WITHコロナ時代 変化する現場の働き方 導入事例インタビュー01

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齋賀 賢太郎氏
有限会社 齋賀設計工務
代表取締役 

 1974年7月に設立した有限会社さいが設計工務は今年で創業47年を迎える、超高性能を特徴とした「低燃費住宅」を専門に取り扱っている工務店だ。同社は埼玉県日高市に本社を構え、仙台市に拠点を持ち、埼玉県東部、東京都、仙台市のエリアで年間20棟を手掛けている。平均単価は2700-2800万円が主流で、顧客層は世帯年収700-800万円がボリュームゾーンだ。高性能住宅を求めてお客様自ら調べて問い合わせをしてくる「性能への意識の高い30‐40代」が多く、次の世代にも住み継ぐことのできる性能の高い住宅を求める購買層をターゲットとしている。同社がターゲットとしている顧客層のペルソナは、熱狂的、共感的な購買体験とは距離を置く、情報感度が高く、冷静で流されないデータ指向のクールな購買体験を求める、「理系」属性のお客様だという。

※取材日時は2020年4月16日であり、当時の情報にて本記事は書かれています。

仙台支店の立ち上げと、常態化していた手戻りの要因解消

仙台拠点の立ち上げを振り返って齋賀氏は次のように話し始めた。

「低燃費住宅グループ本部(現ウェルネストホーム)が仙台に支店を出すという話があがった際に、縁あって紹介で仙台の監督採用ができた。監督さえいれば職人を集めて工事を行えるということで、最初は本当に寄せ集めの部隊でだったが、仙台支店を立ち上げることができた。直営のウェルネストホームが受注した工事の請負を専門に行っているので、業務としては確定した仕様を建てていく工事専門部隊。ただ立ち上げ当初は手戻りが多かった。今でこそ低燃費住宅とウェルネストホームの2商品の製造に特化しているが、立ち上げ当初は付き合いでの仕事も多くあり、工事内容が多岐にわたっていた。そのため、確認事項も多く、人的コストがかかるため、結果として手戻りも多かった。今年から商品が絞られ仕様が決まってきたので、ようやくではあるが手戻りが発生しない状態ができてきた。ANDPADによらず、手戻りを防止するためにはまず製造工程を複雑にしないことが重要だ。」

ZOOMでのオンラインインタビュー。齋賀 賢太郎氏 有限会社さいが設計工務 代表取締役 

ANDPADを導入するに至った背景

2代目である齋賀氏は2018年に先代から事業を継承された。その際、<少ない人数でいかにやるか>ということをテーマに掲げ、ITツールを積極的に取り入れた業務改善に取り組んだという。
同社はもともと分譲で年間200棟を手掛ける工務店であったが、現在は仙台と合わせて年約30棟。売上でいえば分譲を手掛けていた時代に比べ大きく落ち込んでいるが、今後の生き残りを考え、早い段階で分譲から高性能の注文住宅にドメインを移し、住宅市場の中で"とがった"会社になるべく変革を課してきた。そして今では注文を専門とする会社として、経営が成り立つ状態に徐々に変貌を遂げてきた。
その変貌の足跡としてあるのが、一つ一つの改善の積み重ねだ。

「まず営業の人員を増やして受注を確保することから始めた。次にせっかく受注したものが、受注残になってはいけないので、工事の人員を増やしたかった。だが、監督の人材は不足していたため採用ではすぐに解決できない。受注に対して不足していた監督のリソースをANDPADによる効率化で相対的に増やし工務キャパを拡充した。」

監督の生産性を改善し受注残の解消に取り組んだ齋賀氏が次に投資をしたのは設計の人員増強だ。その狙いは「手戻りを無くすこと」だという。

「ANDPADを採用し工事の生産性を高めていったが、現場での細かい打ち合わせがどうしても減らなかった。そこで浮き彫りになったのが、設計の仕事の重要性だった。現在では設計が展開図や細かい詳細図面を作成し、現場はANDPADに上がっている図面に沿って工事を行うだけになっている。しかしそれまでは、細かく仕様を図面に起こせていなかったため、現場での職人と監督との仕様に関しての細かい打ち合わせが頻発していた。ANDPADを入れたことで、改善すべきポイントが見えるようになり、組織の課題に対して打ち手を迅速に講じることができるようになったのは非常に大きい。

クローズドとセミオープン、性弱説に基づくITツールの切り分け

「ANDPADを導入する以前から当社では社内情報共有用として、Talknote(チャットツール)とDropbox(ストレージサービス)を活用していました。この二つについてはあくまで、社内だけでの情報のやり取りを目的に社内限定のクローズドな運用をしています。一方で、協力業者も関わる情報共有や連絡についてはANDPADをある意味セミオープンな場として運用しています。人はミスをしてしまうものだという『性弱説』を前提として、ミスが起こりにくい業務環境を整えるようにしています。」

同社は2020年4月の緊急事態宣言発令後すぐにテレワークの意思決定をされ、スムーズにテレワーク移行していたこともあり、当時アンドパッド社内で非常に話題になっていたのだが、その成功要因としても目的に応じたコミュニケーションツールの使い分けが作用しているという。

「当社が緊急事態宣言後すぐにテレワークにスムーズに移行できたのには、大きく分けて2つのポイントがあります。 ひとつは、社員のITリテラシーを上げることを継続的にやってきたこと。そしてもうひとつはクローズドのSNS(Talknote)とセミオープンなSNS(ANDPAD)の双方を活用したことです。
実際にANDPADを導入して2年。社員のITリテラシーを高めるために社内のSNS社内外のセミオープンなSNSのコミュニケーションに慣れさせることを徹底的に取り組んできました。業務上、機微情報や社外秘の情報をやり取りすることは必ず発生しますが、それを電話やメールではなく、独立したビジネスに耐えうるSNSで運用することが極めて重要だと考えています。それを社内外のセミオープンな場であるANDPADでやろうとすると、社外に出していけない情報を出してしまうリスクや、運用上での心理的なコストを生んでしまう。だからこそ社外秘を含む社内での連絡のやり取りについては、社内限定のSNSで行うことが当たり前の状態にしておくがとても重要です。クローズド/セミオープン双方のITツールを「習慣化」するように取り組んでいたことで、コロナの影響を受けてもスムーズに環境に適応して事業継続を行えています。」

社内と同様で協力業者への浸透で重要なのは「習慣化」

協力業者へANDPADの利用を浸透させていくために、最も大事なのは「習慣」をいかに作るかだという。

社員が協力業者と会話するときは意識的にANDPADという言葉を出すように指導しています。また3か月に1回のペースで開催している、協力業者を招いた勉強会では、ANDPADを議題の中心として据えて業者の意識にANDPADが残るように働きかけています。経営方針の発表と併せて、アフターメンテナンスで発生した不具合や、現場の改善点を協力業者へお伝えする中で、ANDPADに関して話す時間をしっかりとっています。実際にブラウザのANDPADの画面をプロジェクターで投影しながら、案件について会話をしたり、スマートフォンのANDPADの画面を投影しながら、報告方法をレクチャーするなど、定期的に協力業者へ浸透するための時間を取っています。
 こちらが求める使い方についての説明を1回やっただけでは、イメージする運用にはなかなかなってはいきません。細かいことですが、会社が求めている報告を行っている業者をピックアップして、会の中で奨励したり、工程表に担当として紐づいている人が報告を上げてくださいといったルールを繰り返し伝えています。
大事なのは一回で終わると思わずに、細やかにこちらが求めていることを継続的に伝えていくことです。










これらは実際に経営方針発表会で用いられた資料の一部だ。

クレームのリスクは一生涯 徹底的にアフターメンテナンスにこだわる

広告宣伝費を抑えながらも、高い商談率と契約率を実現できる紹介施策に力をいれることが生産性の高い工務店の営業活動として当たり前になるなかで、同社は紹介獲得に消極的な姿勢を取る。

「今後住宅の購買はより一層贅沢な消費になっていくと考えます。同じ所得レベルの友人同士であればいいです、世の中の格差は広がり続けていく中で、友人の輪で紹介が行われる環境はどんどん少なくなっていくはずです。加えて、せっかく大きな買い物をして、特別な体験をしているのに、その体験を自分の所属するコミュニティの中で紹介してまわることで、せっかくの体験が陳腐化してしまうのを避けたいと考える消費者は増えていくのではないか。そうした考えで当社では紹介を重要視していません。」

そう齋賀氏は分析する一方で、紹介獲得よりも重要視していることとしてアフターメンテナンスを挙げた。将来的な機会損失につながるようなネガティブな口コミが発生しないよう、同社では徹底的にアフターメンテナンスに力をいれているという。

「建てたばっかりのお客様や、これから建てるというお客様がポジティブな反応を示すのは当たり前で、大事なのは住んでしばらく経ったお客様の不満をいかに無くすかです。当社では年間で修繕費用に約300万円程度使っており、これは地域工務店にしては決して少なくはない金額だと捉えています。私たちは、修繕に例えお金がかかったとしても、とにかく早く対応することを最優先にしています。お客様にとってポジティブな口コミより、ネガティブな口コミのほうが圧倒的に書き込みやすい。過去引き渡した2000世帯のお客様にとっては、それが10年前の建売だろうと、1年前の注文だろうと、どちらのお客様にとっても建てた工務店は『齋賀さん』であることは変わらないし、住み続ける限りそれは変わらない事実です。
これは先代の頃から大事にしていることですが、家を建てる以上は、オーナー様のために建てた家を守り続けなければならないと思っています。家を建てるということは、長年のローンを組んで、一生に一度の大きな買い物をするということです。だから当社では徹底的にアフターメンテナンスはこだわっています。」

実際に同社ではANDPADでどのようにアフターメンテナンス業務を運用されているのだろうか。業務の流れを伺った。

「当社ではアフターのデータはすべてANDPADに入れています。アフターはスピード感を最優先しており、通常の案件と区別できるように案件名の先頭に★印を付ける運用をしており、★で案件検索をすればアフターメンテナンスの案件が一覧で出せるようにしています。
アフターの電話が来たら、電話応答者はお客様のデータをANDPADでまず検索します。そのままANDPADの顧客データからすぐにアフターの案件を作り、社内の担当と関係する業者を案件に招待して、チャットで依頼を連絡する。もちろんアフターについては全件社長である自分が把握をするために、必ず案件には招待させています。併せて招待の抜け漏れが発生しないようにアフターメンテナンスのメンバーテンプレートも作成して、アフターメンテナンスが発生した際の徹底した運用をしいています。」 

写真 「★」検索をしてアフターメンテナンスの案件を抽出している画面

また同社で徹底しているアフターメンテナンスの運用ルールについて次のように語った。

「アフターメンテナンスの運用において注意しているのは、アフターメンテナンスの案件フロー(※1)の変更は担当個人では絶対に行わないこと。担当が個人の判断で個人タスクとして処理してしまうと万が一確認漏れや変更ミスが起きてしまった時に捕捉するのに時間がかかる。そうしたことがないように、必ず会議体の中で案件進捗を確認し、しっかりと工事完了が確認取れたものを、会議体の中で完工へと変更するようにしています。」

※1 ANDPADの案件の管理における機能の一つ。

新型コロナウイルスで受けた影響

同社がコロナウイルスで受けた影響の中で最も大きいものはキャッシュフローの悪化だという。

「部材供給が遅れて、工期が遅延し、お客様との引渡しができずにキャッシュがずれ込み、キャッシュフローが悪化しましたね。」

中国武漢発生した新型コロナウイルスの影響で、中国に工場を置く住設メーカーの多くの供給がストップし、2月の段階で住宅設備が納品されず、全国的にお引き渡しができない事象が発生したのは記憶に新しい。 新建ハウジングの記事でも紹介のあった匠法律事務所の秋野弁護士を顧問に迎える同社では、秋野弁護士からも「軽微な変更」など対応に関してのアドバイスをもらいながらも、住設がない状態での引き渡しは是としなかった。あくまでカスタマーチョイスを前提としながらも、お客様と話し合い、「軽微な変更」で引渡すか、遅延を許容していただき、納品されてからお引き渡しを行うか決めたという。

 納期を待ってもらう場合には、当然キャッシュは遅延する。事実3月期末の時点で3棟未納であったため、同社の2019年度の決算は数字上悪化した。とはいえ、外的影響で自社に帰責性の無い悪化である以上、負担をお客様に強いるよりは、資金調達を早急に行い流動性の高い融資を募ったほうが合理的だと判断され、銀行から融資を募った。ANDPADを入れたことで、年間の着工予定が平準化されるようになっていたこともあり、銀行との与信も問題なく、また景況感として融資を渋る理由も銀行にはなかったため、スムーズに融資を得たという。
また、齋賀氏は地域社会の買い占め問題にも違和感を呈されていた。

「マスクの買い占めと同じように、ホームセンターで住設を買い占めるような企業もあったが、そういうのはナンセンスだと思います。うちは絶対にそういうことはしません。自分さえよければよいのではなく、地域経済が正しくめぐるようにしないといけない。今はそれでいいかもしれないが、そうした経営だと長期的に信頼を得ることが難しいと考えています。だからこそ、当座運転できる資金を調達し、お客様にもお待ちいただける環境を整えました。結果的に待ってくれるお客様が多いのは、ある意味これまでの自社のブランディングとお客様層がマッチしているからだろうと分析しています。」

新型コロナウイルスによる新規受注や接客への影響について

新型コロナウイルスの感染拡大以降、お施主様とのお打合せなど営業の仕事についての影響を伺った。

「コロナ以前に直接お会いして接客したお客様からは、ZOOMで打ち合わせをできないかという要望をいただくことは多いですね。コロナ以降、新規の問い合わせは大きく減ってほぼゼロではありますが、2020年11月着工予定までの受注残があるため、今はお客様との仕様決めの打ち合わせ等をオンラインで行っている状態です。」

 年間通じて1年半前倒しに着工枠を埋められている同社では、目下2021年度の下準備を行っているという。

「2019年度は95%予定通り引き渡しが行えており(納材遅延起因の3棟引渡し遅延が起因)、2020年度も着工枠はすでに90%以上埋まっている。今取り組まなければいけないのは2021年度の着工枠。現時点で2割程度しか埋まっていないので、2021年度の新規の集客が現在の課題。ただどうしたって景気は悪化するのは明らかなので、新規の問い合わせは大きく回復すると楽観視はできない。2021年の前半の着工が空いてしまう状態に極力ならないように、問い合わせをいただいた顧客をいかに取り組むかが直近のテーマです。」

With コロナ 逆境で得ることのできたアフターコロナ「働き方」の選択肢

2020年4月8日に発令された緊急事態宣言を前に、4月7日より同社では一部テレワークへ移行された。工事部で一部出社が発生することはあるが、基本的には同社は直行直帰だという。女性スタッフ中心の設計や事務員については自宅からテレワークで不便なく業務にあたれており、そのポイントについて齋賀様は次のように語られた。

「コロナ発生以前より、ANDPAD、Talknote、Dropboxを基盤とした業務運用を徹底させており、社員全員が慣れていたことがポイントとして大きい。現場監督以外の社員はPCとインターネット環境さえあればどこでだって仕事ができる状況だ。一方で監督の仕事についてはどうしても現場に行くことは外せないし、仕事の多くは現場での超アナログな手仕事。それはANDPADを採用する前も後も変わらない。現場の仕事は人がいて、材料が入って、組み立てること。それは永遠に変わらないと思う。ただそれ以外の業務はITツールを活用して効率的に行うことができる。」

工務店の仕事の中にある不易流行を見定め、従業員の生産性を高めるために、早い段階からITの活用を行っていたからこそ、同社ではテレワークにスムーズに移行できたのだろう。実際にテレワークを順調に行えている状況に対して、アフターコロナでもテレワークを継続されるのか伺ってみた。

「コロナが落ち着いた後は基本的にはNOですね。ただそこも従業員がどう考えるかによって決めようと思っています。ただ、コロナのおかげで一気にテレワークに踏み切ったことで、<やり切れる>という一つの実感を得ることはできた。従業員によっては週に一回はテレワークを希望するということもありうるし、育休などライフワークバランスの変化にも対応することができる、いわばテレワークが「働き方」の選択肢の一つになった。工務店の業務の中には出社したほうが効率的な側面があるのも現状事実ではあるため、実際振り返れば、コロナがなかったらテレワークをやれる環境でもチャレンジをしてこなかったわけです。
 今回未曾有の事態ではありますが、コロナによって強制的にテレワークに移行することができた。これに関してはこうした逆境があってよかったなと思っています。」

テレワークへストレスなく、スムーズに移行されたように齋賀氏は語られるが、そこには当然、2代目として事業継承してからの約2年、着実に生産性を高めるためにITへの投資や人員の確保など、経営リソースの拡充に努められた成果あってのもの。with コロナで得た成功体験は会社にとって大きな資産となっている。

「品質の向上」/ANDPAD検査機能への期待

緊急事態宣言発令直後は先行きの見えない状況も相成り、新規の問い合わせはストップした。その分、コロナ発生前までに積み上げた見込み顧客への対応と、着工中の現場に集中している状況のため、普段より時間に余裕が持てている状況だという。そのため、現在同社では「ANDPAD検査」を導入し、施工品質をより高めることに時間を充てている。断熱性能を左右する工事の検査など、自社商品の価値を担保する品質管理業務を平準化するためにANDPAD検査の活用に目下取り組まれている。

「今年は品質向上に時間をかけるのが当社のテーマでもあるので、時間が出来た今だからこそ、監督に検査のフォーマットづくりに取り組んでもらっています。」

職人の安定確保に向けて、取り組みたい職人評価とANDPADへの期待

「いい仕事も悪い仕事も含め、職人さんを評価することを今後はしっかりと行っていきたいです。一方で、職人さんがこの会社に付いて行きたいと思ってもらう必要もあります。そのためにも、自社が受注を安定的、継続的に取ることと、金払いがいい状態を続けることが極めて重要です。
今後ANDPADで職人さんの実作業時間が見えてくるようになれば、職人さんの評価に役立てることができるので非常に期待しています。職人さんの評価というのは、腕のいい職人なのかどうか、なかなか会わないと判断が難しい側面があり、定量的に評価できる指標があるととても助かります。」

さらに生産性を向上することの目的について、こう話を続けられた。

「手間請けの場合は職人さん自身が手早く作業をし、一日の価値を高めることが重要です。職人さんにとってはより手離れよく稼ぎを増やしたいと考えるのが自然ですが、そこを大きく左右するのが工事監督のスキルです。当社がANDPADに投資を行ったことや、発注担当の社員を入れて監督の生産性を上げたのは、いわば時間をお金で買ったと表すこともできます。産出した時間を手離れのいい現場を作るために必要な現場管理のスキルを培う時間に充て、職人さんに喜んでもらえる環境を作ることが目的でもあります。ANDPADに投資するというのは、売上や粗利を上げるだけではなく、労働環境の整備や職人の評価、住宅の品質向上諸々を含めて、成長するための時間をお金で買うということだと考えています。

アフターコロナに向けて、「住む場所」の価値転換とどう向き合うか

コロナ以降「住む場所」に対しての価値観は大きな転換点を迎えました。
都会での仕事を前提とした一極集中の都市と住環境。オフィスのある街まで電車で通勤する人、地価の高いオフィスの近くで狭くとも合理的に生活をする人、コロナ以前は住む場所と仕事場に密接な関係がありました。
ところが、在宅ワークやリモートワークが当たり前になると地価の高い場所で狭い住環境に高い家賃を払って成立する生活とは別の選択肢、人それぞれが、それぞれの住みたい場所を自由に選ぶことが新たなスタンダードになってきたように感じます。
 齋賀氏はこうしたコロナ以降の「住む場所」に対して起きた価値転換を好機と捉えているようだ。

「住む場所が自由に選択することができれば、<なにを建てるか>ということが住宅購買においては最も重要になるでしょう。自社の顧客層のペルソナを解像度高く描き、ブランディングやマーケティングを通じ自社への流入を高めていきながら、その一方で超高性能住宅の品質にとことんこだわり続ることが、当社のターゲットとしているお客様にとってのオンリーワン工務店になる最も近道になりますからね。」

 今後、同社はオフラインでのリアルな接点をより多く獲得するために、リアルとオンラインをうまく使い分けた住宅販売を考えている。

「当社は埼玉県日高市に本社を構えていますが、先代がここに事務所を作った以外に実は特に理由はありません。コロナで一旦足踏みをしていますが、今年度は勝負をかけ、埼玉東部の都心部に出店することも検討をしていました。今でも、超高性能住宅への関心がある人は1時間かけても日高市の事務所まで足を運んでくれるようになりまたが、例えばそれが、より気軽に立ち寄れる場所でリアルな接点を設けられる機会を作ることができれば、来客数は増えるはず。アフターコロナであれば、初回接点をリアルで結び、お客様と会社との間で信頼関係を築くことがさえできれば、オンラインでの打ち合わせもカスタマーチョイスの一つとなるでしょう。」

自社のブランド価値をよく伝えるために、OMOといわれるようなオンラインとオフラインの接点を上手に設計し、顧客にとって最適な形で提供することを目指している。工務店にとって苦境となる、with コロナの時代において同社は、来るべきアフターコロナに向けて黙々と力を蓄え動いている。

「今回のコロナの影響で住宅業界は大きくふるいにかけられることになったと思います。キャッシュフローが安定していない、基盤がない、経営体力のない会社にとっては生き残ることが難しい時代だと言えるでしょう。当社はANDPADを実際に2年前に入れて基盤を作っていたこともあり、コロナで予定していた成長タイミングを逃しこそすれ、これで会社が弱体化することは全くありません。
 今後、労働人口が減っていく中でANDPADは絶対にいいツールです。監督が一人で10棟見ていたのが15棟見ることができるようになる、というのが全然あり得るツールです。また採用難が続く因子でもある、残業が多く長時間労働という業界のイメージですが、当社では残業時間は劇的に減らすことができました。

事務員は9‐17時の勤務で基本残業はありませんし、監督は8:30-17:30の勤務で1時間程度残業が発生しますが、基本18時台には帰ることができている。ANDPAD導入して以降、事務所に帰っての作業は本当に必要最低限のもの以外なくなりました。ANDPADに加え今年の4月から発注専門の社員を採用し、今では、監督が社外にいながらでもTalknoteやANDPADで発注担当に連絡をして効率的に業務を行うことができています。

また、ANDPAD導入して2年、年間通じて着工が平準化されてきています。前提として、営業が継続して受注し、ライン部隊である設計が同じペースで設計を行い、工事が効率よく建てていく。この三位一体がないと年間通じて着工は平準化されません。だからこそ当社ではまず工事の生産性を上げるためにANDPADを導入しました。
 今、コロナをきっかけに、テレワークや働き方改革で何らか導入を迷っている人がいるのであれば、ANDPADはやってみたらいいと思います。これを使えば即テレワークがうまくいくというわけではないが、一つの大きな要素には絶対になります。」

社名:有限会社 さいが設計工務
https://tnp-saitamanishi.com/n-company/
代表者:齋賀 賢太郎
設立:昭和49年7月
本社所在地:〒350-1205埼玉県日高市大字原宿773-1

取材・編集:平賀豊麻