ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、「ベスト図面ユーザー賞」で第3位を受賞した、テクノ建設サービス株式会社 阿部 貴宏さんにお話を伺った。
「いつまでも美しく」を理念に掲げ、ビル・マンションの劣化調査や大規模修繕工事、リニューアル工事の設計・施工を手がけているテクノ建設サービス株式会社。最長20年の長期保証を実現した独自の「長寿命商材」と、ICT技術を活用した精度の高い建物診断・施工を強みに、建物のライフサイクル長期化と資産価値向上を追求している。
同社は、東京本社を拠点に札幌・大阪・福岡に支店を展開。「ベスト図面ユーザー賞」第3位を受賞した阿部さんは、東京本社にて大規模修繕工事に10年以上携わるベテランだ。2025年には、築32年・地上23階建てのタワーマンションの現場所長として指揮を執り、ANDPAD図面の仕上検査機能を活用しながら、若手社員の育成にも取り組んだ。
今回の取材には、同社でICTの導入・運用をリードしている後藤秀一さんにも同席いただいた。前編では、同社の事業内容やICT活用、工事部の体制などを深掘りする。大規模修繕工事におけるICT活用・ANDPAD図面運用術を知りたい方はぜひ一読してほしい。

「長寿命商材」の開発とICT活用を推進、右肩上がりの成長を継続
──「ANDPAD AWARD2026 ベスト図面ユーザー賞」3位の受賞、おめでとうございます! まずは貴社の事業内容を詳しく教えていただけますか?
阿部さん: 当社は、ビルやマンションの長期修繕計画の立案から建物の調査・診断、大規模修繕工事・バリューアップ工事の設計・施工、アフターサービスまで自社一貫で手がけている会社です。20階建て以上のタワーマンションから低・中層マンションまで幅広い物件に対応しています。

テクノ建設サービス株式会社 工事部 次長 阿部貴宏さん
──前年比で20%以上売上を伸ばし、右肩上がりで成長されていると伺っています。どういった要因が業績拡大につながっているのでしょうか?
後藤さん: 最近は元請け工事の比率が全体の60%まで拡大していることや、単価の高いタワーマンションの案件が増加したことが大きな要因だと考えています。2025年には「福岡支店」を開設し、人員を増員して体制強化を図ったことも成長を後押ししています。

テクノ建設サービス株式会社 デジタルソリューション部 次長 後藤秀一さん。システムエンジニア、塗料商社を経て同社へ2022年に中途入社。施工管理業務に携わった後、現在の部署へ異動。BIMをはじめとするICT活用に取り組んでいる。
──元請け案件の増加によって、売上も利益率も向上されているのですね。貴社がお客様から選ばれている理由はどこにあるとお考えですか?
阿部さん: シーリング材やコーティング材、内外装塗料など、自社開発した長寿命商材を導入しているため、大規模修繕工事における周期が業界水準で15年のところ当社は20年と、サイクルが長い点が強みです。それによって、工事回数とコストの低減を実現しています。
また、経験豊富なメンバーがいることも当社の強みです。現在本社では約30名の社員が施工管理業務に従事していますが、そのうちの7割は1級施工管理技士を取得しています。私が管轄している4〜5名のグループだけでも、個人で業務を完結できて後輩育成も任せられる社員が3名おり、中堅層も着実に育ってきています。
後藤さん: 業界に先駆けて、ICT技術を積極的に活用しているのも当社の強みだと考えています。建物の劣化調査・診断では、高性能赤外線サーモグラフィで外壁を測定し、そこに生じた表面温度差を専用ソフトウェアで解析して、タイルの浮きや、はく離がないかを診断しています。また、人の立ち入りが難しい立地ではドローンで外壁の赤外線調査も実施しています。足場不要で測定ができるため、コストをかけずにスピーディーな診断が可能になっています。
──そのほかのシーンでは、どのようにICT技術を活用されていますか?
後藤さん: お客様との打ち合わせや積算、必要な人員数の検討や配置計画にBIMモデルを活用しています。特に築年数が古い物件の場合、紙の図面しかなかったり、図面を紛失してしまっていたりしているケースが多々あるのですが、そういった場合に3Dレーザースキャナーで点群データを取得し、BIMモデルを作成しています。そうすることで正確な2Dの図面データを復元でき、事前計画が立てやすくなり、その後の施工もスムーズになります。
また、現地調査時の写真管理においてもBIMモデルを活用しています。以前、6棟建ての団地型マンションで現地調査を実施したのですが、写真の撮影枚数が5,000枚と膨大な数になりました。しかも団地は建物の形状がよく似ているため、後から見返すと、どの棟のどの写真かが分かりにくく、整理に苦労したのを覚えています。その点、BIMモデルを活用して写真を管理すれば、後からでも撮影した位置や部屋ごとの情報を正確に把握できています。

──先進的なツールを複数組み合わせて活用し、業務を効率化されているのですね。ANDPAD図面についてはどのように役立っているのでしょうか。
阿部さん: 大規模修繕工事を取り巻く外部環境として、業界全体で技術者不足が課題となる中、ありがたいことに当社は右肩上がりの成長局面にあり、担当する案件も増加しています。一方で、中途採用において即戦力となるベテラン経験者ばかりを採用できるわけではなく、大規模修繕工事が未経験の方や若手社員も現場に入ってきます。企業の成長を支え、品質を担保し続けるためには現場を担える技術者の早期育成が当社にとっての大きなテーマでした。
そこで、若手や未経験者の「教育ツール」として非常に重宝しているのが、ANDPAD図面です。現場での是正指示や品質の最終チェックは私が担当していますが、その確認にANDPAD図面の「仕上検査機能」を活用しています。経験の浅い社員にANDPAD図面へ指摘内容を入力してもらいながら、現場で実践的な指導を行ったり、独り立ちしたあとも、彼らが入力した写真や指摘内容の不備を私がチェックし、フィードバックを行ったりしています。これにより、現場全体のクオリティコントロールと技術者の育成を同時に実現できています。

居住者の方々、協力会社の声に耳を傾け、品質向上に努める
──阿部さんが現場所長を務める際、大切にされていることを教えてください。
阿部さん: 職人さんや現場ごとのばらつきをなくし、全社で品質の統一化を図ろうと取り組みを進めています。例えば、各工種の協力会社の方々に、当社の施工基準に対する理解を深めていただく「周知会」を対面で実施しています。職長さんやその部下の方々はもちろん、応援に来てくれた新規入場の職人さんにもその都度説明を行い、周知を徹底しています。
──そのほかにも普段の業務のなかで意識されていることはありますか?
阿部さん: 大規模修繕工事は基本的に居住者の方々が生活している環境で実施しますので、挨拶やきめ細かな配慮は大事にしています。接客業のような感覚でコミュニケーションに気をつけ、居住者や管理会社の方々の声を所員や協力会社さんに展開し、改善に努めています。
それと同時に、協力会社さんから上がってくる声も大事にしています。お客様から難しい要望をいただいた場合、どこに落としどころを見つけるかを考え、協力会社さんと調整します。
円滑に工事を進めるための関係者間の「交通整理」を担うため大変なこともありますが、竣工後にお客様から「見違えるほどきれいになった」「ありがとう」といった感謝の言葉をいただくと苦労も吹き飛びます。この瞬間のために仕事をしているんだなと思えるほど、達成感がありますね。

BIMやドローン、3Dレーザースキャナーといった最先端技術を積極的に活用し、コスト削減と品質向上に努めている同社。デジタルで業務効率化を図る一方で、協力会社向けの「周知会」を実施し、職人一人ひとりに対面で施工基準を伝えていくアナログな取り組みも続けている。
マンションに住む居住者の方々の声に真摯に耳を傾ける姿勢も、同社への確かな信頼を生み、業績拡大につながっているのだろう。後編では、大規模修繕工事において阿部さんがどのようにANDPAD図面を活用しているのか、詳細を深掘りしていく。
| URL | https://techno-k-s.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 中島 雅人 |
| 設立 | 1990年 |
| 本社 | 東京都豊島区池袋2-14-2JRE池袋二丁目ビル8F |















