太陽光発電工事業者が取り組む業務のデジタル化 /少数精鋭の“個人商店”状態を、デジタルで盤石な組織体制へと導く

  • 太陽光
  • ANDPAD
  • 少数精鋭
  • 専門工事
  • 写真管理業務の効率化

遠藤 正桂氏
スマートパワー株式会社 施工管理部 部長
大学卒業後、2003年インフラ系商社に新卒入社。営業及び施工管理担当として活躍。太陽光発電システムを取り扱っていた経験を活かし、当時取引先であった同社に2013年中途入社。営業を経て施工管理担当となり、現在に至る。



2011年の設立以来、日本全国で住宅用・産業用を問わず多くの太陽光発電システムを供給しているスマートパワー株式会社。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ますます太陽光発電システムへの注目度が高まるなか、同社は少数精鋭で事業を推進していくために2021年にANDPADを導入。日本全国にある現場の遠隔管理をはじめ、情報のデジタル化・一元管理を推進している。

そこで、今回は同社の施工管理を担当する施工管理部 部長の遠藤 正桂氏にインタビューを実施。会社設立の経緯と同社の強みに加えて、少数精鋭の組織体制で取り組む​​ANDPADを活用した業務効率化の取り組みや、今後の課題と展望について紹介する。

注目のエネルギー事業を強化するため、一事業部からグループ会社として独立

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ますます注目度が高まっている太陽光発電システム。エコでクリーンな再生可能エネルギーを利用した太陽光発電システムの開発および販売を行っているのが同社だ。

同社は、元々木材・建築資材の販売から住宅の供給、木造建築物の推進などを手掛ける株式会社ナイスの新規事業としてスタート。エネルギー商材としての太陽光発電システムを取り扱うなかで、より専門性を高め事業として成長させるために、2011年にグループ会社として設立された。ナイスグループが住宅用資材を取り扱っていることから、スマートパワーの設立当初は住宅用の太陽光発電システムをメインに展開。「再生可能エネルギー固定価格買取制度」がスタートした時期とも重なり、売上を順調に伸ばしていった。

遠藤さん: 私が入社した2013年には社員は15名程いました。正直「アンペアって何?」というくらい専門知識が全くないところからのスタートでしたね。売上が好調だったこともあり、「積極的に発電所を開発して再生可能エネルギーを販売し、さらに売上を伸ばす」という選択肢もありました。しかし、あくまで「住まいに関わる事業を展開するナイスグループのなかで、住宅用の太陽光発電システムを開発すること」がスマートパワーとしての意義だったので、その方向には舵を切りませんでした。

「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が下火になり売上も伸び悩んできたことを受け、現在は9名体制に。この組織体制では住宅用の太陽光発電システムだけで事業を存続させていくことが難しいと判断し、産業用も手掛けるようになりました。

スマートパワー株式会社 施工管理部 部長 遠藤 正桂氏

設計力と商品提案力で、競合優位性を発揮

こうして産業用の太陽光発電システムを手掛けるようになったことが結果的に同社の強みに繋がり、競合優位性を発揮できるようになったという。現在は日本全国で住宅用・産業用を問わず太陽光発電システムを供給。少数精鋭の組織体制で遠隔地もカバーするために、各地の協力店と連携しながら進めている。

編集部注:同社は協力会社のことを「協力店」と呼んでいる。

 

 

遠藤さん: 当社の強みは2つ。1つ目は「設計力」です。太陽光発電システムの設計は特に専門的な知識が求められますが、自社で設計ができることによって材工一体で請けられることが強みです。2つ目は「商品提案力」。当社はさまざまなメーカーの商品を扱っていることで、場所や日照など踏まえて最適な組み合わせをご提案できます。ゼネコンさんからメーカーさんへ依頼する場合、自社商品のなかからしか提案ができないので、その提案がゼネコンさんにとっての最適解になるとは限りません。当社には、商社のグループ会社であるという強みがあり、少人数でありながら1から10まで提案できるので、ゼネコンさんからの引き合いは非常に増えています。

住宅用については、グループ会社であるナイスの営業が住宅会社向けに資材を提案するなかで、太陽光発電システムも一緒に提案するので、当社は産業用に注力しています。

太陽光発電システムはまだ歴史が浅く、かつ専門性が高い領域でもあるため、業界全体において人材が不足している。そのため、同社のような商社が持つ専門知識を付加価値としてゼネコンや工務店に提供していかないと、業界として回っていかないというのが現状だ。

同社の施工管理部では産業用の太陽光発電システムに注力しながらも、豊富な商品知識と専門知識を活かして、関東近郊のエリアの工務店からの案件を月に1、2件程度請け負っているという。

遠藤さん: 日々商品や基準が変わっていくので、材料を売っていくだけでなく定期的に施工にも携わらないとついていけなくなってしまう。最新情報をきちんとキャッチアップしていくために、数は少ないですが住宅用の施工管理もおこなっています。

営業担当が現場に行く際は必ずメーカーさんが同行するものの、営業担当自身がある程度商品や設置基準についても話せることが重要。太陽光発電システムは初期費用が高いことや、設置することでどう変わるのかが見えにくい商品なので、お客様に納得してもらわないと買っていただけない。それができることで売上にも繋がります。そういった意味でも、当社として高い商品知識を持っていて、営業担当者がそれを語れるというのは強みですね。

点検を実施するにあたって、資格取得自体はそこまでハードルは高くありません。しかし、実際に不具合を発見したり、その際に適切な対応方法がとれるかという観点では、高い専門知識が必要になります。住宅に関しては工務店さんが点検をしていますが、産業用ではゼネコンさんから当社に対してのメンテナンス依頼の需要も増えてきています。同じ電気領域でも、照明などとは異なり太陽光発電システムは専門性の高さが求められるので、「太陽光屋さん」という新しいカテゴリができつつある気がします。

少数精鋭の組織体制での業務効率化を目指し、ANDPADを導入

このように、商社ならではの豊富な商品知識及び専門知識を磨き上げ、住宅用・産業用を問わず付加価値を提供している同社だが、少数精鋭の組織体制ゆえの課題を感じていたという。

遠藤さん: 現状はメンバー的なバランスはいいですが、それぞれの役割が異なり個人商店が集まっているような状態。誰か一人でも抜けてしまうと代わりができる人がいないので仕事が回らなくなってしまう。人員を増やせばもっと仕事も取れるとは思うものの、専門性の高さからなかなか求めている人材を採用するのも難しい状況です。事業領域や社風について魅力を感じてくれる人は非常に多いのですが、建築資材の仕事を経験していても設計できるまでの専門知識がないと即戦力にはならないので、グループ会社からの公募もしていません。

かと言って、今の体制では新入社員を入れて育てる余裕もない。現状の体制で業務をしっかりこなしていくためには、写真や資料など現場との情報共有や連絡における無駄を省く必要がありました。

従来、協力店とのやり取りはメールやメッセンジャーアプリを利用していたという。協力店の担当者はスマートフォンで撮影した現場写真のデータをPCに送り、そこからメールをすることを手間に感じていたそうだ。産業用の場合、1現場あたり100枚以上の高画質の写真が同社の担当者に送られてくるため、データ量が100MBを超えることも。なかには、データが重くなり過ぎないよう配慮して写真をセレクトして送る人もいるが、同社が求めている写真がその中にない場合は再度別の写真をもらうためのやり取りが発生し、二度手間に繋がってしまっていた。社内の担当者も現場に行くことがあり、その際は現場写真を撮影することができるので協力店から送ってもらう必要はないが、結局スマートフォンで撮影した写真をPCに移しかえる作業が発生していた。近場の現場であれば社内担当者が対応できるが、北海道や鹿児島などの遠方となると、社内担当者が訪問できないという課題もあった。

遠藤さん: 今までは完工後に協力店さんから写真をもらえるまで1週間くらいかかっていたので、データ受領までの期間の短縮もしたかった。産業用は工期が2〜3ヶ月あるので、その期間内で写真のやり取りができればいいですが、住宅用のほうが短期間で工事が終わるのでスピードが求められます。

それから、情報セキュリティの観点からメッセンジャーアプリの使用は不確実性が高く、本来のあるべき姿で業務をしたいという思いもありました。社内と協力店さんとの間で写真や資料をスムーズに共有できるツールを検討していたところ、ANDPADを知りました。当社は新しいシステムを入れることに関してグループ承認が必要になるので導入までのハードルが高く、通常であれば導入するまで3ヶ月くらいかかるのですが、グループ内で既に導入している会社があったのが決め手ですね。スピード重視で採用を決めました。

ANDPADで写真と資料を共有し、写真整理業務が圧縮された

同社では、営業担当が受注した段階から施工管理担当がお客様窓口となる。そのため、基本的にはそのタイミングで施工管理担当がANDPADに案件作成を行なう運用で、施工管理担当と協力店とのやり取りのツールとして活用している。

遠藤さん: 現状は、協力店さんのうちID付与率は50%ほど。最近では、「まだANDPADに資料が上がっていないので、上げてくれますか?」と協力店さんから声が上がってくるようにもなってきて、浸透してきているのを実感しています。

ANDPAD導入後は、写真整理の時間が大幅に圧縮されました。以前は1現場の写真を整理するのに半日〜1日くらいかかっていて、かなりの負担になっていました。ANDPADで写真を共有するようになってからは、データを受領するまでの待ち時間も短くなり、2時間程度で済むようになって非常に効率化しました。この点においてANDPADを導入して良かったと強く思いますね。

多い時には同時並行で10現場を担当することもあり、1ヶ月の仕事の半分は写真整理に充てていたほど。夕方会社に戻ってからPCを立ち上げて作業をしていましたが、当社は19時までには退社しないといけないルールなので、終わらなかったら自宅に持ち帰って仕事をしていました。

協力店さんは工事完了の報告として写真を送ってくださり、そこから当社でピックアップしてゼネコンさんへ提出する報告書としてまとめます。その際、協力店さん側として「この写真がよいだろう」と思うものと、実際に必要なものが異なることも多い。以前は、メッセンジャーアプリやメールで送られてきたデータのなかから選び、ダウンロードして貼り付けて報告書を作成していました。今はANDPAD上にアップされている写真をクリックすれば簡単に写真の内容を見ることができて、ダウンロードの必要もありません。必要な写真を選んでそのまま写真台帳機能で報告書として提出できるようになったので、とても助かっています。写真整理のために夜中まで作業していることもありましたが、今では18時で帰れるように。体力的にも、精神的にも負担が軽減しました。

少数精鋭の組織ならではの社内情報共有における障壁

ANDPADを導入後、協力店とのやり取りがスムーズになり、写真整理の時間が大幅に削減されるなど、着実に業務効率化を図っている同社だが、社内情報共有において今後取り組むべき課題もあるという。

現在、同社でのタスク管理は会社にあるホワイトボードで管理しており、施工管理の3名が担当している資料関係、申請関係、請求関係などについても、ホワイトボードでタスク管理を行っている。

遠藤さん: 過去に、それぞれが抱えているタスクを可視化してみんなで管理しようという動きになったこともありました。しかし、可視化したはいいもののタスクを管理する人がおらず頓挫してしまいました。現状は、週に1度出社した時にホワイトボードに記入するというアナログな方法でタスク管理をしています。ただ、このやり方で資料の提出漏れが発生してしまったことも。この提出漏れに関しては、発生を防ぐために、担当者に対して私から個人的にメールでアラートを送っていました。しかし、1対1のアラートではその他の人が把握しづらく、結果的にミスが発生してしまいました。このことをきっかけに、社内から「やはり全体でのタスク管理が必要ではないか」という意見が挙がるように。施工管理だけでなく、営業も含めたタスク管理について、現在議論をしているところです。タスク管理者をどうするかという課題は残っているものの、全体でのタスク管理方法については引き続き検討していきたいと考えています。

また、産業用に関しては、今後需要が高いメンテナンスに対応していくにあたり、アフター管理も課題の一つとしている同社。現状メンテナンスのスケジュール管理は、案件を担当したメンバーが個人で行なっており、アナログな管理体制になっている。

遠藤さん: 産業用のメンテナンスに関しては、関東電気保安協会の電気主任技術者の方と一緒に行います。現状は、担当者さんからメンテナンスのタイミングになると連絡があるため助かっていますが、いつまでも他人任せになっているのはリスクではあります。今後は情報共有の意識をより高め、ANDPADの横断マイルストーンを活用するなどメンテナンスについても会社全体でしっかりと管理できるようにしていきたいですね。

今後の課題と展望について

最近では、太陽光発電システムへの注目度が高まってきたことを受けて、引き合いも多くなっているという同社。今後、どのようなアプローチで成長を目指していくのだろうか。

遠藤さん: 住宅用に関しては、ナイスグループとして、断熱材、空調、エコキュートなどの熱源などの資材とのパッケージ商品「スマとく」の提案をスタートしました。初期費用0円で太陽光パネル設置ができる「ゼロ円ソーラー」という商品を増やしたので、それをどんどん強化していけたら。

今後ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が必須になれば自ずと太陽光発電システムのニーズも増えていくはずなので、あとは誰が施工するか。基本的には新築時に取り付けるのがメインになるので、ナイスの営業が提案しやすく、より多くの工務店さんに取り付けてもらうための方法を検討していきたいですね。

また、産業用に関しては、同社の強みである「設計力」と「商品提案力」に対するゼネコンからの期待が大きくなってきており、最近ではゼネコンからの一次請け案件も増えてきているという。

遠藤さん: 一次請けの案件をやるようになって、その大変さがわかりました。二次請けや三次請けは指示を受けてきっちり遂行することが大事。しかし、一次請けになると、例えば商品説明資料やメンテナンス方法についての資料、あるいはクレーンを入れる場合はクレーンの計画書など、求められる資料の数が増えるのが一番大変ですね。それから、他の業者さんとのやり取りやゼネコンさんとの工程管理の調整も直接おこなうので、今まで知らないことが多すぎたと実感しています。

さらに、未来に向けた新しい動きとして、電気自動車を活用した「VtoH(Vehicle to Home)※」に関する問い合わせも増えてきています。カーリース会社と組んでEVとVtoHをセット販売したところ、売上も好調です。

今後少人数の組織体制において、デジタル化によっていかに効率化を進めて売上を伸ばしていけるかが課題。ANDPAD導入は、そのスタートになったと思います。今後は、業務効率化させるためにANDPADが必要であるという認識が社内外に広がっていくよう、一歩ずつ着実に進めていけたらと考えています。

※EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)にバッテリーとして搭載されている電池に蓄えられている電力を流用し、自宅の家庭で使用することができるシステムのこと。

少数精鋭ながら「設計力」と「商品提案力」を強みに、住宅用・産業用問わず日本全国に太陽光発電システムを供給する同社。9名という組織体制で最大のパフォーマンスを上げるためにANDPADを導入し、各地の協力店とのスムーズな連携を図ることで膨大な写真整理業務にかかっていた時間を大幅に圧縮した。今後も同社の成長の追い風となれるよう、ANDPADはデジタル面からサポートしていきたい。

(左から)遠藤氏、株式会社アンドパッド SaaS戦略本部 カスタマーサクセス部 小山 知佳



遠藤様、この度は貴重なお話をありがとうございました。

今回取材をさせていただき、貴社の設立の背景、業界での強み、これから目指す先などのお話をお伺いさせていただき、改めて貴社のことを深く知るきっかけになりました。

また、お話の中で「現場進捗の把握」「写真の管理業務」がスムーズになったとあり、ANDPADが業務効率化に貢献できている部分を嬉しく感じたとともに、これから目指す先・将来の展望を踏まえ、協力店様全社へのANDPAD普及などもっと貢献ができるようにサポートをさせていただきたいと思いました。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

スマートパワー株式会社
http://www.smart-power.co.jp
〒230-8571
神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-33-1 ナイスビル6F
代表取締役:福田 健作
設立:2011年3月

取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
編集:加瀬雄貴
ライター:金井さとこ
デザイン:森山人美、安里和幸
カスタマーサクセス:小山 知佳