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小川防災|ANDPADボードで叶える 設備工事会社の働き方改革〜前編〜

月の労働時間400時間が半分に。ANDPAD AWARD受賞企業が見せたDXの「その先」

目次

  1. 現場一筋20年以上。社外の職人からの紹介が、小川防災との出会い
  2. ANDPADボード導入の結果は「大成功」。月の労働時間は半分に
  3. DXの効果はオフィスにも。フリーアドレス化と福利厚生施設で「働きやすさ」へ投資

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も活用しているユーザーを称賛する「ANDPAD AWARD」のユーザー部門。今回は、「ベストボードユーザー賞」で全国3位に輝いた、株式会社小川防災 工事部 次長の岡部大喜さんにお話を伺った。

消火器販売業を営む個人店から出発し、現在では消防防災用設備工事だけではなく、電気設備工事・空調設備工事も幅広く手がける設備工事会社へと発展してきた株式会社小川防災。ビルやマンション、公共施設などに設置されている各種設備の保守点検から維持管理、設計・施工をワンストップで手がけ、多くの得意先から信頼を獲得している。

そんな同社は、ANDPADボードを活用してIT環境の整備とDXを推進し、その取り組みと成果から、ANDPAD AWARD 2023の「DXカンパニー部門」を受賞。会社全体のDX推進が評価されてから1年が経ち、同社の取り組みは社員一人ひとりの働き方に着実な変化をもたらしていた。特に岡部さんは、ANDPADボードの [個人予定] 機能を年間451回利用。これはアンドパッドが機能開発した当初の想定を上回る独創的な活用法であり、個人の働きやすさと組織の情報共有を両立させる大きなヒントが隠されている。社員の労働環境改善に課題を感じている方にとってきっと参考になるはずだ。

今回は、同社のDX推進を進める工事部 工事課 課長の石井一茂さんにも同席いただき、インタビューを実施。 前編では、昨年の受賞から現在までの驚くべき変化と、会社全体に広がるDXのポジティブな連鎖、そして受賞ユーザーである岡部さんのこれまでの歩みを紹介する。



現場一筋20年以上。社外の職人からの紹介が、小川防災との出会い

──ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベストボードユーザー賞」3位の受賞、おめでとうございます! まず、岡部さんのこれまでのご経歴についてお聞かせいただけますでしょうか。

岡部さん: 高校を卒業する間際の17歳のときに子どもが生まれたので、すぐに働かなければ、という状況でした。もともと高校時代に大工の親方のもとでアルバイトをしていたので、そのまま見習いとして働き始めました。ただ、見習いの給料では出産費用などを考えると厳しく、9カ月ほどで辞めることにしました。

株式会社小川防災 工事部 次長 岡部大喜さん

──そこから電気工事の道に進まれたのですね。

岡部さん: はい。現場仕事が好きでしたし、家庭を持ったので安定している会社組織で働きたいと考え、電気工事の会社を選びました。最初に入った会社では、飲食店の新築工事などを担当し、職人として社員の立場で働いていましたね。その後、より多様な経験を積むために転職し、店舗や住宅、工場など、改修からエアコン設置まで幅広く手がける会社で4年ほどスキルを磨きました。

──様々なご経験を積まれたのち、小川防災さんに入社されたきっかけは何だったのでしょうか。

岡部さん: スキルアップのためにもう一度転職を考えていて、実は次に働く会社も決まっていたんです。前の会社での勤務が残り1カ月くらいになったある日、たまたまコンビニで、一番最初の会社でお世話になった先輩に再会しました。「今何してるの?」と聞かれ、会社を辞めて次に行くことを話したら、「ぜひ会ってほしい人がいる」と。それが、当時の小川防災の工事部次長だったんです。

──すごい偶然ですね。

岡部さん: ええ。紹介してくれた先輩は小川防災の社員ではなく、一人親方として小川防災を手伝っている方でした。その先輩と次長が地元の同級生という縁で、飲みながら話す機会を設けてくれて。「うちに来なよ!」と誘っていただいたのがきっかけです。

──社員の方からではなく、外部の協力会社の職人さんから小川防災様を紹介されるというのはすごいですね。当時から社外の方との関係も大切にされてきた貴社の姿勢がうかがえます。

岡部さん: そう思います。私が入社した2005年当時は、まだ社員も12〜13名ほどの規模でした。以来、私はずっと工事部に所属しています。最初は職人として現場をこなし、2〜3年目くらいから徐々に見積もりや現場調査など、管理側の仕事も任せてもらうようになりました。経験者として入社したこともあり、比較的早い段階から色々な業務に携わらせてもらえたと感じています。



ANDPADボード導入の結果は「大成功」。月の労働時間は半分に

──そして昨年、会社として「ANDPAD AWARD 2023 DXカンパニー部門」を受賞されました。あれから1年、社内ではどのような変化がありましたか?

石井さん:  もう、大成功です。以前のインタビューでは「これから結果が出てくるところ」とお話ししましたが、明確に結果が出ました。一番大きな変化は、労働時間です。かつては、月の労働時間が400時間に達することもありました。日中は現場に出て、夕方会社に戻ってから予定調整や事務作業を行うので、夜遅くまで仕事をすることも、平日で終わらない分を土日に持ち越すこともザラでしたね。

同社 工事部 工事課 課長の石井一茂さんに、取材に同席いただいた。石井さんは2011年に同社に中途入社。電気工事会社・電気通信工事会社で経験を積んだ後、電気設備以外の工種にも幅広く携わりたいとの思いから同社に入社されている。「ANDPAD AWARD 2023 DXカンパニー部門」受賞のきっかけとなった、同社一丸となったDX推進の取り組みの旗振り役でもある。

──月400時間……! それが、現在はどうなったのでしょうか。

石井さん: 半分になりました。400時間が、200時間になったんです。

岡部さん: 本当に変わりましたよね。以前は、担当者が毎週、みんなの残業時間がどれくらいオーバーしているかを表にまとめて共有してくれていたんですが、その必要がなくなるほど改善されました。

──労働時間が半減とは、劇的な変化ですね。何が一番の要因だったのでしょうか。

石井さん: やはり、ANDPADボードを中心とした情報共有の仕組みが定着したことが大きいですね。その前はExcelで管理していましたが、さらにその前はメールでした。

岡部さん: そうそう、メールでしたね。全員の翌日の予定と現場の住所を書いて、一斉送信するんです。それがExcelになっただけでも当時は画期的だと思いましたが、ANDPADが入ってからは比較にならないくらい効率化されました。

石井さん: 今はまだANDPAD施工管理との連携を使いこなす途中で、これからさらに一元化を進めていく段階ですが、ANDPADボードだけでもこれだけの効果が出ています。



DXの効果はオフィスにも。フリーアドレス化と福利厚生施設で「働きやすさ」へ投資

──素晴らしい成果ですね。会社全体でDXに対する雰囲気に変化はありましたか?

石井さん: 社長自身が非常に前向きで、どんどん新しい意見を出してくれます。その影響もあって、社内はとても柔軟な雰囲気ですよ。実は今度、事務所の大規模なレイアウト変更を計画しているんです。

岡部さん: レイアウト変更というか、もはや改修工事に近いですね。いわゆる“今風”のオフィスに生まれ変わります。

石井さん: 具体的には、フリーアドレスを導入します。これもDXの一環で、ペーパーレス化をさらに推し進める狙いがあります。書類をクラウド化すれば、どこでも仕事ができるので固定席は必要ない、という考え方です。日中のオフィスの稼働率も50%に満たない日が多いので、空いたスペースはリラックススペースにしようかと。

エントランスに飾られていた、ANDPAD AWARD 2023 DXカンパニー部門 受賞トロフィー

──物理的なオフィス環境もDXと連動して進化させていくのですね。

岡部さん: それだけではありません。今、「ウェルネスタワー」と名付けた第二社屋を建設中なんです。3階建てのビルで、メインは社員のための福利厚生施設。ジムやシミュレーションゴルフなどを設置する予定です。

石井さん: うちの社長が「健康第一」という考えなので。こうした働きやすさへの投資が、採用面でも良いアピールに繋がればと思っています。

──採用活動にも良い影響がありそうですね。現在の採用状況はいかがですか?

石井さん: ありがたいことに、応募はたくさんいただいています。採用で重視しているのは、技術や経験よりも人間性ですね。面接での受け答えなどをしっかり見ています。

岡部さん: 経験者は多くありませんが、中途採用を中心に、外国籍の方や未経験の方も積極的に採用しています。新卒にこだわらず、良い人材がいればどんどん仲間を増やしていきたいと考えています。

岡部さんへ、ANDPAD AWARD 2025 授賞式の招待状をお渡しした時のひとコマ。左から、アンドパッド 原澤、小川防災 岡部さん、石井さん、アンドパッド 土屋

前編では、岡部さんの小川防災との出会い、そしてANDPADボード導入によって月の労働時間が半分になったという劇的な変化を紹介した。DXの推進は単なる業務効率化にとどまらず、フリーアドレス化や福利厚生施設の建設といった「働きやすさ」への投資へと繋がり、会社全体にポジティブな循環を生み出している様子がうかがえる。

しかし、同社の進化はこれだけではない。労働時間が減る一方で、売上は昨対比130%という驚異的な成長を遂げているのだ。後編では、その成長を支えるANDPADボード活用ルールや、岡部さんの [個人予定] の具体的な活用術に迫る。会社の成長と個人の働きやすさを両立させる、実践的なノウハウを余すところなくお伝えする。

株式会社小川防災
URLhttps://ogawa-bousai.com/
代表者代表取締役 小川 一
設立1971年
本社千葉県松戸市紙敷1-16-3
企画: 平賀豊麻
編集・執筆: 原澤香織
デザイン: 森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当: 土屋太一、吉田周平
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