目次
ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。本記事では「ベスト検査ユーザー賞」全国2位を受賞した、株式会社トーヨー化成 工事部主任の鷲尾真人さんにお話を伺った。

福岡エリアを中心に、マンションや住宅の外壁診断から改修・修繕工事までを幅広く手掛ける株式会社トーヨー化成。同社で工事部主任を務める鷲尾さんは、主に福岡の地場大手ゼネコンである上村建設株式会社の一次請け企業の現場責任者として、数多くの大規模修繕現場の管理を担っている。
2020年に元請企業である上村建設からの招待を受け、ANDPADの利用をスタートした鷲尾さん。今回の受賞理由は、何よりも「是正対応の早さ」と「是正箇所への写真添付率の高さ」にある。上村建設の担当者様からも高く評価を受けている。
そもそも2015年に異業種から転身し、現場で着実にキャリアを積み重ねてきた鷲尾さん。現在では、元請企業である上村建設から名指しで評価される現場の要として、多くの大規模修繕現場を支えている。
「自分がやっていることは当たり前のこと」と控えめに語る鷲尾さんの仕事観と、居住者への細やかな配慮、そしてIT活用により生み出された現場の好循環の秘密に迫る。

全国2位を支える「当たり前」の哲学
──ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「ベスト検査ユーザー賞」全国2位の受賞、誠におめでとうございます! 元請企業である上村建設のご担当者様からも「鷲尾さんの対応が本当に素晴らしく、自分もすごく嬉しい」と絶賛のお声をいただいています。まずは率直な感想をお聞かせください。
鷲尾さん: ありがとうございます。受賞の知らせを聞いた時は、正直「そんな賞があるのか」と驚きました。上村建設のご担当者様とは事務所でお会いした時に話すこともありますが、決められたルールに沿ってやっているだけですので、自分がそれほど評価されているとは思いませんでした。

株式会社トーヨー化成 工事部主任の鷲尾真人さん
──その「決められたことを当たり前にやり切る」レベルが圧倒的に高いのだと思います。鷲尾さんが現在担当されているお仕事について教えてください。
鷲尾さん: リフォームや大規模修繕工事の現場管理です。当社は上村建設様からお仕事をいただくことが多く、私の担当も上村建設様の案件が中心です。一次請けの立場で現場に入り、二次請けとなる職人さんや協力会社さんの工程管理、品質管理、安全管理を行うのが主な業務です。現場の規模は1,000万円から2,000万円くらいのものが多いですが、大きいものだと2億円規模の現場を任されることもあります。
──福岡エリアならではの工事の特徴などはあるのでしょうか?
鷲尾さん: 福岡の工事は沿岸部で行われることが多いので、潮風による塩害の影響が出やすいですね。特に鉄部はサビがひどく進行しているケースも多く、ただ塗り直すだけでなく、部品そのものを交換した方が良いと判断することもあります。外壁診断から入り、補修、シーリング、タイル、塗装、防水と、一連の工程をしっかりと管理していく必要があります。
──鷲尾さんは2015年にトーヨー化成様に入社されていますが、それ以前は全く別の業界にいらっしゃったと伺いました。
鷲尾さん: 最初は農業で、ネギの栽培をメインに行っている農家で働いていました。種まきから収穫の手前までの作業を担当していましたね。その後、土木系の仕事を経て、今の会社に入社しました。
──未経験からの挑戦に抵抗や不安はありませんでしたか?
鷲尾さん: 当社の社長が、私が小学生の頃に入っていた野球チームの後輩の親御さんだったのです。大人になってからも草野球の繋がりなどで顔を合わせたときに「うちに来ればいい」と誘ってもらったのがきっかけでした。知っている人がいる環境でしたし、あまり不安や心配はしていませんでしたね。現場に入ってからは、上司や職人さんたちの背中を見ながら、現場で一つひとつ仕事を覚えていきました。

──素直で真っ直ぐなお人柄が伝わってきます。そんな鷲尾さんですが、2020年に上村建設様からの招待でANDPADを使い始めた当初、ITツールに対する抵抗感はありましたか?
鷲尾さん: 元請企業様が現場全体の品質や管理精度を高めるために導入されているものとは理解していましたが、最初は少しだけ「全部見られる、監視される」という心理的な抵抗感がありました。しかし、決められたルールに沿って使っていくうち、必要な業務が整理されて早く進んだのです。「元請企業様にとっても、自分にとっても、仕事が進めやすくなるな」と実感して、イメージが変わりましたね。
──そこからどのようにして、全国トップクラスの使いこなしへと変化していったのでしょうか。
鷲尾さん: 元請企業様の「このように使ってほしい」というルールが明確だったことが功を奏したと思います。自分でもANDPADのメリットを実感していたので、「とにかくその通りに使ってみよう」と意識して、現場でコツコツと使い続けることができました。それを6年間、積み上げてきた結果、精度とスピードが上がってきたのだと思います。

鷲尾さんのスマホを見せていただくと、ANDPADの各種アプリがフォルダにまとめられホーム画面のDock(ドック)に配置されていた。毎日、現場や移動中に何度も開いていただいていることが伝わってきます。
──早くから「使えば使うほど、ご自身のメリットになる」と実感されたことは大きかったのですね。
鷲尾さん: そうなると、自然とANDPADを触ることにも前向きになりますよね。今ではスマートフォンのホーム画面の最も使いやすい場所にANDPADのアプリを置き、よく確認するようにしています。それくらい頻繁に当たり前に使っているアプリになっていますね。
大規模修繕の流儀:居住者の生活を守る「誠実な配慮」
──元請企業の上村建設様は、工事中の近隣対応や居住者様への配慮を非常に大切にされています。新築現場とは異なり、人が生活している空間に足場を組んで行う大規模修繕ならではの難しさや、鷲尾さんが特に気を配っているポイントを教えてください。
鷲尾さん: 最も意識するのは、作業をする時の騒音や匂いへの配慮ですね。バルコニーで作業していると、室内にいる居住者様の話し声が聞こえることも。それは裏返せば、作業音や職人さん同士の話し声も中へ筒抜けになるほど距離が近いということです。そのため、夏の暑さでの作業など安全面での注意も欠かせませんが、居住者様への配慮に関しても、職人さんたちにも十分気をつけてもらうよう声かけをしています。

(左から)アンドパッドコミュニティマネージャーの平賀と鷲尾さん。居住者様の暮らしに寄り添う、鷲尾さんの細やかなこころづかいに深く共感したインタビューでした。
──居住者の方のストレスに直結する部分へのケアですね。匂いについては具体的にどのような対策を取られているのでしょうか。
鷲尾さん: 防水工事で使用する塗料の匂いにも非常に気を遣っています。例えば、換気フード(換気口)をしっかりと養生して、室内に匂いが入らないように塞ぐといった対策です。この換気フードの養生状況なども、居住者様の生活の質に直結する箇所です。大規模修繕の施工品質の管理として居住者様の体験についてもしっかりと管理をしているということを元請企業様に対して記録として示す意味でも、ANDPADで事前・事後の写真を撮って、精緻な報告をするようにしています。
──養生に関して、他に意識していることはありますか?
鷲尾さん: 近隣の車への対応ですね。外壁の診断をして、ひび割れなどがあるタイルを補修する際、目地の4隅にカッターを入れたり剥がしたりするのですが、その時に細かい粉塵がどうしても出てしまいます。塗装の飛散もそうですが、これがもし居住者の方々の駐車場、あるいは近隣の駐車場に停まっている車に飛んで付着してしまったら、大きなクレームに繋がるので、細心の注意を払っています。
──車を粉塵や塗料から守るために、どのような対応をされているのでしょうか。
鷲尾さん: 近くの車には必ず専用の養生カバーをかけさせていただきます。上村建設様からも「車の養生をした写真をANDPADに登録するように」と言われています。万が一、あとから「車に何かがついた」とお問い合わせがあった場合でも、事前と事後にしっかりと養生をして対策をしている写真を証拠として残しておけば、私たち自身の身を守ることにも繋がります。元請企業様や居住者の方々に対する誠実な仕事の証明にもなります。
──居住者様への事前周知なども、鷲尾さんがご自身で手配されていると伺いました。
鷲尾さん: 上村建設様が用意してくれている案内チラシのひな形があるので、それを現場の工程に合わせて内容を調整し、匂いや音が出る作業の3日程前には近隣や居住者様のポストに投函しています。現場で直接お会いできるタイミングがあれば、居住者の方々へのお声がけもしていますね。

福岡県内の保育所の修繕後に、先生や子どもたちから届いていた感謝のお手紙。トーヨー化成様の丁寧で温かい仕事が、地域の方々の安心とたくさんの笑顔に繋がっています。

ANDPAD検査の活用が生む、移動の負担を減らし、現場の質に集中できる価値
──今回高く評価された品質管理と安全管理の検査において、「ANDPAD検査」をどのように活用されていますか?
鷲尾さん: 品質管理については、主に「足場解体前」と「引き渡し前」のときに利用しています。安全管理については「足場組み立て時」と「足場解体時」ですね。基本的には、上村建設様が社内検査(自主検査)を行って、その結果として「ここのラインを真っ直ぐに出してほしい」「タイルの目地の細かい汚れを洗浄して落としてほしい」といった是正依頼が、写真付きで送られてくるのです。私たちはその依頼に対して是正対応を行い、完了した箇所の写真をANDPAD検査にアップして報告する、という流れです。
──鷲尾さんは、この是正依頼に対する「対応の早さ」と「写真の添付率」が全国トップクラスでした。スピーディーにこなすための秘訣はあるのでしょうか?
鷲尾さん: 足場の解体日が前もって決まっているので、それまでに是正を終わらせているだけ、というのが本音です。ただ、写真をアップする際に強く意識している工夫があります。「元請企業様から送られてきた指摘箇所の写真と、是正後に自分が撮る写真の『角度』を完全に合わせる」ということです。違う角度から撮ると分かりにくいですし、元請企業様にとっても確認の負担が減ると思います。当たり前のことをやっているだけですが、それがお互いの信頼に繋がっているなら良かったです。

──素晴らしい配慮ですね。1日に3〜4件の現場を回るなどご多忙な中で、ANDPADを利用することで現場巡回などの働き方に変化はありましたか?
鷲尾さん: ANDPAD活用前は、すべて電話やLINEでやり取りをしていて、職人さんから「終わりました」と連絡が来ても、実際に現場に行って自分の目で確認しないと安心できませんでした。でも今は、二次請けの職人さんたちがANDPAD上で日報をはじめ、塗料の缶数や作業後の清掃状況などの写真をアップしてくれるので、現場に行かなくてもどこまで進んでいるか、きちんと仕上がっているか把握できます。
もし職人さんが撮ってくれた写真が少し違ったり、情報が足りなかったりした時は、現場に足を運びますが、基本的には職人さんたちの協力のおかげで、現場間の移動はかなり減ったのでありがたいです。
──ANDPADにきちんとしたエビデンスを残すことで、無駄を減らしながら、より質の高い現場管理ができるようになっているのですね。
鷲尾さん: おっしゃるとおりです。ANDPAD上の写真や記録を確認するだけで、現場の状況がわかりますので、不要な現場への往復を減らしつつ、品質の確認や居住者様への対応にしっかり時間をかけられるようになりました。また、関係者への情報共有もしやすくなったことも、仕事の質の向上に大きく貢献していると感じています。
──素晴らしいですね。鷲尾さんの手元から、仕事の早さと質が積み重なり、元請企業様からの信頼へと繋がっているのですね。

ANDPADチャットが生み出す意思決定の高速化と「先読み」の力
──ANDPADチャットも日常的に活用されているそうですが、導入前と比べてどのような点が便利になったと感じますか?
鷲尾さん: 一番変わったのは、関係各所とのやり取りのスピードと透明性です。ANDPADのチャットには、元請企業の上村建設様、一次請けの私たちトーヨー化成、そして二次請けの職人さんが同じグループに入っています。職人さんから現場で質問があった際、ANDPADのチャットに写真付きで投げてもらえば、元請企業様も同時にその現状を見ることができるので、「あいまいな伝言ゲーム」にならないのが便利ですね。

──具体的にどのような相談がチャットで行われることが多いのでしょうか?
鷲尾さん: 「見えない部分の納まり」や「最終的な仕上げをどうするか」という相談が多いです。大規模修繕は現場ごとに建物の造りが違うため、図面や事前の見積りでは見えなかった部分が、足場を組んで解体してみて初めて発覚することがよくあります。現場で「ここは塗装で仕上げるか、防水で納めるか」といった判断を迫られた時、あらかじめ上村建設様が定めた複数パターンのうちどれを採用するかスムーズに決められるので、現場の作業が止まる時間が大幅に短くなりました。
──全員が納得感を持ってスピーディーに進められる、理想的な体制ですね。また、鷲尾さんはご自身の担当現場だけでなく、「他の現場のチャット通知」も自主的に確認されていると伺いました。これにはどのような意図があるのでしょうか?
鷲尾さん: 私が担当している現場に入ってくれている職人さんや協力会社さんが、並行して自分が担当していない現場にも入っていることが多いんです。ですので、通知が来たらサッと目を通して進捗状況を把握しておくことで、「明日現場に入れそうだな」とか、逆に「あっちが遅れているから、こっちの工程も少し調整が必要かもしれない」といった予測が立てやすくなります。わざわざ電話で「明日、来れる?」と確認しなくても、ある程度の状況がチャットの流れで見えるのは非常に便利ですね。

協力会社を巻き込む工夫と、これからの展望
──一次請けである鷲尾さんがANDPADを活用することで、二次請け・協力会社の皆様にどのようなメリットが生まれていると感じますか?
鷲尾さん: 常用で入ってくれている協力会社さんには、ANDPADで日報を上げてもらうようにお願いしています。最初は面倒に感じる方もいるのですが、「足場解体時」や「引き渡し前」の施主検査の時に効果を実感していただけています。写真でしっかりと状況が把握できていれば、職人さん自身も「確認のために現場に呼び戻される」といった無駄な往復がなくなりますからね。業界全体で課題となっている「本来行かなくてよかった動き」を減らせているのはお互いにとって良いことだと思います。

──デジタルツールに抵抗がある、あるいは導入を躊躇している現場監督や職人さんに向けてメッセージをいただけますか?
鷲尾さん: 私自身も最初は抵抗がありましたが、慣れて、機能を覚えてしまえば、自分の仕事が確実に楽になります。移動の手間も減りますし、「言った・言わない」のコミュニケーションのストレスもなくなります。使い方が分からなくても、毎日同じことを繰り返していれば自然と慣れていくはずです。難しく考えず、まずは触ってみてほしいですね。
──最後に、鷲尾さんの今後の目標や展望をお聞かせください。
鷲尾さん: まずは「1級施工管理技士」の資格取得を目指しています。先日、2次検定に向けて申し込みをしたところです。資格を取って知識を深め、さらに品質の高い現場管理ができるようになりたいです。特別なことをするつもりはありません。これからも、決められた当たり前のことをやり切り、当たり前に記録を残すことで、お施主様や元請企業様からの信頼に応え続けていきたいと思います。

(左から)アンドパッドコミュニティマネージャーの平賀と鷲尾さん

「自分がやっていることは、当たり前のこと」「特別なことはしていませんよ」。インタビュー中にこうした言葉を繰り返していた鷲尾さん。しかし、大規模修繕という居住者の生活に直結する現場において、音や匂いに配慮し、粉塵から車を守るために養生をし、それを「誰が見ても分かる同じ角度の写真」で即座に報告するという“当たり前”の基準は、決して誰もが簡単に到達できるレベルのものではないだろう。
当初はITツールの活用に抵抗感を抱きながらも「覚えれば自分が楽になる」と素直に適応していった鷲尾さんの柔軟さ。その誠実な姿勢と正確な記録の積み重ねがデジタルを通じて可視化され、今回の「ベスト検査ユーザー賞」全国2位という快挙に繋がったのではないだろうか。
現場の最前線で、日々当たり前のことを当たり前に積み重ねるーー。その真摯な仕事ぶりにも感服するばかり。あらゆる現場を支える存在として、ANDPADもまた、より多くの方に寄り添えるものへと進化していかなければならない。そんな思いを新たにした取材だった。


鷲尾様の、指摘箇所と「まったく同じ角度」で写真を撮られる細やかなお気遣いや、対応の早さには本当に驚かされました。また、換気口や近隣のお車への養生を徹底し、「事前・事後」の記録をしっかり残して居住者様の生活を守る誠実なお仕事ぶりは、とても勉強になります。
日々の「当たり前」を高い次元で徹底し、元請企業様や職人さんとの間に固い信頼関係を築き上げるお仕事ぶりは本当に勉強になります。今後の更なるご活躍を心より応援しております!

| URL | http://www.toyo-kasei.com/ |
|---|---|
| 代表者 | 内田 靖人 |
| 設立 | 2004年 |
| 本社 | 福岡市博多区吉塚4丁目11-34 三益ビル5号 |















