「KY活動」という言葉は、建設現場をはじめとするさまざまな職場において、安全管理のキーワードとして定着しています。しかし、その具体的な意味や、なぜ必要なのか、どのように行うのか、といった点について、詳しく理解している人は多くないかもしれません。
この記事では、KY活動とは何か、その言葉の意味から始まり、建設現場における必要性、そして具体的な取り組み内容まで、詳しく解説していきます。
KY活動とは?
KY活動は、「危険予知活動」の略称
KY活動とは、「危険予知活動」の略称です。文字通り、危険を事前に予測し、事故を未然に防ぐための活動のことを指します。建設現場のような、常に危険と隣り合わせの場所で働く方々にとって、KY活動は非常に重要な取り組みと言えるでしょう。
建設現場で、なぜKY活動が必要なのか?
1. 労働災害の防止
建設現場は、高所作業、重機操作、電気工事など、さまざまな危険が潜んでいます。KY活動を行うことにより、これらの危険を事前に予測し、適切な対策を講じることで、労働災害を未然に防ぐことができます。
2. 法令遵守
労働安全衛生法をはじめ、多くの法律で、事業者は労働者の安全確保の義務を負っています。KY活動は、これらの法令を遵守するための重要な手段の一つです。
3. 生産性の向上
労働災害が発生すると、人的な損失だけでなく、作業の中断や工程の遅延など、経済的な損失も発生します。KY活動によって安全な作業環境を確保することは、生産性の向上にもつながります。
4. 企業イメージの向上
安全に配慮した企業は、社会からの信頼を得ることができます。KY活動は、企業の社会的責任を果たす上でも重要な取り組みです。
建設現場におけるKY活動の取り組み内容
1. リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順をいいます。(※)作業前に、どのような危険があるのかを洗い出し、その危険度を評価します。
- 高所からの落下: 足場が不安定、手すりがないなど
- 墜落・転落: 穴、段差、スリップなど
- 物体との衝突: 飛来物、落下物、機械との接触など
- 電気ショック: 感電、漏電など
(※)参照:「職場の安全サイト」 厚生労働省 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo01_1.html
2. 安全教育
労働者に対して、安全に関する知識や技能を教育します。法令に基づいた知識や、実際の現場で役立つ具体的な技能を身につけることが目的です。
- 安全に関する法規
- 危険予知の方法
- 安全器具の使い方
- 応急処置
3. 安全パトロール
定期的に現場を巡回し、危険な状態がないかを確認します。
- 足場の状態
- 工具の置き方
- 作業員の服装
- 標識の設置状況
4. 安全対策の実施
リスクアセスメントの結果に基づき、必要な安全対策を実施します。
- 足場の補強
- 手すりの設置
- 保護具の着用
- 危険区域への立入禁止
5. 事故発生時の対応
万が一、事故が発生した場合には、原因を究明し、再発防止策を講じます。
建設現場におけるKY活動の目的と効果
KY活動の目的は、単に事故を減らすだけでなく、建設現場で働く労働者が主体的に安全に配慮し、安全な職場環境を自ら作り上げていくことです。
KY活動の効果としては、以下の点が挙げられます。
- 労働災害の減少
- 生産性の向上
- 企業イメージの向上
- 法令遵守
KY活動の成功事例
KY活動は企業にとって非常に重要な取り組みです。しかし、紙のチェックリストを使用するKY活動には非効率な側面があり、作業者に過度な負担をかけることもあります。こうした課題に対処するため、ITツールを導入してKY活動を効率化する企業が増えています。
例えば、ある建設会社では、KY活動の徹底により、労働災害件数を大幅に減らすことに成功しました。また、ある企業では、KY活動を通じて、従業員間のコミュニケーションが活発になり、組織全体の活性化につながったという事例もあります。
不透明だったKY活動を、ANDPADの報告機能を徹底的に活用して見える化。残業時間の大幅な削減や、事故件数の減少によるコストや損金の減少も実現している。
宗重商店|ANDPADで人を育て、永続できる企業をつくる。地域に貢献し続ける解体事業者の挑戦
※1 株式会社KRC発行『建設業者施工高ランク表』より
▼大手ガス事業者の取り組み
KY報告書のペーパーレス化を実現。ANDPAD報告機能の活用で、品質管理、作業効率が向上
東邦ガスライフソリューションズ|現状維持バイアスを打破し、組織を活性化するために――大手ガス事業者が取り組んだ施工管理DX
まとめ
KY活動は、単なる義務ではなく、労働者一人ひとりの命を守るための大切な取り組みです。一人ひとりが主体的に安全に配慮し、常に改善を心がけることで、より安全な職場を実現することができます。KY活動を通じて、安全な職場を作り、より良い社会の実現に貢献していきましょう。この記事が、KY活動に対する理解を深める一助となれば幸いです。