萩原健介、添島孝太
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